ゆずティ<その1>
あれは、かれこれ2年半くらい前のことだったでしょうか。いつもの如く、うちの会社の秘書室に顔を出して、あれこれ話をしているときのこと。
そのなかの一人、役員秘書をしている麗しの女性スタッフがわたしに、とある依頼をしてきたのであります。
『いのくちさん、わたし柚子茶が大好きなんです。今度すっごい美味しい柚子茶を見つけてきてください』
お。なんてタイムリー。わたしもちょうど柚子茶に着目していたのよ。「りょうかい!じゃ本気で探してみるよ」
そしてわたしは、全国を巡るたびに目にとまった柚子茶という柚子茶をことごとく入手し、片っ端から試飲。
南は鹿児島から、柑橘栽培の北限らしい地区のもの、大量生産品もあれば、家族経営で手作り感の強いもの、それらを徹底的に試飲しました。
もしかしたら、国産の柚子茶の殆どを試飲したかも、と思うほど会社の冷蔵庫には柚子茶の瓶が溢れ、試飲しては探し、重い瓶を何本も持って帰ってきては、納得できない味にがっかりして、ため息の数が増える日々。
正直、そのなかのいくつかは「これでいいかな。それなりにいい」と思うものもあった。
わたしの左脳が「ここまで探してないなら、今までの中で一番いいと思うものに決めた方が得策だよ」とつぶやいている。
でも、わたしの右脳はかなり強靭で気が強く、スペシャル頑固。
「それなりの商品はそれなりの感動しか生み出さないんだよ。あんたそれでもいいわけ?この商品で秘書の子が感動する?」
きびしいなぁ。わかったわい。 頑張って感動的なものを探しますがな。
そうして、わたしはさらにさらに、柚子茶を探してまわり、もう、この世のどこに美味しい柚子茶が隠れているのか、もうわたしが望んでいるような味は存在しないんじゃないかとなかば諦めかけていたとき!
神様は見ていたんですね。やっと追い求めた味を手にすることができたんです。
香りが高く、柚子の実の甘さと皮の苦みがお湯のなかできれいにまとまって、甘すぎず、かといって淡白でもなく、紅茶に入れても美味しいし、ヨーグルトソースでもイケるし、コンプレのパンなんかにもバッチリ!
日本人の味覚にピターッとね、ピターッとくる柚子茶なの。
わたしは、この柚子茶を持っていそいそと秘書室に向かい、例の麗しの秘書のところに。
「どや?」
『ん~。超おいし~い。感動だわぁ~』 (*^.^*)
そうやろ!その笑顔のために、どれだけ頑張ったことか。
彼女がこんなに喜んでくれるのなら、お客さんだってきっと同じくらい感動してくれるはず。
頑張った甲斐があったわぁ~。わたしも1杯飲もっと。
それから、早速わたしは生産者に連絡を取り、取材の申し込み。しかし、その返答はことのほか鈍く、電話の声も重い。
忙しいとか、たくさんの量は対応できないとか、取材に来られても相手ができないとか、もうなんだかいろんなことを言われてる。
ちょっと待って!ここまできて、そんなつれない態度なんて悲しすぎるでしょ。きちんと対応してもらわなくてもいいですし、なんだったら、わたしも柚子の収穫を手伝いますよ。
大丈夫、大丈夫。とりあえず、そっちに向かいますからねー!
わたしは、どうにかこうにか生産者から直近で都合のいい日を選んでもらい、飛行機とレンタカーの手配をして、現地へ。
さぁ!気合入れて、交渉するぞぉ!
・・・つづく。

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投稿者 news : 2007年02月26日 15:22 | 2006年セコムの食取材日記
