ほたるいかの活漬け<その3>
5月下旬の深夜2時。超がんこ船長さんの船に乗り込み、沖へ出ること100m、、、200m、、?300m、、、!?
いや、正確には沖からの距離なんて素人のわたしにゃどのくらいかわからないんだけど、わたしが乗っている船の数倍大きな船よりも、うーんと遠くに来ているのは事実。
ん~、昼間の説明じゃ、こんな遠くまで行くなんて聞いてないんだけどなぁ、とわたしの眉間のシワが、ちぃとばかし深くなる。
(なんだかなぁ。 やだなぁ、、、、。いや~な予感)
北海道の噴火湾で甘えび漁のとき『湾内から出ないよ(^.^)』と言われたのに、気づいたときにはすでに湾外にいて、船が転倒するかと思う荒波に再起不能なほどの船酔い経験が、首筋のあたりをヒヤリとかすめる。
(こんな小さな船じゃ、トイレもないし、わたしカナヅチだし、、)
すると、わたしの不安を読み取ったのか、読み取ってないのか、読み取ってないに違いないが、船は速度を落とし始め一瞬のうちに、エンジン音が消され、どうやら目的地にたどり着いた模様。
そして、わたしを除く3名の漁師さんたちは、無言のうちに、ゆっくりと動き始めた。
ひとりは、船内にある青いプラスティック製のケースにホースを投げ入れて、ポンプで汲みあげた海水を張る。ひとりは、海に放たれているブイと船を、力を込めて結わく。
例の、実はいい人だった船長さんは、二人の手伝いをしながらも遠くで漁をしている大きな船をじーっとみながら、その動きを確かめている様子。
その遠くの船はというと、10名以上の漁師さんたちが定置網をぐいぐいと船内に引き上げ、網にかかっているホタルイカを『トンボ採りの網』に似たでっかい網で、ザクザクとすくっていく。
真っ暗な深夜の海上で、一直線に輝くイカ釣り船の灯り火はいかにも日本海の漁という雰囲気を演出し、少しずつ少しずつ、こちらの船に近づいてくる。
そして、両船の間が10mほどの平行位置になったところで、一体何がおこったのかというくらいの、慌しい勢いでこちらの船の船員さんたちが一斉に動き出した!
大きな船が追い込んできた網のなかで勢いよく泳いでいるホタルイカを、『トンボ採り網』ですくい、さっき海水を張ったケースのなかに、シャボン玉を触るかのようにそーっと水揚げし、海水を勢いよく流しはじめたため、船上は溢れた海水であっという間に水浸し。
水揚げされたホタルイカは、一斉に墨を吐きはじめ、ケース内は一瞬、真っ黒。しかし、流水により、すぐに透明度を取り戻し、青く幻想的に輝きながら泳ぎ回るホタルイカが見てとれる。

そして、特に元気よく泳ぎ回っているホタルイカのみを小さな網で一ヵ所に集めていく。
通常のホタルイカ漁なら、大きな船がやっていたように網にかかったホタルイカをどんどん水揚げすればいいのですが、この活き漬けに使用するホタルイカは、まさしく『生きて』ないと、意味をなさない。
しかし、ホタルイカは他のイカ以上にデリケートで、水揚げ時の網やホタルイカ同士の摩擦などですぐに傷ついてしまう。また、水揚げしても自分の吐いた墨を吸い込み、あっという間に死んでしまうんです。
それを防ぐために、生きたままのホタルイカを慎重に網ですくって水揚げし、海水を流し続けて与えるダメージを最小限にして、生きたまま捕獲。それがすむと、一秒を惜しむかのように勢いよくエンジンがかけられ、一目散に港に向かう。
もーっ、早いのなんの!あたしゃ振り落とされるかと思いましたがね。
そして、港に到着するやいなや、待ち受けていたカッパ姿のおじさんにケースを手渡し、おじさんはそれを港のなかにある活ホタルイカ専用の生簀に流し込んで、活ホタルイカ漁が終了。
まことに目の覚めるような、あっという間の作業でありました。
こうして水揚げしたホタルイカは、その日のうちに生きたまま無添加の醤油に漬け込んだのが、このホタルイカの活き漬け
自身が吸い込んでいた海水と交換に醤油を吸い込むので身のなかにまでしっかりと醤油が入り込むと同時に、そのコリコリとした食感に、鮮度のよさを感じることができるんですねぇ。

いい意味で磯臭くって、ダイナミックな味わい。他のホタルイカの塩辛とは、一緒にしないでね!
※品切れの際はご容赦ください。

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投稿者 news : 2006年03月13日 14:11 | 2005年セコムの食取材日記
