1本釣り瀬つき生アジ&干物
わたしの取材史上、もっとも通い詰めた土地のひとつ、八幡浜。

「うすかわまんじゅう」も八幡浜で生まれ育った商品だったのですが、こちらも同じ八幡浜でしか生まれることがない美味。
このアジは、美味として有名な関さば、関アジが泳ぐ海域と大差ないところで泳いでいた瀬つきのアジなんです。
アジは回遊魚で餌を求めながら海の中を生きていくのですが、ときおり同じ場所に居座って、そこにいる豊富な餌を食べながらふくよかに育つちゃっかりしたアジがいて、それを瀬つきアジと呼ぶのです。
わたしが思うに、相当居心地がよいのではなかろうか。
どの漁師に聞いても「瀬つきの魚」は美味しいと口を揃えていうので、間違いはないようですが、このアジの干物の旨いことといったら、もうね、びっくりしますよ。
大人の手くらいの大きさなのに、思い出してもよだれが出そうなほどの美味しい脂をたたえていて、身はほっくりしっとりと口の中で打ち上げ花火があがるような旨みをたっぷりと含んでいるんです。
昨年のカタログでは、このアジをお店でも使っているフレンチレストラン「オー・グー・ドゥ・ジュール」の中村保晴シェフにもコメントをいただき、八幡浜のアジがいなくなっちゃうんじゃないかと思うくらいのご注文をいただきました。
で、そのアジを求めて、わたしは舟に乗って漁に出たわけなんです。
その日はこれ以上ないという晴天かつベタ凪のなか、わたしは早朝の魚市場の取材を終え、一息ついた後、定員は多くて4名?というような小さな舟で海に出ました。

八幡浜の漁師さんは誰もみな人がよくて明るくて、海釣り初心者のわたしにも丁寧に釣りのコツをおしえてくれました。
このアジの干物は、全て1本釣りをしているのですが、釣竿は使用せずに、糸だけで釣っていくんです。餌を詰めた錘を水深約30mあたりに降ろして、それを食べに来たアジがかかったところでするすると糸を引きあげて、アジを捕獲します。
が、ここで漁師のプライドを感じる場面に遭遇したのです。
アジは実はとてもデリケート。
だから釣った後に釣り針からアジを外そうと人が触った体温で質が落ちちゃうというんです。だから釣った魚は舟のなかにある生簀のなかにいれるために、アジがかかった釣り針を生簀の上に張った釣り糸でうまいことピーンと弾いて生簀の中に入れてくんです。
もちろん、舟からあげた後も干物職人のところまでは、生きたまま届けます。このアジの美味しさはね、もうね、すごいです。中村シェフが誉めるわけがよくわかります。
でもね、わたし一尾ずつ釣りながら思ったんです。この美味しさを保存するのなら干物がいちばんだけど、できれば来年の夏、生のアジを届けたいなぁ。届けられないかなぁ、って。
そしてその思いを実現しようと思ったのは、当日わたしが釣ったアジを会社に届けてもらい、同じフロアの社員たちに食べてもらったときの表情をみたとき!
みぃんな目がテンになってました。あまりの美味しさに!アジってこんなに美味しかったの?!な表情をみたときこれは絶対にイケると思ったんです。
で、頑張りました!夏号でこの生アジをお届けすることにしました!
アジっていっても安価で薄っぺらなものは、決してイメージしないでくださいね。お届けするのは築地ではるか高値がつくこともしばしばの、高級料亭からの引き合いが多々あるようなアジ。
もちろん市場直送です。さらにわたしが深い信頼を寄せている仲買の菊地さんや井上さんの目利きにかなったものしかお届けしませんから、かなり自信あります。
美味しさのピークは6月中頃から8月いっぱいくらいまで。
生アジも干物も、ほんとーに旨い。この夏、ぜひ一度は食べてもらいたい『アジは味なり』な逸品です。

投稿者 news : 2007年02月26日 18:18 | 2006年セコムの食取材日記
コメント
魚は釣ってきてそのまま食べるのも良し、干物にしても美味しいし、釣りは楽しいですね。自家製干物つくりに「お魚干し太郎」なんていうなかなかの物もあって、出来上がりまで楽しみですよ。
投稿者 干物 : 2007年08月06日 13:46
