うすかわまんじゅう<その1>
「セコムの食」が創刊して早や9年目に突入し、ふと気づくとこれまでにわたしが開拓してきた商品は、もう何百商品にもなっておりました。
小学生のときの通知表に「飽きっぽい」と書かれ続けたわたしがよくもここまで長く、同じテンションで頑張っていられるなぁと我ながらびっくりするとともに、日々の積み重ねの大切さをひしひしと感じている毎日です。
そして、その商品の全てには、もれなく生産者との出会いやエピソードがあって、それゆえ生産者や商品のことを語り始めるとどうにも止まらないわたくしなのですが、なかでもこの『うすかわまんじゅう』との出会いから掲載に至るまでの経緯は、思い出すたびに温かい気持ちになるんです。
この商品との初めての出会いは、わたしが大好きな商品のひとつである『漁師のくいもんじゃぁ』の生産者・鳥津康孝さんを取材に愛媛県の浜に向かったときでした。
そのときに書いた記事はこちら!
・・・・で、早朝の魚市場取材からの一連の取材が終わり、見送られる際に、奥様の晴美さんからお土産にといただいたのが、このうすかわまんじゅうだったんです。
食べ物に対して堪え性のないわたしは、空港に向かうレンタカーを運転しながら、ひとつパクリと頬張ったところ、なんというかなぁ、じわぁ~っとね、じわぁ~っと幸せな気分になっていったんです。
間違っても派手さはないし、言ってみれば、日本全国どこででも手に入るものですよね、うすかわまんじゅうって。
でも、このうすかわまんじゅうはね、そこいらのおまんじゅうの多くに組み込まれた、ベタ凪のような甘さはなく、謙虚なんだけど背筋が通ったような甘みに満ちていたんです。
「あー、このおまんじゅうは、ちゃんと作られてるなぁ。わたし、このおまんじゅうの生産者に会いたい」
そして、会社に戻ったわたしは、お土産をくれた鳥津さんに連絡を取り、うすかわまんじゅうの生産者である宮川さんをご紹介いただきました。
「セコムの食」のことは、鳥津さんからも詳細を聞いたとのことで、ならば話も早いってもんだ、と超・行く気満々で、宮川さんに電話をしたところ、あろうことか『掲載不可』との答えが!
なんで~? どうして~? 今すぐにでも飛行機のチケットを取ろうとしていたところなのにぃ!
『うちは小さなお店やし、こんな小さな町で5代も続けてこれたのは地元のお客さんを大切にしてきたからだと思うんです。だからこれまでいろんなお話があっても、全部お断りしてきたんです。それに賞味期限も短いですし、そんな心配もあって』
『鳥津さんからもセコムの食のことを聞いて、いい話だとは思っているんですが、今はまだ踏み出せなくて』
・・・・・ そ、そうですか、、、。
もうわたし、極度の意気消沈で立ち直れない。宮川さんの回答に、思いっきりの誠意が感じられる分、ショックもでかい。今日はもう、半休とっておうちに帰っちまいたい。うぅぅぅ。
でもね、でも、あきらめまい。
あきらめさえしなければ、いつかフォローな風が吹く。それにこの仕事は、ただがむしゃらに押せばいいってもんじゃない。短気は損気って、うちの親もよく言うてたわ。
気持ちのどこかで、この商品を大切に思っていれば絶対にいい方向に動いていくはず。そうやってきての8年や。な!
そし街角でおまんじゅうを見るたびに、あのうすかわまんじゅうを思い浮かべ、いい方向に向かいますようにと思いながら、、、で、数ヵ月後のこと。
宮川さんから、突然『取材に来てください』との連絡が!まってましたよ~~!この日を!
その電話によると、当初は到底無理だろうと思っていたそうなのですが、5代目の知也さんが掲載に対して、とても前向きで代々守ってきた味を少しでも多くのお客さんに食べてもらいたい、と積極的な考えをとってくれたそうなんです。
行く行く!早速行きます!すぐ行きます!「室長!出張上申すぐあげるから、すぐ許可だして!」
やっぱりね、思いは通じるもんなんですよ。ヒトでもモノでも、素直な思いって、大切なんですね。
さぁて!かの地、八幡浜に向かいますよ~!待っててねー、おまんじゅうと宮川さーん!
・・・・つづく。

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投稿者 news : 2007年02月26日 17:07 | 2006年セコムの食取材日記
