甑島ゆかしい海の幸セット<その1>
先週、「セコムの食」スタッフは、冬号カタログの校正を全て終え、とりあえず、精神的にはひと段落。
校了日には、お部屋でひとり祝杯をあげ、手帳を眺めながら今年いろいろと取材した生産者のことを思い出しておりました。
今年の取材は、なぜか海系が多いのですが、なかでも感謝したいくらいに心洗われる、とびきりの思い出ができたのが、甑島(こしきじま)。
実は、取材に行くまでは甑島自体知らなかったのですが、いや~、ホントにいい島でした。何がいいって、ヒトがいいの。風がいいの。
~~~~~あれは、初夏のある日。
羽田から飛行機で鹿児島に向かい、バスを乗り継ぎ、着いたところは、串木野港。天気もいいし、風も心地よい。約1時間のフェリーも大して揺れることなく、無事、現地に到着。

夕暮れどきの里港で待っていてくれたのは、きびなごの干物を作っている生産者の馬場さん。

明るい好青年、且つよく喋る2児のパパで、学生時代は柔道選手で、今でも島の子供たちに柔道を教えている、熱血漢。
今回の商品であるきびなごの干物の美味しさは、馬場さんの人望の厚さによるものだということが、このあとの取材でよくわかったのでありますが、しかし馬場さん、よく喋るんだ。そして面白い。
さて、港に着いたあと、軽トラで工場に案内してもらったものの、取材本番は明日なので、この日は簡単な打ち合わせのみで終了。
体力を翌日へと温存させるべく、海の幸をたっぷりと胃袋に収めたあと就寝。旨かった、かなり旨かった。
で、翌朝4時。馬場さんと待ち合わせをして向かったのは、船着場。遠くの海に目をやれば、漁火が港に戻ってきているところ。
『いのくちさん、今日はあの船のきびなごを買うとですよ』と馬場さん。取材していてわかったのですが、馬場さんの元には、その日に出航したきびなご船のなかでも1、2を争うくらい活きのいいきびなごが集まるんです。
それは、馬場さんに対する漁師さんたちの信頼の現われで、きびなごを島の看板だと自負している漁師さんたちは、きびなごに対して同じ思いを持つ馬場さんに、その日一番のきびなごを加工してもらいたいと思っているからなんです。
だから、同じ船から水揚げされるきびなごであっても、より鮮度の良いものだけを馬場さんに渡し、漁師さんから見て納得できないものは「今日は、うちじゃないで、○○丸からのきびなごを買えや」と言うんです。
そんな感じだから、馬場さんの携帯は早朝からよく鳴って、その日の漁の情報がいち早く入る。
入手したきびなごは、早速工場に運び込み、すぐさま塩水に漬け込むと同時に、選別作業が始まりまるんですが、この選別作業というのが、ものすごいんだ。
網にかかるときに少しでも傷んだものは、パンパンとはじいていってもったいないとか、妥協とかはないのですよ。「え?このきびなごのどこが駄目なの?」と聞きたくなるようなきびなごも、はじく。
そして、最も鮮度がいいものだけを選んで干物にしたり、瞬間凍結にかけるんです。ちなみに、瞬間凍結したきびなごは、解凍すればお刺身だってOK!手開きして、ちろっと生姜醤油につけて食べると、旨いんですよ。!(^^)!
それから、馬場さんのきびなごが美味しい理由が、もう一つ。それは、「完全海上天日干し」。だから、干物は晴れる日にしか、ぜーったいに作らないんです。

空から降り注ぐ陽光と、海から吹き上げる風でパリッと乾燥させて旨みを凝縮させたきびなごはね、なんていうか、しゃんとしているんです。きびなごの美味しさがすーっと伸びるというのかなぁ、青魚の臭みなんて当然ないし、何匹だってパクパク食べれちゃう。
馬場さんのきびなごを取材していて、ますますきびなごが好きになっていくにつれ、ある思いがわたしの頭のなかに浮かんできた。すると、馬場さんがわたしの気持ちを見透かしたかのように、ひとこと。
『いのくちさん、きびなごの船に乗らんですか?面白いですよ』
「の、乗ります!乗せてください!」
、、、、つづく。
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投稿者 news : 2006年03月14日 12:04 | 2005年セコムの食取材日記
