京都大納言のおぜんざい<その2>

美味しいおぜんざいを探し始めて、何年もかけてやっと出会った身も心もホッコリとなる、職人手作りのおぜんざい。

生産者の大槻さんの工房を訪ねたのは、お昼ちょっと前で、せっかくだから、お昼でも一緒に食べましょうや、とお誘いいただきお昼をご一緒することになりました。

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工房の2階にあるご自宅にお邪魔して、一応遠慮しながらも目の前に置かれたお皿に箸をのばして、食べてみて、えっ??一流と呼ばれる料亭にも勝るとも劣らないほど美味しいじゃないの。

聞けば、大槻さんは和食の職人でお店も出していたんだとか。もちろん繁盛していたんだけれど、ふとしたきっかけで京都大納言を生産する方々と知り合い、乞われて大納言を使った料理の技術を教えていたんだそうです。

そうするうちに、いつのまにやら京都大納言を使った商品開発の中心人物となり、加えて農家さんの熱い思いに心打たれたこともありおぜんざいやおはぎを作る工房を構え、それにあわせて惜しまれつつお店の方を閉じたんだそうです。

これだけの和食の技術を持っているのに、多くの人に提供できないなんて、とーってももったいないと思う反面、そうしないとこのおぜんざいも生まれなかったんだから、しょうがなくもあり、ありがたくもある。

そんな話を聞きながら、でも、今日は日帰りなのでのんびりしている暇はない。 早速、おぜんざい作りを取材させていただかなきゃ。

場所を1階に移し、まずはこのおぜんざいの”キモ”である京都大納言を拝見。

早速、腰を曲げて60キロ入りの茶袋のなかに手を伸ばし、両手で小豆をすくって顔に近づけてよく見ると、一粒一粒が大きくて艶がよく、、、?? あれ?艶がよくないものもある。

それに正直、これまでの和菓子屋の取材で見てきた小豆と比べると決して、揃っているとはいいがたい。するとわたしの後ろに立っていた大槻さんが、ニコニコしながら理由を教えてくれた。

京都大納言は、虫に喰われやすい品種なんだそうで、大槻さんいわく虫は美味しいものを良く知っているからだそうですが、その分何度も何度も、何度も選別を繰り返さないといけないんだとか。

わたしが手にしたのは、その選別をするまえのもの。で、選別後のものを見せていただくと、あらまぁ綺麗な小豆だこと!

厳しい選定をクリアした京都大納言は、その上品な名前にぴったりのおぜんざいになるべく、大槻さんの手によって、炊き上げては水を変え、それを何度も何度も繰り返していくのですが、でも、度を越すと皮の張りがなくなり、くたびれた味のぜんざいになってしまう。
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関西人らしい饒舌で取材中も面白い話を聞かせてくれる大槻さんも、小さな釜が沸騰し、小豆が上の方でクツクツと舞い始めると徐々に無口になり、小豆の炊き上がり具合をじーっと観察している。
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大槻さんの仕事振りは、一見、飄々としているようであって実は、精密機械のように細かな気使いをしているのが見ていて良くわかる。

おぜんざいもだけれど、大槻さんは料理を作るのが心から好きな生粋の調理人なんだろうなぁ。

おぜんざいの中に入れるお餅も、予想通り自家製で、もち米として抜群の評価を得ている、佐賀県のヒヨクモチを使っているんです。 美味しいわけだよね。

ちなみに、わたしの机の右斜め後ろに鎮座している「セコムの食」専用の冷蔵庫には、このおぜんざいがあと数袋入っているんです。

このおぜんざいが、わたしの近くにあるだけで、なんだかすっかり美味しい気分になっちゃうし、甘いものが好きな人にはついついおせっかい的に、配って食べてもらいたくなるの。

美味しいものは、人を幸せにしますよね!だからわたしは、美味しいものをたくさん見つけたり、たくさん配ったりするの、ホントに大好きなんです。

このおぜんざい、甘いもの好き、特につぶ餡好きの人々をものすごーく幸せにしてくれると思います。

夏場は、冷やしぜんざいにするのも、実はオススメ。ぜひ、一度食べてみてくださいね!
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投稿者 news : 2006年03月16日 | 2006年セコムの食取材日記 | コメント (0)

京都大納言のおぜんざい<その1>

わたしの友人のなかには、わたしが甘いものに興味がないと思っている人が結構いるかも。

それは、わたしの宿命であるダイエットのため、仕事以外の食事ではなるべく甘いものは控えるようにしているからなんですが、でもね、実は甘いもの大好きだし、特にお豆系は結構うるさいんです。

というのも、わたしの母親がお豆さんを煮炊きするのが結構上手で、母がぜんざいを炊いた日には、ご近所さんが集まってきたりしていました。

ま、誰でも自分んちの料理が味覚の基本になるわけで、多分かなり贔屓が入っているとは思うんですが、とりあえずわたしはとっても美味しいと思っていたわけです。

だから、ぜんざいもこの仕事を担当して早い段階から商品を探し、店頭でぜんざいを見つけては、店の有名無名を問わず買いまくって試食していたんです。

だけど、ことごとくNG。

あーぁ、やっぱり販売するとなるとレトルトにしたり機械製造になったりするから、家庭の小さなお鍋でコトコトと炊いたようなものを期待すること自体、無理なのかも・・。となかば諦めかけていたところに、一本の電話が!

『うちなぁ、おぜんざい作ってるんやけど、1度試食してもらえんやろか?』

あんまり商売っ気も感じない、のほほーんとした大阪弁でおじさんがおっしゃるので、とりあえず試食のサンプルを送ってもらうようにお願いして、美味しいといいなぁと思いながら、商品の到着を待ちました。

実は、このおじさんからの一本の電話を受けたとき、わたしはとってもいい予感がしていたんです。

それは、言ってみればバイヤーの勘、いや動物の勘!

ちなみに、わたしを良く知る友人からは「いのくちは右脳だけで生きている」とよく言われますが、なにしろいい予感がしたんです。

そして、わくわくしながら待つこと数日。届いた商品をみてみるとカチンカチンに冷凍されていてお餅も1袋に1つついている。

解凍してお鍋で温めて、湯気がほんわりと立ち昇るところをまずは、スプーンですくって食べてみると、、、、。

あーっ。 この味だーっ!この小豆の皮の丁度いい硬さ、噛んだときに中から出てくる粒子のコク、そしてこのなんとも絶妙な甘さ。強くなく、かといって弱くもない、切れのいい甘さがね、わたしの味覚を魅了するぅぅ。

そして、餅ものびーる、のびーる!杵搗きだわね、きっと。いや~、嬉しいよ~!あまりにも懐かしい味だ。子供のころ、食べたあの味が実家に帰らずして食べられるなんて感動だわぁ。

早速、おじさんに電話をして、あ、おじさんの名前は大槻さんというんだけど、取材に伺いたい旨を伝えたところ、「そうやろ、美味しかったやろ。あれはな、めちゃめちゃ丁寧に炊いてるからな」と笑いながら答えてくれた。

そして、日程を調整して大阪にある大槻さんの工房に向かうことになったのですが、お昼前に来てほしいといわれたので、時間通りに伺うと、ご飯を一緒に食べましょう、とのこと。大槻家のお昼ごはんにお邪魔することになりました。

食卓に並べられたのは、ごま豆腐や野菜の炊き合わせやお吸い物などだったのですが、食べてみてびっくり! 美味しいのなんの!ごま豆腐なんて食べた瞬間に、思わず旨い~!と叫んでしまったくらい。

『ははぁ、そうか。旨いか。よかった。ごま豆腐も手作りやで』

え?ウソでしょっ?!プロの料理人でもでもこんなに美味しいごま豆腐なんてそうは作れないってば。とろんとしてて、舌の上でごまの風味がふわ~っと広がって、これ、商品としてご紹介したいくらいやわ。

すると大槻さんが『わたしな、以前は和食の調理人やったんや。店構えてな、評判よろしかったんよ。それが、いろんな縁から今は、ぜんざい作ってるんやけど。たまにな、お客さんとか来たら、作って出してあげるんよ』。

へぇ~、そうなんだ!もったいなぁい!こんなに美味しいもの作れるなんて、すごいやないですか!お店再開してくださいよぅ。

でも一体、なにがどうしておぜんざいを作ることになったんですか?

、、、つづく
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投稿者 news : 2006年03月16日 | 2006年セコムの食取材日記 | コメント (0)

豆板餅/彩り餅

「セコムの食」でとても息の長い商品のひとつ、豆板餅。

お餅というと、お正月に食べるものというイメージがあるものの、豆板餅に関しては、真夏だって売れてしまう、人気商品のひとつなんです。

生地のなかに黒豆がたっぷりと入っていて、焼くと香ばしいし、生産者グループである農家さんたちが、自分たちが育てたもち米を使って、お餅を搗いているから、その愛情の入れ方もたーっぷりなわけなんです。

その豆板餅も加えて、バラエティ豊富な「彩り餅」のなかに2006年冬号から加わったのが、六穀餅!

そこで新年早々、この六穀餅の搗きたてを食べるべく、石川県にひとっ飛びしてきました。

いつもはレンタカーを借りて、現地を訪ねるんだけど、今回ばかりはあまりの豪雪。生産者の方に、お迎えにきてもらい、工場に到着。
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駐車場に積もった少しの雪さえも、南国育ちのわたしには乗り越えるのに困難をきたし、えっちらおっちら、および腰でそれでもなんとか、転ばずに事務所に入ることができました。あぶない、あぶない。

で、お茶をいただく間も惜しんで、早速準備してくれた白衣に着替え、餅を作っている作業場を取材させてもらうことに。だってね、この日わたしは朝ごはんを我慢して抜いてきたんだもん。お腹が空きすぎたら、性格悪くなっちゃうじゃないですか。

業務用の餅つき機といっても、臼も杵もそんなに大きくはなく、スイッチを押すと、上から杵が等間隔で降りてきて、下にあるもち米を搗いていくもので、その隣ではシュワシュワと真っ白な湯気をあげながら、ちょうどお米が蒸しあがったところ。

ちょっと食べさせてもらうと、ん~~、ぎゅっとしまっていて甘みもしっかり含んでいて、さすがに美味しい!いいあんばいで、もち米とうるち米が混ざっている。

ふと横の台に目を移すと、今回の六穀餅に搗きこむ色とりどりの穀物たちが、並べられていて、それぞれつき込むのにちょうどいい具合に火が通されている。

美味しそうに見えるものは、全て口の中に運ばなきゃ気がすまないわたしは、もちろん一つずつ食べてみました。

黒豆は、六穀のなかでも一番大きく親分肌なだけあり、味が濃くてほっこりしていて、キビはプチプチとしていてやわらかい甘さがあるし、粟は思ったよりももっちりとしている。

それから、小豆はそのまま食べるとちょっと硬めに仕上げてあるんだけど、それは自宅で焼くときにちょうど良い食感と香ばしさに仕上がるようにとの配慮だそう。さすがだね。

さて、では餅つき開始!機械のスイッチを入れ、蒸し揚げた白米2種を入れ、順番に穀物を投入していくと、白い生地が少しずつ色づいてきて小豆が入ってまもなく、淡いピンクへと変化していく。

搗きあがったものは、打ち粉を引いた台の上に乗せて計量したあと、斗棒と呼ばれる箱のなかに急いで詰めてぎゅっぎゅっと押しながら形を調えたあて、一昼夜ゆっくりとねかせて、はい、出来上がり!
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そして、わくわくしながら待っていたわたしの掌に、「熱いから気をつけて」といいながら、おばちゃんが出来たて、搗きたて、ほっかほかのお餅を渡してくれました。

待ってました!食べてみると、「当ったり前でしょ!」と言わんばかりに、生地がモチモチ伸び伸び~としていて、まずはもち米の深い甘さをしっかりと感じる。そのあと、それぞれの穀物が噛むたびに、違う味を主張してきて、まさに6変化の美味しさ。

この餅、かなりのハイレベル。だってただ練り込んだだけで、こんなに美味しく仕上がる分けない。穀物の配合量も、かなり研究したんだろうなぁ。旨いよ、旨い!

この日に食べたお餅は小豆がちょっと硬かったけど、おうちで焼くと、いい感じに火が入って、さらに美味しくなるんだよね。すばらしい!個人的には、看板である豆板餅よりも好き!

新年早々、とっても幸せになれる商品の取材、ラッキーでした!みなさんも、是非いちど食べてみてくださいね。
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彩り餅
豆板餅小セット
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さとやのサンゲタン<その2>

暑い暑い2005年、夏のある日。ローカル列車に乗って、やっとたどり着いたところは、この商品の生産者。

たっぷりの滋味と繊細な味わいに、心まで豊かになるわけですが、さて、ではその美味しさの秘密を取材させていただきましょう。

まずは、メインの食材である鶏は、もちろん国産で信頼のおける養鶏場で育った、やや大きめのものを仕入れています。それを一羽ずつ丁寧に下処理するんですが、この作業が一番大変なんだそう。

一羽そのまま煮込むってことは、そのまま味に反映するってことで、ほんの少しでも余計なものが残っていたり、きれいに処理されなかったら臭みが出たり、味が劣化してしまうんです。

それに鶏は比較的傷むのが早いから、この下処理は家族総出で、一斉に行う作業。

そして次に、この鶏の中に材料を詰めていくのですが、さすがにプロですね、ほんと慣れた手つきです。

まずはナツメを奥に詰めて栓のようにして、お米がバラバラとならないようにして、そこにキュッともち米を流し込む。

それから栗を入れ、高麗人参は食べやすいように手で割いて、最後に足を交差させて、中身が出ないようにして完成。で、じっくりと煮込んでいくんです。

じっくりと煮込んでいくんですが、富山さんは圧力釜は使用せず、数時間かけて大鍋でクツクツ煮込むんです。細かく火の調整をして、噴かないようにしながら、浮いてくるアクをことごとく、すくい取り、すくい取り、すくい取る。
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圧力釜だと、このアクをすくう作業ができないし、時間は短縮することできるけれど、肉も柔らかくなるけれど、富山さんは、ご自身が作るサンゲタンに何よりも繊細さを求めているんです。

あれだけのアクをそのままスープの中に溶け込ませてしまうのと、全てすくい取ってピュアなスープにするのとでは、味に雲泥の差がでるのは必至。

さらに富山さんは、化学調味料等を使わずに鶏の旨みをさらに引き出すために、ある工夫をしているのですが、これは企業秘密なので、、、内緒! (^^ゞ

この工夫にたどり着くまでには、ものすごい時間と試作を繰り返したんだそうです。旨いものに近道は無いのだ。

そして待つこと、数時間。富山さん自慢のサンゲタンが完成!で、早速試食させていただくことに。

韓国のサンゲタンは、比較的小さな鶏を使うことが多く、それに比べると、富山さんのサンゲタンはかなり大きめ。韓国製の土鍋に入って出てきたものの、わたしひとりで食べれそうにはないくらいの大きさ。でも食べちゃうけど。

では、いただきまーす!ん~~、味が繊細! 旨みがじわじわ、ほんとに美味しいの。

「美味しいですか?」との富山さんの質問に、わたし、心の底からうま~い、って言っちゃいました。

すると、富山さんが、『うちのサンゲタンは美味しいと思って下さるか、美味しくないって言われるかどっちかなんです』という。

それは、化学調味料に慣れた舌の方には、ひと口目のインパクトが物足りないからなんだそう。

そうかもしれない。人工的な味に仕上がった商品と比べるとこのサンゲタンは、淡白な味に感じてしまうかもしれない。でも、ゆっくりと口に含み、じわじわと舌に染み込ませていくと深い深い鶏の旨みが、柔らかく広がっていくの。

あーもう、あのときの味を思い出してたら、あのサンゲタンをたべたくなっちゃったよぅ。

このサンゲタンを口にすることがあったなら、是非、ゆっくりとじっくりと食べてみてください。もちろん、薬味なんて入れちゃダメですねん。

そしてわたしは、富山さんのサンゲタンが、本場の味に負けるとも劣らぬことを証明するために、本日より韓国に自主取材を敢行!

同行メンバーは、いずれ劣らぬツワモノ揃い。酒量にいとめはつけない面々ゆえ、ちと不安ですが、、、。

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さとやのサンゲタン
さとやのサンゲタン土鍋つき

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さとやのサンゲタン<その1>

今年の夏は暑かった。暑かった。その暑い夏のある日、わたしは、JR九州の小さな駅のホームの端っこで、20分に1本の電車を待っておりました。

汗を拭き拭き、携帯から会社に仕事メールを出していたら、列車が到着するアナウンスが流れ、早く涼しい車内に乗りたいとじっと待っているけれど、目の前に電車は現れない。

現れないんだけど何故か発車ベルがなり、ドアが閉まりますというアナウンスが。・・・・へ?

意味がわからずあたりを見回すと、わたしが立っているホームのずーーーーーっと向こうに、たった2両編成の電車が見える。うそーっ!

それから慌ててホームの端から端まで、全力ダッシュしたものの無情にも電車はガタンガタンと動き出し、わたしの額の汗は3倍増。 (-_-;

田舎の駅ではよくあることで、15両分くらいあるホームに止まる電車が1両とか2両編成だったりする、あのトリックにこの暑さのなか、わたしは引っ掛かっちまったわけですね。

とほほ。。。。。あと20分、この蜃気楼が起こるほどの暑さと、耳にしがみつきそうな、セミの鳴き声のなかで待つのか、、。

セミより、わたしの方が泣きたいわい。

そのうえ今日の取材商品は、冬号で採用予定のサンゲタン。暑くて熱くて、すごいことになるんじゃなかろうか。

しかし、待つこと20分。ローカル列車のなかは、天国のように涼しく、目的の駅に到着するまでに、暑さもわたしの眉間のシワもすっかり落ち着いたとたん、自分が空腹なのに気づき、がぜん、サンゲタンを食べるのが待ち遠しくなってきた。

そうだよそうだよ、たどり着くまでに苦労したときほど美味しいものに巡り合ってきたじゃないか。

改札を抜け、歩くこと約5分。真っ赤な暖簾が印象的な韓国料理店にたどり着いたわたしは、元気に扉を開け、生産者にご挨拶。

笑顔で出迎えてくれた富山さんは、電話での印象通りとても丁寧な方で、笑顔から誠意が伝わってくる感じ。冷たいお茶で一息ついたあと、早速サンゲタンの取材をすることに。
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富山さんの店では、サンゲタンが何種類かあるのですが、わたしが「セコムの食」でご紹介したかったのは、こちら。

さとやのサンゲタン 鶏のみ
さとやのサンゲタン 土鍋、スプーン、箸つき


わたしね、これを初めて食べたとき、いや、正確には食べ終わってから少し経ったくらいに、なんだか身体の細胞のすみずみまで元気になるようなパワーを感じたんです。

化学調味料を使ってないので、最初にガツンというインパクトはなく、どちらかというと淡い口あたり。そして限りなく繊細で、薬味もいれちゃダメなくらい。

まずは、塩をいれずに味わってみて、鶏そのもののスッピンの旨みを味わうと、やわらかで、すーっと伸びやかな美味しさが口の中に広がり、良質な鶏を使っているのがよくわかる。

つぎに添付の塩を入れてみると、さっきとは一転して味がグッと引き締まり、シャープなコクが楽しめる。

そこに胡椒を少々振ってみると、さらに複雑な余韻が生まれことごとく、鶏の旨みを堪能できる。

じっくりと煮込んだ鶏肉を口に運ぶと、ほろほろとほぐれ皮はとろんとゼラチンを擁し、詰めたご飯は粥のように柔らかく当然のことながら鶏の滋味をたっぷりと含んでいるんですね。

美味しいんだよね~、美味しいんだよね~。心まで満たされる繊細な美味しさなのよね~。

『でも、いのくちさん。このサンゲタンにたどり着くまでには、ものすごい道のりだったんです』と富山さん。

そうでしょう、そうでしょう。こんなに美味しいものがいとも簡単に作れるなんてこと、あんまりないですもんね。そのご苦労を、教えてください!

・・・つづく
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さとやのサンゲタン
さとやのサンゲタン土鍋つき

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大山さんの明太子<その2>

ちゃっきちゃきの九州オンナの大山さんが作る明太子に惚れて、向かった先は、福岡の田舎の小さな小さな駅。

突然の訪問にビックリした様子の大山さんだったのですが、あっという間に仲良くなってしまい、明太子をつくる工房を覗かせてもらうことに。

奥の工房は、ちょっと大きめのキッチンって感じ。女性が二人で切り盛りしているだけあって、とても整頓されていてこれまで取材してきた明太子の工場の雰囲気とはゼンゼン違う。

機械と呼べるものはなく、寸胴鍋が2つあるのみで、材料として揃えてあるものも、昆布とかみりんとか塩とかだけで、添加物らしきものは一切ない。
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そして、透明の大きなタッパーがいくつか冷蔵庫の中に並べてあり、そのなかに同じ向きにおかれた明太子は、赤いダシのなかでプカプカと漬かっていて、なんだか気持ちよさそう。

美味しそうな明太子を目の当たりにして、すぐにでも取材を始めたいくらいなんだけど、今日のところはご挨拶だけ、ってことで、また日を改めてお伺いすることに。

で、この夏のとーっても暑いある日。再度わたしは大山さんの元を訪ね、2日間に渡って取材を敢行。すっごく面白い取材となりました。

大山さんは、アラスカ産のダップとよばれるたらこを使っているのですが、最初にみせてもらった冷凍状態のたらこは、なんだかとっても冴えない色で、寒々しそうにしているんですね。

それを1日かけてゆっくり解凍すると、たらこは本来の赤みを取り戻し、それを大山さんはひと腹ずつ丁寧に洗って塩水に浸したあと、調味液に漬け込んでいくのです。

その作業をしているときの、たらこに触れる大山さんの手は赤ちゃんでも触るかのようにそーっと優しくて、ゆっくり動くの。

この手付き、なんだか知ってるなぁ~、と考えていたら、あーっ、思い出した!エステに行ったときの、ベテランのエステシャンの手だ!プルプルしてもらって、つるつるになって、気持ち良いあの手。それくらい、丁寧にたらこを触っているのです。

そして、大山さんの明太子の真骨頂といっても、過言ではない調味液作りでは、大量の羅臼昆布や鰹節、マグロ節などを大量に鍋に投入して、ダシをとる。

もちろん、ちゃっかり味見をさせてもらましたけど、昆布の味がかなり濃厚で、そのなかに削り節のコクがばっちりと溶け込んでいる。これだけ濃厚だからこそ、化学調味料を使わなくても、美味しく仕上がるんだね~。

そして大山さんの明太子作りに対する姿勢にとても感銘を受けたわたしは、冬号カタログの『こだわり倶楽部』で記事としてご紹介することにしちゃいました。

それが、この記事

この明太子ができた経緯や、大山さんのこだわりを徹底的に取材しましたので、ぜひぜひ、ぜひ読んでくださいね。

絶対この明太子が食べたくなっちゃうこと、間違いなしです。
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大山さんの手作り明太子小セット
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大山さんの明太子<その1>

福岡のお土産ナンバーワンといえば明太子。美味しいですよね~、あのプチプチ。

博多駅や福岡空港の売店には、有名どころのメーカーの商品が並び、数え切れないほどの明太子があるなか「セコムの食」が自信を持ってご紹介したい明太子がこれ!

この明太子を知ったのは、出張で九州を周っているときのこと。大手ではなくたった一人の職人が、それも女性がめちゃくちゃ旨い明太子を作ったらしいというので、その情報を仕入れたときから、わたしの心はウキウキ。

早速、試食するべくその明太子を取り寄せ、封を開けてみると、添加物ゼロというだけあって色は少々地味。そしてお味のほうは、というとですね、うーん、今までにないオキテ破り的な味。

ひと口目にガツンという派手なインパクトはないのですが、舌の上でゆっくり味わうとじわじわと旨みが広がっていって明太子のつぶつぶがプリッとしていて、ちゃんと魚の卵の味がする。

舌を刺すような人工的な味がしないし、あと味もすーっと引き際がよくって、とってもいい明太子だなぁ~。

で、すぐに生産者の元に電話をして、掲載させて欲しい旨の連絡をしてみました。が、それから待つこと数ヵ月、やっとのことで生産者の大山さんからのOKを取り付け、その間ほんと長かった、長かった。

本来なら次の段階として取材日程の調整をするのですが、このせっかちな性格で数ヶ月も待ったわけです。

それに“善は急げ、膳も急ぐぞ”が信条のわたしは、他の商品の取材で福岡に行ったついでに、アポイントを取らずに突然訪ねていってしまいました。

福岡といってもめちゃめちゃ田舎の駅から数分歩いたところにある大山さんのお店は、まるでかわいい喫茶店のような外観で、最初明太子屋さんとは気づかなかったくらい。

その店のドアを開けると、奥のほうから元気な声で『いらっしゃいませぇ』と笑顔の女性が現れ、その元気さ加減が電話で話した大山さんとイコール。きっとこの人が大山さんだ。

わたしも負けずににっこり笑顔で「こんにちは、わたし、セコムの食のいのくちです」と名乗ると、そりゃもう店の外にまで響きそうな声で『うわぁ~、びっくりしたー。』と予想以上のリアクション。(^^;

大山さんって、やっぱり思った通りの人だなぁ、この人ならあの美味しい明太子を完成させるだけのパワーがありそうだもん。それに、始めてあったのに大山さんとは、以前から知った仲のような感覚なのは何故?同じ九州の血ゆえ?
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そのあとに賑やかな九州人同士は少し雑談をしたあと、わたしからちょっとだけ大山さんにお願い。「今日はほんとは正式な取材じゃないけど、でもチラッとだけ作業場を覗かせていただいても良いですか?」

『もちろんですよ、どうぞ!』

それじゃ、作業場にお邪魔しまーす。

、、、、つづく
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大山さんの手作り明太子小セット
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甑島ゆかしい海の幸セット<その2>

海の上で天日干ししたきびなごが美味しくて、訊ねてきた甑島。

生産者の馬場さんや、漁師のみなさんのきびなごに対する気持ちに触れ、さらにさらに、惚れ込んでしまったわたくし。

すると、馬場さんが一言『いのくちさん、きびなごの船に乗らんですか? 面白いですよ』

「の、乗ります。ぜひ!」

とはいったものの、この日はもう東京に帰らなければならなかったため、泣く泣く串木野行きの船に乗り、帰京。それから週末も休まずに、予め組んでいた過酷な取材日程をこなし、なんとか調整をして、甑島に戻ってこれたのは2週間後。

この日は、鹿児島県内にある、他の生産者を巡った後、現地入り。天候次第の出航ゆえ、今回は余裕を持って甑島に2泊し、甑島のよさを堪能する予定。

天気予報によると、明日より明後日のほうが天気がよさそうなので、一日めは、「ゆかしい海の幸セット」の中に入っているつけ揚げの取材をすることに。つけ揚げというのは、さつま揚げのことです。

生産者の庵地優さんは、まだ20代ながらも、地元密着型のつけ揚げ店の3代目であり、且つ、前途有望な漁師でもある。

庵地さんが作るつけ揚げの原料となる魚の約半分くらいはいつも自分の船で獲った魚を使うんだそう。

何事も体験することがモットーのわたしは、もちろん庵地さんの船にも乗せてもらい、水上ドライブ。 途中、馬場さんが船から落ちそうになり冷や汗をかいた瞬間もありましたが、なんとか無事に終了しこのとき水揚げした魚で作った、揚げたてのつけ揚げも食べました。

庵地さんのつけ揚げはね、現地の人たちが食べる味そのものなので、甘め。でも、その甘さが不思議と焼酎にバッチリ合うのですよ。地元の食材とお酒って当たり前だけど、ホントに合うのよね。感心しちゃう。

で、つけ揚げの取材が終了すると同時に、ホテルに戻り、この日の就寝は夕方6時! そんなに簡単に寝れるはずはないのだけど、だけどきびなご船の出港は0時過ぎなので、とにかく横になることに。

寝れない。寝れない、、、、ねれない、、、。ねれ、、、コテッzzz。それから数時間後、多少の眠さは栄養ドリンクで振り払い、小さなホテルの裏口から、そろりそろりと外に出て、庵地さんと待ち合わせ。

海からの風はぬるめで、外は真っ暗。何しろ甑島には、信号は小学校の前にひとつだけ。それだって、小学生に「信号とはこんなもの」と教えるために教育的設置をしたもの。セキュリティどころか信号も要らない街。

もちろん、島の住人の顔はみぃんな知っている。のどかだね。

きびなご漁へは、ベテラン船長さんが操縦する船で出港することになり、船長さんにご挨拶したあとは、オレンジ色がまぶしいカッパとちょっとぶかぶかの長靴に衣替えし、いざ海へ!

深夜の海って、もっと怖いかと思っていたんだけど、この日の海はなんだかとても優しい印象で、べた凪なので大して揺れもせず、これで、月が出ていたらもっと綺麗だっただろうに、、と思っていたら、月明かりのある夜は、きびなごの漁がしづらいらしい。へぇぇ。

わたしが、のほほ~んと海を眺めて機嫌よさそうにしている間に、船長さんは、魚群探知機をみながら網を投げる場所を探し続け周囲をチェックし、エンジンを停止。

きびなごは、刺し網漁で捕獲するんでありますが、刺し網っていうのは、狙う魚がいそうな海中に網を投げて、網目を通り抜けることが出来なかった魚を捕獲する方法。
小さなきびなごには網の目だって右の写真のように小さくする必要がある。

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そうか、こんなに細い網目なら大丈夫そうだ、と思ったとたん、目の前がチカチカするくらい白くまぶしい光が船の上に灯る。驚くわたしに、船長さんは『これを海に沈めて、きびなごを集めるんよ』と穏やかな声で説明してくれた。

そして、その灯りが沈められた後は、それまでつけていた電球をすべて消して、きびなごが網に刺さるのを、じっと待つ。待つ。待つ。月明かりがあると、きびなごが獲れにくい、というのは、月光でさえもきびなごが反応して海中に沈めた光に集まりにくくなるだめだとか。
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それから数分の静寂のあと、船長さんの掛け声が響くと、それからはも~大変。

光を上げるとともに、がんがんと網を巻き始め、水揚げを開始。きびなごは、めちゃくちゃデリケートなので、スピードが勝負!

わたしは、邪魔にならないようあっちこっちによけながら、シャッターを切る。そして、網に刺さったきびなごは、どんどんと巻き上げ、船の上に集められる。
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船の上でまだピチピチとしているきびなごは、きらきら光り跳ねるものもいてでも、とても弱い魚だから少しでも早く氷につけて鮮度を保持せねばない。この作業の間は、緊張した空気がぴんと張り詰め、どきどき。さらに、このあともう一回網を放って漁をして、この日は帰港。

港で待っていてくれた馬場さんは、きびなごを受け取り加工場へ。せっかく漁師さんたちが獲ったきびなごなんだもん、美味しく仕上げてね!と馬場さんに手を振り、わたしは漁が終わった船の片づけをしている船長さんたちの元へ。

すると、船長さんが『せっかく釣ったんやけん、持って行き!』とにっこり。実はわたくし、漁と漁の間の休憩時間に、漁師さんの力を借りて5キロ超の大物を2匹ほど釣っていたんであります。
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このうち、一尾は漁師さんたちとの朝食のおかずとなり、もう一尾はそのまま持ち帰ることに。。。

こちらは、馬場さんが塩で仕込んだきびなごを海上で、天日干ししているところ。太陽と海風がいっぱい詰まった味ですよ。

この取材をくわしく掲載した『こだわり倶楽部』は、こちら
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甑島ゆかしい海の幸
甑島のきびなごセット

投稿者 news : 2006年03月14日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

甑島ゆかしい海の幸セット<その1>

先週、「セコムの食」スタッフは、冬号カタログの校正を全て終え、とりあえず、精神的にはひと段落。

校了日には、お部屋でひとり祝杯をあげ、手帳を眺めながら今年いろいろと取材した生産者のことを思い出しておりました。

今年の取材は、なぜか海系が多いのですが、なかでも感謝したいくらいに心洗われる、とびきりの思い出ができたのが、甑島(こしきじま)。

実は、取材に行くまでは甑島自体知らなかったのですが、いや~、ホントにいい島でした。何がいいって、ヒトがいいの。風がいいの。

~~~~~あれは、初夏のある日。

羽田から飛行機で鹿児島に向かい、バスを乗り継ぎ、着いたところは、串木野港。天気もいいし、風も心地よい。約1時間のフェリーも大して揺れることなく、無事、現地に到着。

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夕暮れどきの里港で待っていてくれたのは、きびなごの干物を作っている生産者の馬場さん。

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明るい好青年、且つよく喋る2児のパパで、学生時代は柔道選手で、今でも島の子供たちに柔道を教えている、熱血漢。

今回の商品であるきびなごの干物の美味しさは、馬場さんの人望の厚さによるものだということが、このあとの取材でよくわかったのでありますが、しかし馬場さん、よく喋るんだ。そして面白い。

さて、港に着いたあと、軽トラで工場に案内してもらったものの、取材本番は明日なので、この日は簡単な打ち合わせのみで終了。

体力を翌日へと温存させるべく、海の幸をたっぷりと胃袋に収めたあと就寝。旨かった、かなり旨かった。

で、翌朝4時。馬場さんと待ち合わせをして向かったのは、船着場。遠くの海に目をやれば、漁火が港に戻ってきているところ。

『いのくちさん、今日はあの船のきびなごを買うとですよ』と馬場さん。取材していてわかったのですが、馬場さんの元には、その日に出航したきびなご船のなかでも1、2を争うくらい活きのいいきびなごが集まるんです。

それは、馬場さんに対する漁師さんたちの信頼の現われで、きびなごを島の看板だと自負している漁師さんたちは、きびなごに対して同じ思いを持つ馬場さんに、その日一番のきびなごを加工してもらいたいと思っているからなんです。

だから、同じ船から水揚げされるきびなごであっても、より鮮度の良いものだけを馬場さんに渡し、漁師さんから見て納得できないものは「今日は、うちじゃないで、○○丸からのきびなごを買えや」と言うんです。

そんな感じだから、馬場さんの携帯は早朝からよく鳴って、その日の漁の情報がいち早く入る。

入手したきびなごは、早速工場に運び込み、すぐさま塩水に漬け込むと同時に、選別作業が始まりまるんですが、この選別作業というのが、ものすごいんだ。

網にかかるときに少しでも傷んだものは、パンパンとはじいていってもったいないとか、妥協とかはないのですよ。「え?このきびなごのどこが駄目なの?」と聞きたくなるようなきびなごも、はじく。

そして、最も鮮度がいいものだけを選んで干物にしたり、瞬間凍結にかけるんです。ちなみに、瞬間凍結したきびなごは、解凍すればお刺身だってOK!手開きして、ちろっと生姜醤油につけて食べると、旨いんですよ。!(^^)!

それから、馬場さんのきびなごが美味しい理由が、もう一つ。それは、「完全海上天日干し」。だから、干物は晴れる日にしか、ぜーったいに作らないんです。
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空から降り注ぐ陽光と、海から吹き上げる風でパリッと乾燥させて旨みを凝縮させたきびなごはね、なんていうか、しゃんとしているんです。きびなごの美味しさがすーっと伸びるというのかなぁ、青魚の臭みなんて当然ないし、何匹だってパクパク食べれちゃう。

馬場さんのきびなごを取材していて、ますますきびなごが好きになっていくにつれ、ある思いがわたしの頭のなかに浮かんできた。すると、馬場さんがわたしの気持ちを見透かしたかのように、ひとこと。

『いのくちさん、きびなごの船に乗らんですか?面白いですよ』

「の、乗ります!乗せてください!」

、、、、つづく

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甑島ゆかしい海の幸
甑島のきびなごセット

投稿者 news : 2006年03月14日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

コムニタのコシヒカリ

「明日はどうでしょう?」

『だめだねぇ。午後から雨みたいだ』

「明日はどんなふう?」

『やっぱり雨みたいだから、無理だね』

「明日は?」『う~ん、なんともいえないねぇ』

と、こんな会話が数日間続いた後、やっと「明日なら!」と言われ、速攻で航空券とレンタカーを手配し、ネットで明日の天気を再チェック。晴れるはず。晴れるはず!

そして、当日。ほらね、晴れた~!待った甲斐がありました!

今日向かうのは、福井の山側にある池田町。目的は、稲刈り。生産者の“コムニタ”の方々と会うのは、4ヵ月ぶりくらいかなぁ。

その間に彼らが育てていた稲は、緑から淡い黄色に変化してきて穂先には、美味しいお米をしっかりと抱えた籾がたわわに実っている。
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「セコムの食」は、いろんなお米をご紹介していて、金賞受賞米や日本を代表する米の産地、魚沼のコシヒカリだって扱っている。もちろんどれも美味しいし、どれも自信作。著名な方から、大変なお褒めの言葉をいただいた米もある。

そのなかで、コムニタのお米はね、もうめちゃくちゃわかりやすい味。とにかく甘みが秀でているの。だからおにぎりなんかにしたら、ピカイチ。それに、コムニタは働いているスタッフの連携もピカイチなんです。

コムニタ、というのはイタリア語で「共同体」という意味。現在、コムニタは4人のスタッフが中心となって経営をしているのですが、彼らは元々農家だったわけではなく、農協の職員だったり大手企業の営業だったり、医療従事者だったりしたんだそうです。
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それが、ふとしたきっかけから、集まってコムニタを立ち上げることになったのですが、そのきっかけのひとつなのが、農家さんたちの高齢化。

これまで頑張ってきた農家さんが、ひとり、またひとりと田んぼを耕せなくなり、これまで精魂込めた良質な土地が荒れていくのを危惧し地元を愛する青年たちが、これではいけない、なんとかしたい、という思いで、空いた土地を借りて農家を始めた、というのがコムニタの始まり。

そういう人たちの集まりだから、みんな前向きだし農業大好きだし、それぞれ担当する持ち場をきっちりとこなしていくわけなんです。
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この日、わたしは昼過ぎに現地に入り、収穫真っ只中の田んぼを取材。今年は大きな台風に見舞われることもなく、ただ酷暑だったこと少々気になる、と話すのは、生産者の佐野さん。

でも、コムニタの田んぼには十数年にわたり、籾殻と牛ふんを完全発酵させた堆肥を鋤き込んでいるので、天候に大きく左右されることは、あまりないのだそう。

たしかに、わたしは何年も前からコムニタの米を試食していますが、甘さが落ちることはなかったし、実際に使用しているという堆肥も取材に行きましたが、完全発酵しているから、さらさらしていて、とても上等の堆肥でした。うん、あれはすごかった。

そして、美味しいお米を育てるには、きれいな水ですよね。コムニタのある池田町は、面積の9割が山林。ってことは、どれだけ山間にあるか想像が付きますし、真夏だって長い時間水遊びが出来ないほど、水が冷たいんだそうです。

水が冷たいってことは、それだけ稲が育ちにくいんですが、逆に言うとじっくり育ってくれるというわけ。
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この土地を知れば知るほど、コムニタの米が美味しい理由がわかるし、彼ら次世代の農業を支える人々の思いを知ると、さらに好きになる。

白ご飯は、日本人の主食だから、それぞれ好みの味があるし、地域によっても味が違うけれど、このコムニタのお米で作ったおにぎりの甘さは、是非1度味わってもらいたいなぁ~~。(*^.^*)
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コムニタのコシヒカリ(17年度産)

投稿者 news : 2006年03月14日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

フレッシュフルーツのシャーベット<その2>

果物屋さんじゃなきゃ、それも志の高い果物屋さんじゃなきゃできない、贅沢このうえないシャーベットと果物アイス。

ちまたのジュースやシャーベットが、加工用の果物を使うことが多いのに対し、青木さんのシャーベットには、高級生食用の果物のみをたっぷりと使い、果物の味を最大限に生かしながら、ほんの少しの砂糖で甘さをプラスしているんです。

で、その作り方ですが、アイスもシャーベットも作り方は基本的に同じ。前回はシャーベットの作り方を取材したので、今回は果物アイスをつくるのを取材させてもらいました。

果物アイスに使う材料は、もちろん生の果物。キウイ、パイナップル、イチゴ、オレンジは、いずれも包丁で切ったり剥いたりして、ホントに手間をかけるんですが、なかでもオレンジは、皮やスジなどを全て手作業で取り去ったものを使用。
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菓子職人の岡本大二郎さんは、職人気質というよりはすごく陽気で、ひょうきんな方なんだけど、腕は一流。なにしろこの道40年以上っていうんだもん。横で見ていて、恐れ入ります。

そして、切り揃えた果物は、フレッシュなミルクや卵と一緒にイタリア製の機械に投入して、美味しいアイスクリームに変化させます。そして、これまた手作業でカップに詰めていく。
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かくして完成したアイスは、純粋な甘さに満ちていて、それぞれの果物のフレッシュな美味しさがミルクの中にきれいに溶け込んでいて、大のアイスクリーム好きのわたしの心を、ググッと掴んで離さない。

あれ? でもよく見てみると、わたしが最初に食べて感動したアイスとはちょっと色あいや味に違いがある感じがする。そこで、青木さんに聞いてみた。

「ずっと前に食べたときと、なんだか印象が違うんですが、どうしてでしょう?」

『それは、フレッシュな果物を使っているからです。缶詰ではなくそのときに手に入る果物を使うと、果物が持つ水分や甘みによって味が少しずつ変わるんです』

『特に、生の苺は使う時期によって味や色あいの違いが出やすいんです。いのくちさんが、最初にうちのアイスを食べたのは春先でしたよね。あの時期の苺は水分が多くて色が濃いんです。だからアイスもほんのりピンクの色あいになったんです』なるほど!

そして、ここでいつものお願いをしてみてしまった。「あの、ちょっとだけ味見してもいいですか?」

『ぜひ、食べてみてください』 (^.^)

ん~~、美味しい~!

確かに、今日食べているアイスはこの前のよりも色あいが白くミルキーでさっぱりと食べられる。暑い夏の時期には、やっぱりさらりと食べられる方がいいもんね。旬の素材を使うということは、理にかなった美味しさってことなんだ。

わたしね、このアイスとシャーベット、大好きなんですが夏号で一番人気だったのも、実はこのシャーベット。

でも、予想をはるかに上回る売れ行きだったので、実際に作業する岡本さんたちは、朝早くから果物を剥くのが大変で、特にプラムは皮が薄く種が大きい割りに果実が少ないので、ものすごく大変だったそうです。すみませんでした~。 (^^;

このアイスとシャーベット、わたくし100%の自信を持ってご紹介しています。アイスが大好きな方は、ぜーーったいに食べてくださいね!
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投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

フレッシュフルーツのシャーベット<その1>

全国津々浦々、生産者の取材で旅を続けていると、いろんな商品に巡りあいます。生鮮モノ、加工品、お米、調味料、その他もろもろ。

で、仕事を続けていくなかで思うことは、原材料がシンプルな商品ほど美味しく作るのが難しいんだということ。

素材そのままの味を出すということは、それだけ材料が良くないと美味しく出来るはずはなく、作り手の腕の善し悪しだって、もろに透けてみれるわけですから、相当の覚悟が要るわけなんですね。

それでも、あえてそんな商品を「セコムの食」は求めているわけで、わたしも、隠し事のない背筋が伸びた生産者を探しているんです。

その意味でいうと、わたしがこれまで出会ってきた商品のなかで心から愛して止まないのが、このスイーツ。

なにしろシンプルの極みですねん、このシャーベット。果物の果汁と果肉と、少しの砂糖。 それだけ! 

わたし、このシャーベットと果物アイスを初めて食べたとき、「ホントに何も入ってないの?乳化剤も?安定剤も?」ってしつこく聞いちゃいましたもんね。

それに対して、生産者の青木さんはとても誠実に対応してくれ、その時点で、わたしはもうこの商品にすっかり惚れました。
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で、現地取材に向かったのですが、そこにはさらなる感動と感謝が待っていたのでした。

青木さんは、もともと果物屋さんを営んでいたのですが、ただ売るだけではなく、取り扱う果物は出来るだけ産地に向かい、農家さんと会話をして、いいなぁと思ったものを、店頭に並べようと努力するような志の高い方なんですね。

でも一番美味しい時期はとても短いし、これら果物の美味しさを生食以外の方法で多くのお客様にお届けできる方法はないかなぁ?と考えシャーベットやアイスにしてみたんだそうです。

青木さんいわく『最初はちょっとした遊びで』手元にある果物をシャーベットにしたんですが、それが予想以上の評判を呼び、本格的に作るようになりました。

ただ、最初にシャーベットにした果物は、地元でも有名な農家のものだったり、献上の品だったりと、生食でも最高値で取引されるほどのものだったんです。

さすがにそれでは採算が合わず、一時は少しだけランクを下げたものを使ったんだそう。とはいえ、見せてもらうと、これでランクを下げたんですか??と聞きたくなるほどの、秀品。これでも全く問題ないやん。

一般的に、アイスやジュースになる果物は、生食では食べられない傷みモノが使用されるものですが、生食で、それも高値が付くほどの果物をシャーベットにしてしまうなんて、あまりに贅沢すぎる!

だけど、人の味覚というのは正直というか、ある意味、罪というか (^^;

「今度のも美味しいけど、前の方が美味しかったよ~」とお客様から言われたんですって。

すると青木さん『そう言われると、やっぱ美味しいと言われるほうがいいですから』と、以前のその高級果物をまた使用することにしたんですね。もう、これは採算とか度外視ですわね。

『うちは果物屋ですから、果物屋らしい商品じゃないと。少しくらい大変でも、美味しく食べてもらう方がいいですけんね』

いや、ホントに美味しいもん。感動したもん。じゃぁ、その美味しい現場、アイスとシャーベットの作業場の方を見せてくださいますか?

そして、2階の作業場に上がって、まず驚いた。こ、これって、手間かけすぎと違うんの?!

、、、つづく

投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

辛鮮・柚子こしょう<その2>

今年、わたしがみつけてきた美味しい食べ物たちのなかでも、大ヒット!だと思っているのが、この柚子こしょう。

青は鮮烈な香り、赤はストレートな辛さ、合わせは複雑な辛みが特徴で、1度味わったらもう手放せなくなること間違いなしの調味料。

この柚子こしょうの美味しい理由を知るために、今日は大分の山の中に、レンタカーで一人旅。天気もよくて、気持ちいいの。

到着したときは、「青」を作っている最中で、大量の緑色の柚子の皮と、濃い緑の唐辛子を、生産者の梶原さんが小さな機械で擂り潰している。
柚子こしょうは、四国や九州地方でよく利用される調味料なんですが、こしょうと名がついていても、実は胡椒は一切入ってなくて、原材料は、柚子と唐辛子と塩のみ。

でも何故、「胡椒」という名前なのかというと、九州地方では唐辛子のことを ”こしょう” と呼ぶからなんです。

ちなみに、九州人は「物を片付ける」ということを、「なおす」といいます。わたしはこれを方言だということに気づかず、共通語だと信じて生きておりました。

ところで、この柚子こしょう。どうしてこんなに香り高く、辛さに深みがあるのかというと、まず第一に全ての工程において鮮度を追求しているということ。

あまりにシンプルな原材料で、シンプルな作り方のなかに細かくたくさんの企業秘密が詰まっているので、詳しく書けないのが残念ですが、唐辛子も柚子も収穫したものをとにかく急いで製品にしていくというのが、大切なんですって。

唐辛子と柚子を擂りあわせる機械に入れているところ。辛いだけど、旨いんだな。
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だけど、この柚子こしょうを作れるのは梶原さんと奥さんだけなので、農家さんから大量に柚子が届いたりした日にゃ、もう大変。

手が腱鞘炎になるくらい包丁で柚子の皮を剥いていくのですが、取材しているわたしでさえ、ため息つきたくなるくらいの量。

小さな柚子をひとつずつ、それも果汁や果肉を入れないよう皮のみをきれいに剥いていくのです。

そして、この柚子の皮に合わせる唐辛子ですが、これにももちろん美味しい理由が潜んでいるわけです。

梶原さんは、ご自身でも無農薬で唐辛子を作っているのですが、契約している各生産者には、有機肥料を撒く時期などを細かく指導し、その品質を維持できるよう、ノウハウを全て公開しています。

さらに唐辛子の品種にもこだわっていて、いかに辛い種類の唐辛子をいかに辛く育てていくかを考え、常に工夫しているんですね。

赤は、赤い唐辛子を使い、青は緑の唐辛子を使い、合わせは、緑から赤に色づき始めた唐辛子をベースに、梶原さんがブレンドするんです。
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よく、柚子こしょうはどんな料理に使うの?っていう質問を受けるんですが、わたしは、「青」をお味噌汁のなかにほんの少しだけ入れるのが好きですね。使ってみると、思いのほかいろんな料理に使えるんですよ。

あ、それから大切なのは、自宅での保存方法。せっかく鮮度を追求して梶原さんご夫妻が頑張って完成させた商品は、『使い切るまで冷凍保存』が必須。

使いたいときには、冷凍庫から瓶を取り出して清潔な箸やスプーンでサクサクっと必要な量だけ皿にのせ、残りはまた冷凍庫に!

実は、わたしが最初にこの商品を見つけたとき、この冷凍必須ということを知らずに冷蔵保管して、香りや味を落としてしまったんです。みなさんは、わたしと同じことしないでくださいね。
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九州に柚子こしょうのメーカーは数多くあれど、ここまで香り高く、爽やかな辛さの柚子こしょうは、多分ないですよ。自信満々な商品でございますもん。

ぜーーったいにオススメです。
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辛鮮・柚子こしょう 青のみ
辛鮮・柚子こしょう 3色

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辛鮮・柚子こしょう<その1>

2005年夏のある日に開催された、至福のバーベキューパーティの数日前、主催者から参加者の数名に、「これ」を持ってきてください、という業務連絡が入りました。

案の定わたしの元にも連絡があり、『あ、いのくちさん?持ってきて欲しいものがあるんだけど』と、ある食材を指定されました。

「はい、もっちろんです。言われなくてももっていくつもりでした!」と即答。それが、これ

わたしね、美味しいものをみつけたら黙っていられない性質なんです。そして、それを味がわかる人たちに、すぐおすそ分けしたくなる習性もあるんです。

この柚子こしょうはね、自慢じゃないが今年のわたしが見つけきた商品のなかでも絶対に5本、いや3本の指に入る逸品。

この柚子こしょうは、レンタカーで九州をめぐっているときに、たまたま巡りあったのですが、最初に口にしたときの衝撃は、いまだに忘れることができませ。

そして、ことあるごとに何人もの食通の知り合いにおすそ分けをしてきたのですが、この商品に限っては「感動した!」の言葉が返ってこなかったことは1度たりともありまっしぇん。

もちろんバーベキューの主催者の方にも贈呈し、あまりの素晴らしさに感動されたようで、『持ってきて』という連絡が入ったわけなんです。

さらに、バーベキューのときも、シェフたちからしっかりお褒めの言葉をいただいただけではなく、3人が3人とも『今度、ボクのとこにも送ってね!』(^.^)とおねだりされ、もちろん贈りますよ!とわたくし偉そうに胸を張ってしまいました。 あ、でもまだ送ってないや。(^^;

そんでもって、今日はこの柚子こしょうの取材で大分に来たのであります。台風で1週間延びたものの、見事な晴天と晩夏の心地よい気候、お気に入りのCDを大音響で聞きながらのレンタカー出張は、わたしにとって、ひとときの至福。

高速をひた走り、お昼前には2度目となる大分の山奥の、田んぼと畑と急な坂道しかない現地に到着。生産者の梶原さんが『道、わかりましたか?何回来ても間違う人がいるから』
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「大丈夫でした。わたし、1度来た道は忘れないんです」 

作業場の中に入ると、柚子の爽やかな香りと青唐辛子の青くツンとした香りが交じり合って、そうなの、この香りなの!この新鮮な香りは、他の柚子こしょうでは表現しきれないのよね。

そして中にすすんでいくと、奥さんが一生懸命に小さな青い柚子の皮を、使い勝手のよさそうな小さな包丁で手早く剥いているところ。

いや、正確には剥きつづけているところ。この作業、めちゃくちゃ大変でして、10個や20個ならまだしも、何百個ですもん。最盛期には朝から晩まで延々と手剥きするのですが、皮の厚さによっても味が変わってくるから注意が必要で、収穫時期によっては、柚子の皮がかなり固くなりすごく大変なんだそう。
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「でも、収穫した柚子はなるべく早く皮を剥いてあげないと」と言われるだけあって、この柚子こしょう作りの最大のポイントは、鮮度。

こ~んなに健やかに育った無農薬の柚子と、、、
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こ~んな鮮やかな無農薬の唐辛子で、作るのだ!
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唐辛子も柚子も、鮮度がよくなければ、こんなにいいものは出来ないんです。そして、この作業場で一台しかない小さな機械に目をやると、そこには出来たばかりの柚子こしょうが!

ぴっかぴかの鮮やかな緑色した柚子こしょうは、瑞々しくてつやつやしていて、あー辛そう!小指で少しすくって、落とさないようにすばやく口に運ぶと、青唐辛子のストレートな辛さと柚子の青く若い香りときりっとした塩の辛さとが一斉に味覚を刺激して、背骨がしゃきーんと伸びて、目がぱっちりとする。それもとっても心地よくぱっちりと開くの。

よっしゃ、それじゃぁ、この柚子こしょうの美味しい理由を、とっくりと教えていただきましょう!

でも、もうひと口、いただいていいですか?もう、わたし、これ、本気で大好きなんだもん!

 、、、、つづく
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ほたるいかの活漬け<その3>

5月下旬の深夜2時。超がんこ船長さんの船に乗り込み、沖へ出ること100m、、、200m、、?300m、、、!?

いや、正確には沖からの距離なんて素人のわたしにゃどのくらいかわからないんだけど、わたしが乗っている船の数倍大きな船よりも、うーんと遠くに来ているのは事実。

ん~、昼間の説明じゃ、こんな遠くまで行くなんて聞いてないんだけどなぁ、とわたしの眉間のシワが、ちぃとばかし深くなる。

(なんだかなぁ。 やだなぁ、、、、。いや~な予感)

北海道の噴火湾で甘えび漁のとき『湾内から出ないよ(^.^)』と言われたのに、気づいたときにはすでに湾外にいて、船が転倒するかと思う荒波に再起不能なほどの船酔い経験が、首筋のあたりをヒヤリとかすめる。

(こんな小さな船じゃ、トイレもないし、わたしカナヅチだし、、)

すると、わたしの不安を読み取ったのか、読み取ってないのか、読み取ってないに違いないが、船は速度を落とし始め一瞬のうちに、エンジン音が消され、どうやら目的地にたどり着いた模様。

そして、わたしを除く3名の漁師さんたちは、無言のうちに、ゆっくりと動き始めた。

ひとりは、船内にある青いプラスティック製のケースにホースを投げ入れて、ポンプで汲みあげた海水を張る。ひとりは、海に放たれているブイと船を、力を込めて結わく。

例の、実はいい人だった船長さんは、二人の手伝いをしながらも遠くで漁をしている大きな船をじーっとみながら、その動きを確かめている様子。

その遠くの船はというと、10名以上の漁師さんたちが定置網をぐいぐいと船内に引き上げ、網にかかっているホタルイカを『トンボ採りの網』に似たでっかい網で、ザクザクとすくっていく。

真っ暗な深夜の海上で、一直線に輝くイカ釣り船の灯り火はいかにも日本海の漁という雰囲気を演出し、少しずつ少しずつ、こちらの船に近づいてくる。

そして、両船の間が10mほどの平行位置になったところで、一体何がおこったのかというくらいの、慌しい勢いでこちらの船の船員さんたちが一斉に動き出した!

大きな船が追い込んできた網のなかで勢いよく泳いでいるホタルイカを、『トンボ採り網』ですくい、さっき海水を張ったケースのなかに、シャボン玉を触るかのようにそーっと水揚げし、海水を勢いよく流しはじめたため、船上は溢れた海水であっという間に水浸し。

水揚げされたホタルイカは、一斉に墨を吐きはじめ、ケース内は一瞬、真っ黒。しかし、流水により、すぐに透明度を取り戻し、青く幻想的に輝きながら泳ぎ回るホタルイカが見てとれる。
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そして、特に元気よく泳ぎ回っているホタルイカのみを小さな網で一ヵ所に集めていく。

通常のホタルイカ漁なら、大きな船がやっていたように網にかかったホタルイカをどんどん水揚げすればいいのですが、この活き漬けに使用するホタルイカは、まさしく『生きて』ないと、意味をなさない。

しかし、ホタルイカは他のイカ以上にデリケートで、水揚げ時の網やホタルイカ同士の摩擦などですぐに傷ついてしまう。また、水揚げしても自分の吐いた墨を吸い込み、あっという間に死んでしまうんです。

それを防ぐために、生きたままのホタルイカを慎重に網ですくって水揚げし、海水を流し続けて与えるダメージを最小限にして、生きたまま捕獲。それがすむと、一秒を惜しむかのように勢いよくエンジンがかけられ、一目散に港に向かう。

もーっ、早いのなんの!あたしゃ振り落とされるかと思いましたがね。

そして、港に到着するやいなや、待ち受けていたカッパ姿のおじさんにケースを手渡し、おじさんはそれを港のなかにある活ホタルイカ専用の生簀に流し込んで、活ホタルイカ漁が終了。

まことに目の覚めるような、あっという間の作業でありました。

こうして水揚げしたホタルイカは、その日のうちに生きたまま無添加の醤油に漬け込んだのが、このホタルイカの活き漬け

自身が吸い込んでいた海水と交換に醤油を吸い込むので身のなかにまでしっかりと醤油が入り込むと同時に、そのコリコリとした食感に、鮮度のよさを感じることができるんですねぇ。
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いい意味で磯臭くって、ダイナミックな味わい。他のホタルイカの塩辛とは、一緒にしないでね!

※品切れの際はご容赦ください。
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ほたるいかの素干しと桜干し

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ほたるいかの活漬け<その2>

深夜から始まるホタルイカの取材。

だけど、乗せてくれるはずの船の船長さんは、超ヘンクツおやじ。何度話しかけても、全く無視して出港の準備をすすめている。

お願いですよ~、船長さん。こんな夜中に、1人っきりこんな小さな港に残されちゃったら、あまりにも孤独すぎて、溺れ死んじゃうぞぉ。

そして、なかば涙目でふと横を見ると、船長さんの他にもう1人、こちらは普通そうなオジサンが船に向かって歩いてくる。

わたくし、急いでそのオジサンに駆け寄り『あの、わたしこの船に乗せていただくことになっているんですけどっ、、』

『船長は知ってんだろ?』

『は、はい。伺っていらっしゃるはずですが、お返事なくて~』(>_<)

『あん。なら大丈夫だよ』

よかった~~。 このオジサンは人を見捨てるような感じはしないし、いよいよ出発っていうときには、このオジサンに聞いて、無理矢理にでも乗ってやるぅ。。

優しげなオジサンの出現により、多少気持ちが太くなってからは、いつもの調子を取り戻し、船首にとまって毛づくろいしている白鷺と一緒に出港を待つことに。

船にエンジンがかけられ、モーターからはポンポンポンポンッと小船らしいのどかなエンジン音が流れ始めたところでわたしは、やさしいオジサンに『もう乗っていいですか?』と声をかけ、ちょっと大きめサイズの長靴で船にジャーンプ!

つい数時間前まで雨が降っていたせいで、船のあちこちには雨水が残り座るところはないけれど、どうやら港から100mとか150mのところが漁場だっていってたし、超凪だし。船の端っこをもっていれば大丈夫でしょ。

、、と思っていると、突然船長さんがボソッと『そこ立ってると、揺れるからここに座ってな』

おーっ。初めて口きいてくれたよー!それも、優しいお心遣い!いい人だぁ。船長さん。ちょっと無愛想なだけなんだぁ。(*^.^*)

ありがとうございます。こうなりゃ座りますよ。雨ガッパ着てないから、このまま座ると服が雨のしずくで濡れちゃうけど、郷にいれば郷に従え、せっかく船長さんが声をかけてくれたんだからこの際、多少のことは、気にすまい。でも、冷たいっす。

そして、船は沖へ沖へ。え?気づけばもう沖にきているじゃないですか?他の大きな船よりこんな小船が遠くまで出てきていいんですか?わたし、カナヅチだから遭難しても泳げないよ。

大丈夫なん~?実はいいヒトの船長さ~ん。

・・・つづく。

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ほたるいかの活漬け<その1>

泣く子も眠る、ウシミツどき。 腕時計の針は、1時47分をさしている。

5月といえども、この時間の漁港は肌寒く、昨日まで降っていた雨のせいか、ちょっと重めの空気が窓から車内に流れ込んでくる。

レンタカーを漁港に乗り入れ、長靴とヤッケを着込み、さて、行くか!

わたしから少し離れた所に停泊している船には、出港の準備を整え、一服している漁師さんが見えるけど、わたしが乗るはずの船は、2時半までには出港予定とのこと。

う~、緊張するぅ。生産者のおばちゃんが、船長さんゼンゼン愛想ないって言ってたし偏屈だとも言ってたから、急に気が変わって『乗せん!』なんてことになると、休日返上で富山まで来た努力が水の泡、、、。

だけど、5分経っても10分経っても、船長さんは現れない。

15分。20分。他の船はどんどん出港していくのに、この船、準備の何もしてないし、、、。

大丈夫やろか?船長さん寝過ごしてるんやないやろか?それとも、昨日雨降ってたから、漁出るの止めたとか?あーん、こんなことなら昨日のうちに、船長さんと顔合わせしておけばよかったよ。心配や。心配や。心配や。あたし、どうなるんやろ?

25分、30分。あーもう、2時半やんか~。船長さ~ん。

、、、と嵐のような心境のわたしの前に、2時半きっかりに軽トラが横付けし、なかから口を真一文字に結んだ船長さん「らしき」人が船に乗り込み、慣れた動きで出港の準備を始めた。

ホッと胸を撫で下ろし、船に駆け寄り『今日お世話になります、イノクチです。よろしくお願いします!』

と、元気よく挨拶したものの、、、、、おじさん、無視。

『あの、、、今日船に乗せていただくことになっていると思うんですが』

おじさん、さらに無視。

『えっと、、。今日船に、、、。』

わたしが見えないかのように、無視。

え~~っ。どうしたらいいのぉぉ?

そもそもこのひと、船長さんなん?も~っ。おじさーん、へんじして~。

・・・つづく。

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投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

これが漁師のくいもんじゃぁ<その2>

ちょっと変わった色と魚の味がぎゅーっと詰まったじゃこ天の取材のため、わたしは再度、愛媛の八幡浜へ。

待ち合わせ時間に少し遅れて現れた生産者の鳥津さんは、鳥津さんの子供と同じいがぐり頭と爽やかな笑顔が印象的。 うん、このヒトはいい商品作りそうなオーラがある、と長年の勘がわたしに訴えかけている。

「それでは、じゃこ天についてのお話を伺ってもいいですか?」ということで、取材が始まったわけですが、もうね、すごいですよ、このヒトは。じゃこ天のことになったら、前後左右構わず、延々と喋りつづけるんだ!

それもホントに楽しそうに、屈託なく隠すことなく堂々と話をする。確かに、わたしが取材してきた職人たちは、手技うどんの小西さんだって、鰻の江口さんだって、燻製の江崎さんだってみんな機関銃のように喋るヒトたち。

だけど、鳥津さんは、誰よりも楽しそうに喋るのね。だから、わたしもつられていろんな質問を投げかけ、取材初日にしてかなり長い取材になってしまいました。
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わたしは取材のときに、録音テープを回さずメモを取るやり方なんですが、この日ばかりは、テープが欲しいと思いましたよ。

でも、メインとなるのは明日早朝に同行させてもらう魚市場のセリから始まる取材。この日は、とりあえず一旦終了して、明日に備えるために、地元の漁師料理でもある『さつま汁』をひとり飯して、早々に就寝。

で、翌日、鳥津さんにくっついて八幡浜の市場に到着。すると、以前わたしが来たことを覚えていてくれた仲卸の方やセリ人さんも、たくさん話し掛けてくれる。

んでもって、毎度お決まりのように聞かれることといったら、『どっから来たとね?』『なんしに来たと?』『トリツの彼女ね?』(^^;ま、なんでもいいですぅ~。

そして誰かしらコーヒーをくれたり、魚の説明をしてくれたり、ホント八幡浜のヒト達は最初から最後まで寛容なのでした。

しかし、セリが始まってからの鳥津さんは、顔が一転して真剣そのもの。八幡浜は競り上げる方式ではなく、一度しか数字が出せない方式。いわばじゃんけんポン的勝負なんです。

ここでバシッとホタルジャコの仕入れをしたあとは店に戻って、仕込みに入るんですが、ホタルジャコは大人の指2本ほどの小さな魚。
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それを一尾ずつ頭とワタを取り、午前中かけて捌いたあと、熟成させて練りあげて、最後に菜種油でカラリと揚げおわるのは、大体夕方くらいなんですが、鳥津さん、揚げ終わるまで延々とじゃこ天の話をしてました。ホント好きなんだ~、じゃこ天。

それから、鳥津さんは奥さんの晴美さんとも、とーっても仲良し。たまにはチワ喧嘩もお見かけいたしますが、(^^;ハタからみていて羨ましいくらい、相性の良いご夫婦でした。そうなのよね、ヒトって結局は相性がいいかどうかなのよね。

そうそう、それから鳥津さんのお父さんがね、これまた個性的でわたし大好きなんです。一度、お父さんが釣ってきた魚を食べさせてもらったんですが、その旨いこと!旨いこと!

こんな環境の中で生まれた「漁師のくいもんじゃぁ」が旨くないはずがない。魚と塩しか使わない、ホントにシンプルな味ですが、その食感と魚の旨みの引き出し方は、他との比べ様がないオリジナリティあふれるもの。

詳しくは、こだわり倶楽部の記事に譲りますが、個人的には大好きな商品であり、大好きな鳥津ファミリーです。
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これが漁師のくいもんじゃぁ

投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0) | トラックバック (39)

これが漁師のくいもんじゃぁ<その1>

わたしが個人的に大好きな漁港、八幡浜の何回目かの訪問時、少し時間がとれたので、長くお付き合いしている干物の生産者のところに立ち寄ったときのこと。

ひとしきり、次号の商品についての話をし終わると、魚の目利きとしてはベテランの菊地さんが『美味しいじゃこ天があるけん、紹介しますわ』という。

おっ!わたしが最も反応する「美味しい」という日本語が飛び出したからには、そのじゃこ天を食べないわけにはいかない。

そこで菊地さんに案内してもらい、そのじゃこ天の生産者の店へ向かい、じゃこ天を買ったあと、菊地さんが店の方にわたしが何者なのかを説明してくれました。

しかしながら、店の方はセコムが通販とかいわれてもどうもピンときてないらしく、わたしもどう挨拶していいものやらビミョーな心境となる。

だってね、何しろ『セコムの食』は知り合いの紹介とか、何かしらの縁故があるから掲載します、というのを一切排除して商品選定をしているから、ここで前向きな挨拶して、商品を食べてみて掲載に至らなかった場合、紹介してくださった方にも申し訳ないし、あと味も悪いですもんね。

だから、その場はお互いよくわからないまま、わたしはその店のオリジナルといわれて渡された、普通と違う色のじゃこ天とともに東京に戻りました。

自宅に着き、ワインを飲みたいと思ったものの、その日の収穫がじゃこ天だったゆえ、ビールを取り出し、持ち帰ったパックの封を開ける。

なんだかねぇ、つみれみたいな色してて、でもじゃこ天っていわれたしな~。でもさ、商品名が『これが漁師のくいもんじゃぁ』なんて、もっとシンプルな名前の方がいいんじゃないの?と、いつもの如くひとり言をいいながら、パクッと食べた瞬間、、、。「あ、旨い!」

「ちょっとこれ、焼いたほうがいいね。生姜あったかなぁ、、。」と更にひとり言をいいながら、オーブントースターで数分加熱して、再度口に運んでみる。

「まいったなぁ~。旨いわぁ、これ。明日、会社に持っていかなきゃ。他のスタッフにも食べさせなきゃ!でもなぁ、もう一枚だけ食べとくか。な!」

、、ということで、翌日会社で試食。すると案の定、責任者のヨシダさんも旨い!という。そこで改めてこのじゃこ天の生産者に連絡を取り、また大好きな八幡浜に向かうことと相成りました。

松山空港でレンタカーをピックアップし、もうすっかり走り慣れた道をお気に入りのCDと一緒に快適に走る。すこーんといい天気で青い空にぷかぷかと浮かぶ雲が、流している音楽ととても合っていて、ご機嫌なまま時間通りに現地に到着。

そして店の前で「失礼しまーす」と何回言っても、だれも出てこない。約束したのになぁ、、と思っていたら、中からお店の方が『今日だっていうのは分かっていますから、もう少しで戻ってきますから』とのこと。

待つことしばし。数台の自転車が勢いよく止まる音と野球のユニフォームを着た子供のにぎやかな声のまんなかにいるのが、あ、鳥津さんだ。 子供と同じ坊主頭だ。

『すんませーん。お待たせして。子供と外に行っとりましたけん。』うん、見たらすぐわかります。(^^;

さて、では美味しいじゃこ天について、お話を聞かせてくださいね。

・・・つづく
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投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

王さんのえび湯葉しゅうまい&えび豚しゅうまい

先日、知人宅で行われたホームパーティに参加したとき、わたしは「セコムの食」の掲載商品を披露するという任務を引き受けました。

そこでわたしはMy冷蔵庫に眠っている数々の商品をいくつか持参し、舌の肥えた方々に味をみてもらいました。

もちろんどれも高い評価を得たんですが、なかでも『王さんの水餃子』は具はもちろんのこと、皮が美味しいと大好評。

そうなの!美味しいのよね。美味しいの。でも、わたしにいわせると美味しいのは当たり前。だってね、完成まで2年かかった皮のなかには具材と同じ量の”黄金のスープ”が練りこんであるんですもん。

丸鶏(ガラではなく丸のまま)と豚肉を朝からじっくりと、沸騰させないように煮つめて取り出した黄金のスープは、飲ませてもらうと、ゆっくり滋味がふくらんで、ガツン、ではなく、ふわ~っとした旨み。だから各具材の個性を引き立てつつ、複雑な味わいへと導くのであります。

王さんは、関西の有名中華料理店の総料理長まで務めた方でかなり頑固なシェフ。だけど、料理に対する姿勢は一貫していて、美味しいものを作ることに妥協のない方。

だけどね、カタログの掲載依頼で、初めて王さんに連絡を入れたときには、いきなり拒否されてしまい、翌日あわてて朝イチの新幹線で神戸に飛んでったんです。

そして、王さんを目の前に「セコムの食」のことをじっくりと説明して、納得してもらい、厨房を取材させてもらい、今に至るわけですけれども。。。。今では、王さんはわたしのことを、ありがたいことに、まるで我が娘のように、優しくしていただいています。
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「弟子や家内にさえ教えたことがないヨ」といいながら、水餃子のレシピを教えてくださったときは、その信頼の厚さにウルウルしてしまったのですが、実はわたくし、この水餃子よりももっと好きなものがあるんです。

それが、これ

ここで質問。わたしはどうしてこの商品のほうが王さんの水餃子よりも好きなのでしょう?

単純に好みだから?カロリーが低そうだから?はたまた、電子レンジ対応の蒸し器で簡単に作れるから?さて、何だと思います?

じつはね、このえび湯葉しゅうまい&えび豚しゅうまいは、王さんとわたしにとって、思い出深い商品なんです。

王さんを2度目に取材したときに、『今、自分のなかであたためている商品がある』と言われ、それは湯葉を使ったしゅうまいなんだ、と。

「美味しそうですねぇ。完成したら是非、食べさせてくださいね」と何気なく言ったら1ヵ月ほどして会社に試作の湯葉しゅうまいが、発泡スチロールに守られて届けられたんです。

もちろん、早速試食。カチカチの冷凍で、ドライアイスのような冷気をまとっているしゅうまいを、蒸し器にいれて蒸かしていくと、ころんと単に白かったものが、だんだんと息を吹き返すように湯葉に淡く黄色が戻り、えびが愛らしい赤味を含んできた。

食べてみると、乾燥湯葉の独特の弾力と海老のプリプリッとした食感が何とも調和していて、海老と海老との間には、噛むとキュッと旨みを排出する程よい大きさの豚の背脂が詰まっている。蒸してあるから、余計な脂分は湯気とともに削げ落ち、食材の旨みだけが残っている。

一方、えび豚しゅうまいは、何の躊躇なく海老と豚の旨みをバチッと対決させていてえび湯葉しゅうまいの繊細さに対し、しっかりと濃く、強い味わい。こちらは皮は湯葉ではなく、小麦粉。 豚と小麦粉は相性いいもんね。

こんなに完成度が高い商品だってことは、王さん、きっと何度も何度も試作を重ねたに違いない。あの性格だもん、絶対そうだよ。

わたくし、すぐに王さんに電話して、採用させていただきたい旨を伝えました。すると王さんは『そうか、よかった。あれは、あんたにあげようと思って作ったんだから』 とおっしゃるではないか!

え~っ、長年あたためていた商品を、こんなわたしに?「セコムの食」でご紹介させていただけるんですか?大変だ!また取材に行かなきゃ!行きますよ、すぐに!王さんに会いに!

そして再々度、王さんの元を訪ね、今度はしゅうまいたちの取材。王さんの仕事は、ホントに丁寧で、その下処理の積み重ねが美味しさに反映しているのがよくわかる。

で、王さんとの会話のなかでわたし、つい「海老がもう少し大きければもっと美味しいのかもしれないけど、贅沢はいいません」(^.^) と言ってしまったんですね。すると王さん、価格はそのままに使用する海老をもっと大ぶり品種に替えてくれたんです。なんという職人気質。

そのうえ、「セコムの食」にえび湯葉しゅうまいが掲載されてからというものいろんなデパートなどからえび湯葉しゅうまいを、取り扱いさせて欲しいと強い申し入れがあったそうで、今でもあるそうなんですが、『あんたと約束したから、他には出さん。全部断ってる』 とのこと。

百貨店に出せば、すごい販売個数になるのは間違いないのにそれでも、『約束したから』と言ってくれる王さんの思いが、わたし嬉しくて。これが、わたしがえび湯葉しゅうまいに一方ならぬ思いがある理由です。

ちなみに、わたしの家の冷凍庫にはえび湯葉しゅうまいが、まだ数袋眠っていて、今朝も3個ほど食べてきました。

冷凍の海老って、みずっぽくなってしまう場合もあるんだけど、このしゅうまいは、口の中でプリプリと弾けるように身が張っていて歯を入れるのが、限りなく楽しいの。そのうえ、背脂と香味野菜が海老の美味しさに華を添えているので、朝からでもゼンゼン重くなく重くなくと言うよりは、ホントにあっさりとパクパク食べれちゃうの。

王さんの水餃子とえび湯葉しゅうまい。さて、次はどこのホームパーティに持っていこうかしらんん?
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沖縄の3つの島のかちわり黒糖<その3>

超ハードな沖縄諸島の出張、一人旅。しかもトラブル続き。まず、養豚場で豚の匂いが服にしみこみ上着が使いものにならなくなり、それなのに、春というのに冬に逆戻りの、肌にしみるような寒さ。

さらにシケで船が欠航し、取材先の島に渡れなかったりと大変な旅だったけど、なんとか沖縄本島-石垣島-西表島-小浜島を取材。そして今、やっと石垣島に戻ってきて、東京に戻る、、、予定だったのですが。

やっぱり、心残りは船の欠航で取材できなかった粟国島(あぐにじま)。いまから急きょ、取材先へのアポイントや飛行機の手配など大変だけど、でもチャレンジしないで帰るのは、やっぱりもったいなくって仕方ない。よーし、粟国島に行っちゃいましょう!

石垣島に到着した後は、他の観光客がのんびり歩くのを尻目にかなりうるさい音を立てながら、キャリーバッグをゴロゴロ引っ張り、幹線道路に出て、最初に目に留まった「空車」マークのタクシーに思いっきり手をあげる。

『空港まで、お願いしますっ』と告げたあと、携帯で飛行機の空席状況をチェック。よし、大丈夫みたい。

空港カウンターで石垣島から沖縄までの予約を早い便に替えてもらい新たに那覇-粟国島の往復も予約。

あとは、生産者からの連絡を待つのみ、と思った矢先にタイミングよく連絡が。『工場は稼動する予定だけど、量は少ないよ。畑も見れる』

了解です!伺います、明日。

、、、ということで、那覇空港に着いたあとは、空室検索してビジネスホテルにチェックインし、夜は美味しそうなレストランを探し、ひとり飯。

「ひとり」を「独り」と思ってしまうかしまわないかが、この仕事を楽しめるか否かの差なのよね。それに、ひとりには、だれにもペースを乱されない自由があるんだもんね。

そして翌朝、部分的に快晴の空に向かって飛び立つべく、再び空港に向かい、チェックインカウンターに行くと、なぜか荷物を含めた体重を計られ、席は自分で決められないという。なんで?ようわからんけど、まぁいいや。

飛行機まではバスで移動というので、指定されたバスに乗り朝早いゆえ、なにも考えずぼーっとしていたわたしの目の前に現れたのが、写真の飛行機。
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あまりにも小さいから、乗客の体重を分散させるため席が選べないんだね。それにしても、目の前にパイロットの頭があるというのは、なんともビミョーな心境で、飛び立ったあとも風が吹けばふらりと揺れ、その揺れ方にかなり恐怖心が伴う。

スリルあっていいんだけど、帰りもこの機なんだよね~。

かなり不安に思っているわたしの気持ちなど知る由もなく、ベテランパイロットの巧みな操縦技術で無事粟国島に到着。

空港には、確か迎えに来てくれている工場の方が、、、だれもいない!沖縄のひとはのんびりしてるからなぁ、、と少し待ったけど迎えに来てくれている気配は、四方1キロくらいに耳を澄ませても聞こえな~い。

しょうがないので、製糖工場に電話したら、なんだか大慌てで誰かを迎えに遣すといわれ、10分後くらいに一台の車が到着。なんだかこの取材、プロペラ機以上に不安だなぁ。

そしてこの不安は的中してしまい、案内された工場は稼動しておらず従業員さんもいない。またまたなんで?

すると責任者の方が恐縮しながら『いや、ホントなら稼動しているはずだったんだけど、従業員のひとりが体調を崩してしまって、手が足りなくなったので今日は、やめにしたんだよ』 とのこと。

「セコムの食」のスタッフも、実はたった3人しかいないから、ひとりが背負う任務は確かに重いけど、でも、ひとりが体調を崩しただけで大きな工場の稼動をやめてしまうのも、なんちゅうか、のどかというかアクセクしてないというか、わたし的にはとっても困るんだけどなぁ。(^^;

でも、幸いにも、わたしにはこれまでに何ヶ所も製糖工場を取材してきた経験がある。それも昨日取材したばかりの、ほやほやの知識だから工場にある機械を見て工程を聞くだけでも、大体の状況がわかりました。

粟国島は、今回ご紹介している黒糖のなかでも一番、昔ながらの製法で黒糖を作っている工場。減圧機もないし、炊き釜もレトロ。かなりの部分、手作業で職人さんたちがひと釜ごとに炊き上げているとのこと。

そのあと、サトウキビ畑に案内してもらうなかで、工場長の小橋川さんが面白いことを教えてくれました。

『粟国島は、四方に防風林がないから、台風がきたらサトウキビ畑は大量の海水を浴びるんだよ。その海の塩水をたっぷりと吸った土で育つから、この島の黒糖は、どこか塩っけがあるんだね』

なるほど!たしかにミネラル豊富な印象が、あるあるある!サトウキビは、収穫後、刻々と鮮度が落ちるから、島から島へサトウキビを移動させることは不可能で、だからこそ、その島ならではの味わいが出てくるんですよね。

粟国島の真っ青な海と空に育てられた黒糖は、レトロな作りゆえ茎の香りがほんのり残り、味わいはミネラルを感じる爽やかな甘さ。頑張って、来てよかった!空も青くて気持ちいい~!

さて、なんやかんやとあったけど、結果的には楽しい取材だったなぁ。では再度、あのプロペラ機に乗って、東京にもどるぞー!

、、、おしまい。

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沖縄の3つの島のかちわり黒糖<その2>

『今月を逃したら、あとは冬まで製造しませんよ』という生産者からの連絡を受け、ぎりぎりのスケジュールで向かった、沖縄。

本島のほか、粟国島、石垣島、西表島、小浜島を一気にまわるかなりタイトな取材なのに、なんと粟国島への船がシケで欠航!

飛行機という手段は残されているものの、粟国島から戻る飛行機が欠航してしまうと、今回のスケジュールは、すべてアウト。

どうしよう。どうしよう。とりあえず、モノレールで空港に向かいながらも、頭の中は整理できず粟国島行きの空港カウンターの前で、さらに思案。

ん~。ん~~。ん~。ふぅぅ。しゃーない、このまま石垣島に行こう!リスク分散型スケジュールを選択!

それから、同じフロアの端にある石垣島行きのカウンターに走り、「次の便、空席ありますか?」セーフ、空いてるっ。

ランチを食べる暇もなく飛行機に乗り、空路約50分で何度も降り立った石垣島へ到着。

石垣島は、わたしがこれまで訪ねてきた取材先の中で、3本の指に入る大好きなところ。癒しの風が流れてて、海は綺麗だし、気候もいい。

・・・はずなのに、この日は今までの石垣島とはぜんぜん違ってた。空は鉛色、癒してくれるはずの風は霧雨を含んでいて、なにしろもう、沖縄とは思えないくらい、寒い!!

なのに、昨日の養豚場取材でしみついた匂いのせいで、たった一枚の上着は、使いものにならないの~。着れないの~。あ~ん、もぅっ。

たしか石垣島は今日、海開きだったはず。なのに開くどころか、折りたたんで仕舞いこみたいくらいの肌寒さはいったい何なの?

明日だって、船で石垣島と小浜島に行くのに、また悪天候で欠航なんて、そんなのありえない!

まぁね、でもここでいくら思いをめぐらせても仕方ない。気持ちの切り替えと開き直りが早いのが、わたしのとりえ。

せっかく大好きな石垣島に来たんだもん。美味しいものを食べなきゃ、と八重山そばを2軒、その後、予定通りひとり焼肉&例の居酒屋。

そして、翌朝。空はすっきりせず、相変わらず寒いものの、船は石垣島を無事出港。ね?案ずるより産むが易しなのよね。

最初に向かった西表島には、さとうきびの生産者の方が待っていてくれてそのまま、島にひとつしかない製糖工場に。

さとうきびの収穫に合わせて、冬季しか稼動しない製糖工場は、そろそろ今年の役目を終えようとしているところで、少しのんびりとした雰囲気に包まれている。

この島で育てているサトウキビが数種類あることや、農家に糖度の高いサトウキビを育ててもらうための工夫などを取材した後に工場視察。西表島の黒糖は、他のものと違って四角い形をしているんですが、それは、右の写真のように切り分け作業をしているからなんです。
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一連の取材を終えて、一服お茶をいただき、さて、小浜島行きの船に乗るべく、港に向かったんですが、まだ時間があるということで島内を少し案内してもらうことに。

西表島は、ワイルドな自然に溢れた島で、天然記念物のイリオモテヤマネコや、カンムリワシがいる島。この日もカンムリワシが空を悠々と飛んでいるところを発見。キリッとした目がかわいかったなぁ。

さて、次は小浜島ね。

小浜島は、NHKの「ちゅらさん」の舞台になった小さくて穏やかな島。昨年も取材した製糖工場なので、遠くから見える煙突も懐かしく工場に働くおじさんたちも、知った顔がたくさんいて『久しぶりだねぇ』なんていわれると、覚えていてくれたことがとても嬉しい。

小浜島の黒糖は、甘さも苦味も穏やかで、その味は島の雰囲気と同じやわらかさがある。現地で、できたての黒糖をひとかけら食べて、うん、そう。 この甘さが、いいのよねぇ、、と、また一つパクリ。(^~^)

サトウキビ畑を一周して、空はまだ雲ってるけど回復してきていて透明な風が、なんとも沖縄らしくゆったりと流れている。やっぱりいいなぁ、小浜島は。

さて、では戻るか、と日が傾きかけたころには石垣島行きの船のなか。だけど、わたしの頭の中には、常にあの島のことが残っていてつぎつぎと各島の取材を終え、気持ちにスペースができるたびにその存在が膨らんでくる。

やっぱり、行こう!明日、粟国島!

今日は日曜だからのんびりした沖縄の生産者に連絡が取れるかどうか、それに朝イチの那覇-粟国間のエアーチケットも空席あるかわかんないし、明日、東京での予定も全て変更しないといけないから、大騒ぎだけど。

でも、いろんな島の黒糖を取材して、その島ならではの味をみてきてやっぱり、どうしても粟国島に行きたいとおもうの。そして、思い立ったらなんとしても実行するのが、わたしでしょう!

よし! 船を降りたら、まずは明日のエアーの確保からだ!わくわくしてきたぞ~!

・・・つづく。

投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

沖縄の3つの島のかちわり黒糖<その1>

性格上、わたしはいつでも慌しいのですが、特に年4回発刊するカタログの制作時期には、それがさらに増し、お上品な言葉が消え、眉間にシワができ、なんとなぁく、隣に座っているヨシダさんがわたしとの会話を避けるようになる。

原稿締め切りまでの日数よりも、取材先の数が超えるのはいつものことで、そうなると、土日に休みたい、などという発想すらなくなり、ひたすら一人で生産者のもとを訪ね、レンタカーで全国を旅するのであります。

そして、その取材が幸か不幸か、いや絶対に幸なんだけど、あまりにも楽しくてすっかりこの仕事にハマってしまっているのですが、でもそれでも忙しいには変わりない。

そして「あ~、もう忙しい、忙しい。わたしがもう10人欲しい!」と大騒ぎしていた2005年3月。

『今月を逃したら、あとは冬まで製造しませんよ』という声に弾かれ、なんとかギリギリで都合をつけ、向かった先は、沖縄の島々。

2004年夏号では、たった2日間で完売した小浜島の黒糖。その反省を踏まえ、今回は確保数を倍以上に増やし、小浜島の他に西表島と粟国島の黒糖を加えた、3つの島のセットにバージョンアップすることに。

その現地取材のために、今年の初めには沖縄に向かうはずが、3つの島の製糖工場との調整がうまくいかなかったり、昨今の天候不順で出発を延期しているうちに、気が付けば3月。

それも『少しはゆっくりできるかも (^^♪』というかすかな期待とは裏腹な、休日返上の、恐ろしく過酷なスケジュール。

出張当日、沖縄だしね~♪、と薄めの服をバッグに詰め、羽田に向かい、搭乗。 約2時間の快適な空の旅のあとに那覇でわたしを待っていたのは、ため息が出るほどドンヨリ~の雲。でも、まぁ、負けるまい。 大丈夫だ。

ホントならこのまま乗り継いで石垣島に行くはずだったんだけど、先方との調整ができず、この日は、わたしが大好きなこの商品のところにも顔を出すことに。

らふてーの2度目の取材になるこの日は、今後の新商品についての打ち合わせと、畜産加工場や豚舎を数ヶ所取材することに。
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でも、ここで生産者の宇良さんから提案が。『うちが今、セコムさん向けに提供している豚肉の豚舎に行くとすると、いのくちさんの今回のスケジュールだとちょっと厳しいので、今日は近場の豚舎や畜産加工場を何ヵ所か見に行くことでいいですか?』

そうですね、じゃ、そうしましょう。 ということでこの日は、元気な豚の肥育現場を取材することに。

清潔な豚舎あり、ビミョーなところもあり、幻の豚といわれるアグーの原種と他の豚の違いなどもいろいろと飼育農家さんから教わり、「沖縄の豚肉ならわたしに任せて!」的な心境にもなりました。どうしてすぐ調子にのるかな、わたし。

で、宇良さんと別れ、ホテルに帰って、ひとりご飯しながら、明日の予習。

まず、朝イチの船で粟国島に渡り、粟国島の製糖工場やサトウキビの収穫現場を取材、午後には飛行機で那覇にトンボ帰り、そのまま夕方遅くには石垣島行きの飛行機に駆け込む予定。

石垣島では、ひとり焼肉を堪能し、例の居酒屋にも行っちゃおう!
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そして翌日は、これまた朝イチの船で西表島に向かい、各所を取材。午後からは小浜島に移動し(もちろん船)、同じくできるだけ多くの方から話を聞いて、その足で石垣島に戻り、空港から那覇経由で羽田に向かう。

ふぅぅっ。息つく暇、多分ないし、どこかの船に乗り遅れでもしたら、このスケジュール、とんでもないことになりそう。今日は泡盛も控えめに、ゆっくり寝るかな。。。zzz。

で、翌日。

起きると小雨で、思ったよりもぜんぜん寒い。東北の秋みたいに寒い。慌てて、昨日着ていた上着を来ようと思ったら、、、、ぎゃーーっ。 豚舎の匂いが泣きたいほど染みついてるっ!! (@_@;)

きのうずーっと豚と居たせいだ。これじゃ上着が着れないよぅぅ。明日が沖縄の海開きっていうから、上着一枚しかもって着てないのにぃぃ。さぶい~~っ。

あーん、でもしょうがない。悩んでる時間も服もない。急いでチェックアウトして、タクシーに乗り「フェリー乗り場まで、お願いします」。

乗り場では、いくつか窓口があり、それぞれ切符を売る女性が座ってる。まだ時間はあるけれど、一応、出航時刻の再確認をしようと、『粟国行き』と書かれた窓口に向かうと、、。

えーーっ。欠航??うそーっ。冗談でしょ?だって波、荒れてないじゃん!!

「ホントに欠航なんですか?なんで?次は?」と矢継ぎ早やに質問するわたしに、窓口の人は、沖縄らしいのんびりした口調で、この辺りの海は荒れてはいないが、途中がかなり荒れていて、今日はもう無理と告げる。

じ、じゃ、飛行機は?確か、今から空港に行けば、間に合うはず。朝イチ便は満席だったけど、2便ならなんとか乗れるかも。慌てて、近くの公衆電話から運行状況を確認すると、一応は飛ぶ予定だという。だけど、帰りの便が欠航になる可能性が高いともいう。

どうしよう、どうしよう。粟国島に渡るのは、10人乗りくらいのプロペラ機。運よく、粟国島に渡っても、戻ってこれなきゃ、昨日予習したスケジュールは、全てパー。

とりあえず、落ち着きを取り戻すためにも、ヨシダさん(上司)に携帯からメールして、現状報告。 土曜で休んでいるところ、申し訳ないなぁ。。。。すると、ヨシダさんから折り返しすぐに電話が鳴り、『大丈夫かぁ?』

第一声を聞いて、わたしの上司って、なぁんて優しいんだろ~!と思ったんだけど、その後話していると、どうやらニュアンスが違う。

わたしの置かれた状況を、ぜったいに楽しんどる。(ーー;)確かに、わたしもヨシダさんが現地からの電話で大雪だと聞いて、プフッと笑っちゃったこともあったから、人のこと怒れないけど。

も~、自分でなんとかしますよ。考えますよ。でも、どうしよう、どうしよう。 粟国島、今回逃がすと来年だし。。

それにしても。さ、寒すぎるぅ!

 ・・・つづく。

投稿者 news : 2006年03月13日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

堅焼き煎餅とゴマたくさんな煎餅

晴れたり曇ったり、梅雨らしいちょっとムシムシした天気の朝、電車に乗って、下町のとある駅におりる。


短い商店街を抜け、『区内町御用達』というなかなかユニークな米屋の看板を過ぎ、住宅街のなかにポツンとある、小さなお煎餅屋さんに到着。


「こんにちは~」と引き戸を開け、店を横切り奥にある作業場にすすむと、『おや、久しぶりだね~』と職人さんが声をかけてくれた。
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この日は、生地の仕込みがないので、湯気はあがってなかったけど、初めて取材に来た日には、大釜から大量の湯気と食欲をそそるに十分な炊きたてご飯の美味しい香りが、一気に押し寄せてきたんです。


そのご飯は、ほんとに美味しくて、ちょっと試食のつもりが、どんどんパクパクと食べて職人さんに笑われてしまったんですが、こんな美味しいお米ををそのまま食べずにお煎餅にしてしまおうという贅沢というか、ある意味大胆なその気合いに驚いちゃったんですよね。


煎餅職人の佐々木さんが使用している米は、有機栽培もしくは減農薬で栽培されたもの。


多くの煎餅屋さんは、生地を専門に作る会社から仕入れて、焼くだけだったりその生地に使う米も破砕してしまった米や古米などが使われるケースが多いというのにですよ、それを玄米で仕入れ、自家精米までやってのけるんだから、そのこだわりたるや、ただならぬものを感じました。


そして、作業場のなかにいる職人さんたちに声を掛けおわったころに佐々木さんが現れて、『いらっしゃい、すごい勇気だね。』と、にっこり。


これは、この時期に煎餅を焼くところを取材に来ることに対しての発言で、夏の作業場は、生地を乾燥させる機械やホイロなどから発せられる熱で、とてつもなく暑く、どんな過酷な炎天下であっても外の方が涼しいんだそう。


たしかに、人間がまともに歩いてられない暑さの38℃だとしても作業場は少なくとも45℃というんですからね、外の方が涼しいことに違いない。


でも職人さんたちが、我慢できなくて外で”涼”を取っていると、近所の人たちはその姿に、怪訝な視線を浴びせるそうです。(^^;

 
わたしもこの日、実際に火床の前に立ってみましたが、ものの1分もしないうちに、じわーっと顔から汗が。感覚的には、暑いというより、熱い!が近い。


これは、火床。熱さが伝わらないのが残念!


作業場には各所に扇風機があるけれど、送られてくる風も熱風。


韓国で体験した汗蒸幕(韓国式サウナ)もゼーハーいうほど熱かったけど、まさに、あのなかに入ったままで、煎餅を焼いているような感じだわね、これ。


だけど、職人さんたちはみな淡々と仕事を続けていて、その姿が粋なんです。お煎餅って、普通のひとには同じように見えるけど彼らにとっては作品。そしてその作品を口にしたとき、腕の高さが実感できるんでございますよね。
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もちろん、焼きたてを食べさせてもらいましたよ。

 
あのね、堅いんだけどね、小さく割って口に入れると噛んでいるうちにご飯の香りが鼻腔を抜けて、口どけが抜群なの。


煎餅で口解け?って思うでしょ? 口解けなんです、いいんです。破砕米なんかじゃ、このキレのよさは出せないし、古米でも無理。

 
じっくり味わえば味わうほど、美味しさに気づく煎餅ってそうそう出会えませんよ。


ちなみにこちらが、焼きたての煎餅。


いまも、お土産にいただいた佐々木さんの煎餅を食べているんだけど、美味しいご飯の味がするの~。しあわせだわ~っ。 (*^.^*)


下町の「粋」を感じるお煎餅。ぜひ、食にうるさい方にも食べていただきたい一枚です。

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投稿者 news : 2006年03月10日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

河野さんのさつま揚げ<その2>

今年の3月。取材日程を決める際、「鹿児島っちゅうても、うちはホントに遠いですけん、申し訳のうて」。と気の毒そうな電話口の生産者の河野さん。
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大丈夫ですよ。どんなに遠くても、美味しいものがあるところなら、わたくし多少の苦労も乗り越えて取材に伺いますからね、、、とは言ったものの、実際に出向いてみると、確かに遠かった!(^^;。


そのうえ、まだ寒々しい東京から着いたわたしが、ごっついダウンジャケットを着込んでいるのに対し、通り過ぎるヒトは皆、長袖シャツ1枚やTシャツ姿。


異常に浮いている自分に気づき、そーっとダウンをキャリーバッグの中に丸めて押し込み、ハンカチで鼻の頭の汗をちょん、ちょんと拭く。


さつま揚げ作りは早朝から始めるということで、現地近くのホテルに宿泊し、翌朝指定された時間に作業場に到着。空は青くて、東京よりぐーんと広い。今日も天気が良さそうだ!


海から50mほどしか離れていない小さな作業場では河野さんご夫妻が迎えてくれ、ご挨拶の後、早速、さつま揚げのベースであるすり身つくりに取り掛かってもらうことに。


河野さんのさつま揚げは、白身魚のシイラをベースに作っていました。これは、カツオの水揚げ港が近くにあり、カツオと一緒に獲れるシイラが安定的に入手しやすいということと、シイラのクセのない味が河野さん自身、気に入っているから。


シイラは大魚なのに、河野さんの捌きは豪快かつスピーディ。「さすが、長年の経験ですね」と話し掛けると、『わしは、昔は漁師やったからねぇ。さすがに魚の扱いは慣れとるよ』と手を止めずに笑顔で答えてくれた。漁師さんだったんだぁ!
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『家内がね、近所のおばあちゃん達から教わったすり身を作っとったら、それがだんだん売れてきて、それじゃぁって一緒にやることにしたっですよ』。


そのベースの味を作った奥さんのほうに話を聞こうと後ろを振り返ると、そこには泥つきの野菜がたくさん積まれていて、サツマイモの皮を剥いたり、家庭用の小さな鍋で人参を茹でる最中。こんな光景は、大きな工場じゃないことだなぁ。一本一本、丁寧に皮をむき、ゴボウを細切りにしていくの。


なんだか、この手間のかけ方が美味しさの秘密なのだと、聞くまでもなく知ってしまった気分。(^.^)


鹿児島に旅行されたことがある方はご存知でしょうが、現地のさつま揚げは、うんと甘め。だけど、河野さんは、現地の味を守り続ける商品を作る一方で、多くの方の口に馴染むタイプも製造していて、「セコムの食」でご紹介させていただくのは後者。


ちなみにこちらは、現地で食べた現地の味のさつま揚げ。砂糖とみりんの甘さが際立っていて、焼酎が飲みたくなるなる。


鹿児島味のさつま揚げはね、わたしは大好きなんだけど、全国のヒトに河野さんのさつま揚げの原料の良さや練りの技術を伝えるには、やっぱり甘みを抑えたタイプの方がいいと思ったんです。

さらに、一連の作業を取材し終えて、河野さんご夫妻に「あの、今回のさつま揚げに使う材料についてご相談させていただけませんか?」とお願いし、変更を快諾していただいたことも嬉しかったことのひとつ。

調味料はものすごーく良質なものを使用してもらい、野菜は、減農薬・無農薬栽培している生産者のものをできるだけ使用。(天候不良などにより100%これらが使用できない場合があるので、カタログでは謳っておりません)


何度も味の調整をしてオリジナル商品を作ってくれた河野さんから最終確定商品が届いたときには、もう嬉しくて、電子レンジで温めて、周りのスタッフたちにもじゃんじゃん配って、美味しいと言われるたびに、自分が作ったかのように自慢してしまいました。


河野さんのさつま揚げが食べ飽きないのは、地元の菜種油メーカーにお願いして河野さんち専用に焙煎加減を調整した菜種油を使っているから。そのうえ、揚げた後に余分な油はきちんと拭っているから、しつこくならない。


細かい努力の積み重ねなくして、他より美味しいものは生まれないのだなぁ。オトナはもちろん、味に敏感なちっちゃなお子様にもぜひ食べさせてあげてくださいね。
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投稿者 news : 2006年03月10日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

河野さんのさつま揚げ<その1>

わたしの場合、年がら年中仕事のことを考えてます。なんていうと、さもカッコいいけど、要は美味しいもののことばかり考えてるんですね。


そしてその思いは、美味しいものたちと共鳴する何かがあるらしく、不思議なくらい美味しいものがわたしの周りに集まってくるんです、、、と勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが。


そのひとつが、このさつま揚げ。あるイベント会場で、プラプラしていたらミョーに気になるものが目に止まり、食べてみたら美味しくて、早速、生産者にアポイントを入れてみようということに。


さつま揚げと言えば、鹿児島。電話口に出た生産者は、東京からの突然の電話にちょっと困惑したようで、典型的な鹿児島弁で「とりあえず、話の内容はわかりました。送ってくるカタログを見てみます」ということでした。


まぁ、反応はどこもこんな感じ。だってね、あのセコムがですよ、食品のお取り寄せカタログ作ってます、なぁんて言われても、ピンと来る人なんてそうはいないでしょ?


だから、そういうときには「百聞は一見にしかず」とばかりに、直ぐにカタログを送るんです。しかし、いつもと違ったのはこのあと。わたしが珍しく会社にいて、デスクワークをしていると1階から呼び出し電話が鳴り「いのくちさんってヒト、いますか?」という声が。


わたくしですが、と応えると、そのひとは大きな声で自分の名前を名乗る。は?今日はアポイントは入れてないはずだし、そんな生産者の名前は知らん。しかし、わたしを訪ねてきているのは確かなので、とりあえず1階へ降りてみると、やっぱり知らない人がひとり。


名刺を交換しても建築関係の方のようで、もうさっぱりわからん。すると「あの、ボクんち、鹿児島でさつま揚げを作ってまして、親がいのくちさんってヒトから電話があったけど、怪しくて仕方ないからあんた行って見てきなさいって」。


これでやっと合点がつき、あーなるほどね、と理解したのであります。「一応、間違いないか来ただけなんで、もう帰ります」という息子さんに、せっかく来ていただいたのだからと、「セコムの食」の説明をしたら、その夕刻、鹿児島から電話がありました。


「うちの息子が伺ったそうで、すんません、すんません」とのことで、そして「カタログも今日届きました。是非、こちらからもお願いします!」という回答をいただき、現地に向かうことに。


「鹿児島っちゅうても、うちはホント遠いですけん、申し訳のうして」。大丈夫です、どこへでも行くのが「セコムの食」ですから!


ということで、日程を調整して、いざ、鹿児島へ出発!


つづく。
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黒豚・角煮まんじゅう

南大東島で台風が発生したらしい、某日。


取材で鹿児島に向かったものの、飛行機が遅れたためやたらと待ち時間ができてしまい、とっても中途半端な身の上に。


あーもったいない。時間がもったいない。なんかいい方法ないかな、ないかな~、と思いを巡らし、あ!あそこに行こ!と思い立ってすぐに電話したのは、もう長くお付き合いをしている角煮まんじゅうの商品の生産者。


強烈に頑固な九州男児の田原さんは、初めての取材で伺ったとき、『何も話すことはない!』と言われた、思い出深い職人の一人。
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が、今では「セコムの食」にもたくさんの商品を提供してくれていて、『鹿児島に来るときには、絶対電話しなさいよー』と言ってくれるほどの仲良し。


この日の取材先と田原さんの工房は方向も同じだし、久しぶりに顔見たいなぁ、、、と思い連絡をしてみたのであります。


『おー!いのくちさんかぁ!どこね?空港?じゃぁ来なさいよー!』と大声で歓迎してくれたので、レンタカーを飛ばして現地に向かいました。


『失礼しまーす』と見慣れたドアを開けると、ちょうど昼食を終えたばかりの田原さんが入り口で出迎えてくれて、これから午後の作業に取り掛かろうとしているところ。


勝手知ったる作業場ゆえ、スタスタと奥に進み、邪魔にならないように荷物を置き、作業場を覗き込んでみる。


すると、真っ白のふかふかが、同じ方向に並んで扇風機の風を受けている。わぁ、角煮まんじゅうだ!久しぶりのご対面だなぁ。相変わらず、おいしそう!


そこに田原さんが『昼ごはんは、食べたね?』


「あ、テキトーにたべました」(うそ)


『これ、ひとつ食べるね?』


「わぁ、ありがとうございます!」(あー、お腹ペコペコにしてきて良かったぁ!)


『自分で選んで食べればいい』と言われ、悩むこと数秒。一番ふかふかしたものを遠慮なくチョイスし、そのままパクリ!


ん~~、そうなの、そうなの! このパオの優しい甘さがね、わたし大好きなの。そして中の角煮は、余分な脂を徹底的に落としているので思いのほかあっさりとしていて、でもバラ肉の美味しさはしっかりある。


角煮まんじゅうというと、みんな一様に長崎を連想するでしょ?でもね、ここまで丁寧に作っている角煮まんじゅうは、きっと見つからないかも。


舌の味蕾の全てで至福を感じているところに、奥の作業場で機械が動く音が。田原さんが、パオの生地を練り始めたんだ。
生地は気候によって発酵具合が違うため、日々調整が必要。練りあがったあとは、正確にグラムを量るんだけど、これがピタッと同じグラムになるあたり、さすがだなーと単純に感動。

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量った生地はさらに手ごねして角煮が包めるように楕円形に延ばしていく。だけど、やってみるとこれがね、とーっても難しいんだ!


田原さんから一つ渡されて、わたしもやってみたんだけど、ぜんぜんまっすぐに延びないのなんの。


わたしが延ばしたのは、一番上のやつ。なんてブサイク!


生地を延ばしたら、そこに角煮を置いて、くるんと包んで熟成庫にいれそれから蒸し器でふかふかに。
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そして完成品がこれ!ほらほら、美味しそうでしょー!


美味しそうじゃなくって、ホント美味しかったよー!


なぁんて充実した『空き時間』だったのかしら!なんかないかなぁ~って、前向きに生きていると、いいコトあるのよねっ!

田原さんありがとう!「セコムの食」は、これからも田原さんの商品を丁寧に、大切にご紹介していきますからね。 (^.^)

 
このあと、わたしは引き続き、美味しいものに出会うわけですが、それは、もう少し先の取材日記にてご紹介することにいたします。


角煮ももちろん美味しいんだけど、パオの美味しさには格別の自信あり!「セコムの食」のベストセラーには、美味しいわけがあるんデス。

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昔造りかつおのたたき<その2>

晴天の高知・桂浜を抜けて、たどり着いた美味、かつおのたたき。作業場では、松の葉に火をつけて数本ずつたたきを焼き上げている。
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と、ここで生産者の雨森さんに、鰹をどのくらい燻すのかと聞いてみたら『どのくらいだと思う?』と逆に質問され、、、。


う~ん、10分くらい?


『そんなに長くはないよ。 長くて4、5分くらいだね』


『ほら、見ててわかるでしょ。松葉も茅も火をつけたら一気に燃え上がるし、ガスコンロじゃないから火をコントロールできないなんだよ』


確かに、ライターで火をつけると、チリチリと松葉が燃え上がる音とともにすごい勢いで炎があがり、雨森さんの言うとおり、炉のなかの炎はどこでどう燃え移っていくか、わからない。


その上、工場は海から程近いため、浜風がピュンピュンと吹きこみ 炉を大きくはみ出して炎があがることだって当たり前。


『炉のなかの火を追いかけながら、火に合わせて網を動かすんよね』


『この網には大体8~10本くらいの鰹をのせるんやけど、その全てに同じように火をあてて焼いていかないとならんから、簡単そうに見えて実は大変なんよ』


『だから4、5分といいながら、ひとつのサクを火で炙っている時間はもっと短いだろうね』 


ちなみに、「焼き」をいれるまえは、こんなの


それが、この炎で・・


ものの数分でここまで真っ黒に!


世の中には、「わら焼き」と称して、大部分をガスで焼き、最後の最後だけ申し訳程度にチロッとわらで焼いたような商品があるのは事実。


だけど、これは正真正銘、最初から最後まできっちりと松葉や茅で焼き上げているんです。 その証拠がこの黒さ!


一連の作業を取材して、少々小腹が空いたところで雨森さんのありがたいお言葉『焼きたて、食べてみる?』待ってました、待ってましたよ!その言葉。


「ありがとうございます!」


ということで、作業場から1本、焼きたてのたたきを持ち、雨森さんとともに2階の事務所に移動。

 
席についてほどなく、テーブルに出されたたたきの美味しさたるや、満面の笑みでございますよねぇ~。


まずね、香りがよいのですよ。燻し香が! 「チロッと焼き」の商品では、ぜーったいに味わえない、このマッチョな香り。食欲をそそるのでありますよ~、はい。

 
つぎに箸でひと切れ持ち上げ、口に運ぶと、サクッではなく少々ムチッとした食感のあとに、適度な脂と鰹特有の旨み、さらにはごくわずかな酸味が味を引き締め、噛むほどにグッグッと広がっていくの。


これは、わたしの携帯カメラで撮った、焼きたてのたたき、食べる直前のもの。


このたたき、ホントに美味しいです。これを食べてしまったら、街角で売っている鰹のたたきがちょっと食べられなくなっちゃうかも! あ~、どうしよう。これって罪?


これから夏のお中元シーズンですが、こんな美味しいものを贈ったらあなたのカブが上がること、間違いなし。

 
そうそう、パーティとか何かの集まりのときに振舞ってもいいかも。(^.^)みんなで食べると、美味しさも倍増だもんね。


是非いちど、召し上がれ!

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昔造りかつおのたたき<その1>

すがすがしい青空のなか、わたしを乗せた飛行機はほとんど揺れることもなく、5分遅れで今回の目的地・高知空港に到着。


生産者の方が待っていてくれているはずなので、急いで到着ロビーに向かいながら、携帯を確認したら会社から「至急連絡くれたし」メールが入っている。


会社では食のスタッフがカタログの校正の真っ最中なので、新商品や既存商品についての確認事項が、てんこ盛り。


「あれはこう、それはそう、そっちはこんな感じで」と指示を出しているうちに、飛行機を一番に降りたはずがとうとう最後の乗客に。


まずいまずい!と慌てて走り、ロビーに飛び出ると、ひとりポツネンと待っている方が。


『あの、、、いのくちさんですか?』


「そうです、そうです!すみませ~ん、ごめんなさい、遅くなっちゃってっ」


『いやいや、大丈夫ですよ。じゃぁ、行きましょうか?』


「はい、お願いします」


の車に乗り込み、商品の待つ加工場までの約30分の道のりは、途中から真横にキラキラと輝く海が広がりとーっても気持ちいい。


土佐の海は、いつみても海の色が力強いのよね!


この日、わたしが遠路はるばる求めてきた商品はこれ。


これは数年前からご紹介している商品なんですが、わたし自身はなかなか取材にくる機会がなくて、今回やっとのことで念願叶い、現地へ来ることが出来ました。


どうして、わたしがそんなにしてまでこの取材に来たかったかというと、、答えは簡単!だって、ホントーに美味しいんだもん。 (*^.^*) 

かつおのたたきを焼いている工場は、坂本龍馬で有名な桂浜の近く。浜から流れてくる潮風には、春らしい暖かさが感じられ、その心地よさに、日帰り出張の慌しさなんてすっかり吹き飛んじゃったみたい。

工場につくと、一旦事務所のほうに案内されてて、一息いれたあと、鰹を焼いているところに移動。


作業場では、たたき職人が、鉄で囲んだ焼き場の前に座り、たたきを大きな網に乗せているところ。

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『お邪魔しまぁーす』と大きな声で挨拶し、早速、出張バッグから一眼レフを取り出して首から提げ、携帯(カメラつき)をポケットに突っ込み、使い慣れた手帳を、テーブルの端っこに置いて、準備は万端。


さぁ、いつでも焼いてください。たたき!


『いいんかね?じゃぁ、焼くよ』と松の葉を炉のなかに大量に投げ込み、火をつける。
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するとまぁ、あれよあれよという間に、一気に火が燃え上がり火の勢いたるや、驚くほど強く、一瞬その火に気を取られていたらいきなり膨大な灰煙に包まれそうになり、あわてて雨森さんのいる方に避難!


燃えはじめから、こんな勢い


『この煙が服に付いたら、飛行機のトイレのけむり感知器が鳴るかもしれんよ』と雨森さんがからかうくらい、すっごい煙たさ。 


その、燃え盛る火のなに鰹を乗せた網をのせて一気に焼き目をつけるのですが、これがまたすごい迫力!


焼いてるときは、もっとすごい


すごーい。現地にきてよかった~。おもしろーい!たべたーい!


「これって、どれくらい火のなかに置いておくんですか?」というわたしからの質問に、『どのくらいだと思う?』と雨森さん。


うーん、どのくらいだろう?う~ん?

つづく。
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島豚のらふてぃ<その2>

濃厚なゼラチン質と黒糖の甘みが印象的な、宇良さんのラフティ。「セコムの食」に掲載するには、原材料やセット内容など決めなければならないことが多いけど、商品そのものについてはダイヤの原石的な美味しさがあり、それを磨くべく、わたしは一路沖縄へ。

事前にかなり調整はしてみたんだけど、なにしろ急な取材依頼だったので宇良さんと都合が合わず、今回は常務であり宇良さんの奥さまの良枝さんが案内してくれることに。

空港で出迎えてくださった良枝さんは、ご主人の宇良さん同様、本当にほがらかで裏表のない誠実な印象の方。

観光客でごった返す空港の端っこで名刺交換をしたあと、早速、宇良さんの車の助手席に乗り込み、ラフティを作っている工場に移動。

途中、「お昼食べていきましょうね」と宇良さんが案内してくれたのは、工場から程近い、沖縄そばの店。

お昼時ということもあり、ほぼ満席の店内で2席を確保し、ソーキそばを注文。なにげない店なんですが、ここのそば、持ち帰りたくなるほど美味しかったんです。

その感想を伝えると、『よかった。このソーキは、うちの豚肉を使ってるんですよ』とのこと。そうですかー、美味しかったです、お世辞抜きに。

胃袋が美味しいもので満たされたわたしは、宇良さんの案内で住宅街の一角にある工場に到着。工場街をイメージしていただけに、ちょっと驚きでしたが、昔からここで営業しているとのことで、周囲の雰囲気としっくり馴染んでる。

来月には、工場の改修に入るということで、少々雑然とした事務所で事務的な打ち合わせをしたあとは、肝心のラフティの製造現場に向かうことに。

厨房では、調理長の垣花さんが鍋の前で出迎えてくれました。腰にしっかり巻きつける前掛けがすごく似合っているのは、垣花さんが長身なだけでなく、この厨房にくるまで長いこと板前としてのキャリアを積んできたから。

またコンロには四角や丸型の鍋のなかに、豚肉がごろりと入っていてアク抜きしているものや、もうすでに仕上げに近い煮込まれたものまで随分と並んでいる。
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垣花さんの仕事ぶりはとても丁寧で、安心してみていられる。次は、原材料の確認を、、、としたところで、ちょっとストップ。

ラフティを作り始めて間もない宇良さんのところでは、まずは沖縄の人たちになじみの深い醤油や味醂を使用して作っていらっしゃったのですが、ん~、できれば、より添加物のない「セコムの食」的調味料にしてもらいたい。

それを宇良さんに話すと、即、快諾をいただき『せっかくお付き合いするのなら、セコムさんが希望する味や原材料を使用して作ったほうがいいですものね。オリジナルのものを作りましょう』ということに。

それから、数回に渡り、いろんな調味料や豚肉で試したラフティが東京-沖縄間を空輸され、数ヵ月かけてやっと今のものに辿りつくことができたのです。
 
この商品の名前を決めるとき、ラフティではなく「らふてぃ」にしたのは、宇良さんご夫婦の、あのほんわかした優しさを、少しでも表現できればなぁと思ったからなんです。 

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こんなのは、言わなきゃわからないレベルの話ですけど、現地に入って、彼らの努力をみているとね、ついついね、そうなっちゃったんです。

実は、うちの冷凍庫には、宇良さんのラフティが1パック眠っているんですけど、なかなか勇気がなくて、開けられない。

だって、開けたら最後、あのボリュームをあっという間に食べてしまうんだもん。美味しいものに、堪え性がない性格が、悔やまれると言うかなんというか、、、。

この宇良さんの商品は、2005年6月発行の夏号から「てびち」が加わり、さらにパワーアップする予定。その上、秋にはもっと増えているかも!

請うご期待!ご期待!
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島豚のらふてぃ<その1>

いつものごとく、どこかに美味しいものはないかとアンテナをピーンと張りながら都内を探索していると、いきなりパチパチパチッと音を立てて、嗅覚アンテナが反応。
慌てて周囲を見回してみると、なんとも美味しいオーラを発しているお肉の塊が、ごろんごろんと並べてある。ありゃ、なんだ?


正体を確かめるべく、ぐんぐん近寄ってみると、「あ、ラフティだ!」


とろりと表面にのったゼラチン質とその下の赤身、脂身がきれいな層を形成し食欲をそそる匂いからは、調味料の良さが伝わってくる。う~、食べたい!


並んだラフティのなかでも一番おいしそうな層の塊を指差し、「すみません、これ、ください!」と、言ってふと顔をあげるとそこには、間違いなく「沖縄県人でしょ!」というくらい濃い顔がひとつ。鼻の頭に汗をかきながら、人のよさそうな笑顔で、お肉を包んでくれた。


今思うと、わたしはこの笑顔にすっかりやられていたのかもしれない。早速自宅で食べてみると、やっぱり想像通りとっても美味しい。これは、スタッフにも食べさせなきゃ!と思い、翌日、今度は試食用としてラフティを購入。


もちろん、スタッフ全員一致で美味しいということになり、それでも念には念をいれ、沖縄から同じ商品をお取り寄せして、商品のパッケージや味の変化の有無をチェック。よし、いけるぞ!

そこで初めて、生産者の方に正式に電話をかけてカタログ掲載の可否を打診。最初はかなり驚かれたんだけど、カタログを送って「セコムの食」の考え方などを理解してもらい、次回上京するときに会いましょう、ということに。

夏の暑さが残る時期に、とある喫茶店で待ち合わせをして、ご挨拶。この「実に沖縄顔」のおじさんが、宇良さんという名前なのを知り、それから1時間ほど商談、というよりも、普通にお話をしたんですが、話せば話すほど、宇良さんという人がいかにいい人かが伝わってきました。
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聞けば、宇良さんは地元沖縄で食肉の卸業をしている方で、生肉以外の商品を作り始めてからまだ日が経ってないし、さらにわたしが見かけたあのときが、初めての出店だったんだそう。

すごーい、初出店のときに、たまたま通りかかることができたなんて、どう考えたって、食べ物の神様が「セコムの食」に味方してくれているとしか思えない!


それから、宇良さんは地元・沖縄のことが大好きで、沖縄の豚の美味しさを少しでも多くの人に味わってもらいたい思いから、沖縄を代表する豚肉料理のラフティを作ろうと思ったんだそうです。

『これまで肉の卸しかしてなかったので、お客さんに直接売った経験がなくてそれだけでも緊張するのに、沖縄訛りで早口の私の言葉が通じるかどうか、不安で不安で、お客さんから聞き返されるたびに心臓が縮みました』
 
大丈夫ですよ、宇良さん。少々早口だったって、宇良さんの笑顔には沖縄ならではのおだやかな風が流れてますから、だれも怒ったりしませんて。

お客さんに「美味しかったよ~」といわれて、思わず嬉しくって目も潤ませて深々と頭を下げる宇良さんの姿は、いまだに覚えてますよ。

『それでねぇ、いのくちさん。私は通販の経験なんてないんだけど、商品はどういうふうにしたらいいんでしょうね?数とかグラムとか。どういう豚を使うとか、いろいろ指導して下さい』

いやいや、指導なんて偉そうなことはできません。わたしは単なる食いしん坊ですから。ただ、せっかくの巡り合わせですから、絶対に美味しいものを作りましょう!

「宇良さん、いつ沖縄に帰りますか?わたし、それに合わせて沖縄に入りますよ。現地で細かい調整をした方が確実にいいものができますよ」

『え?沖縄まで来るんですか?』

「もちろんです! セコムの食は、そういうカタログですから!」 (^.^)q

うぅぅ~。わたしの「気合い袋」がパンパンに張ってきた~。早速、沖縄に飛ぶぞ~。

宇良さん、待っててね!


つづく。
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鳴門漁師のわかめ<その1>

この取材の1週間前から毎日天気予報をチェックしつつ、現地に電話をかけ続け、「按配は?」「天気は?」「風は?」「波は?」
 
そして取材の前日 『うん、イケるとおもうわ。明日待ってますけん』という答えをもらって、よっしゃ~、とガッツポーズ。

何しろこの時期を逃すと、また来年まで待たなきゃならないので、他の商品をあとに回し、最優先して調整してきた甲斐があるってもんです。

そして当日。 朝イチ便の飛行機に乗るためにいつもよりかなり早起きして、しっかりと日焼け止めを塗り、生産者から指示があった通り『汚れてもいい格好』を装着して、空港へ。

久しぶりの晴天のなか、すがすがしいフライトの先に待っていてくれたのは、 このヒト。
 
村公一さんは、「セコムの食」に鳴門のわかめを提供してくれています。 180cmを超える巨漢なんですが、めちゃくちゃ温厚で優しくってそのうえかなりの食通。

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実は、村さんが手がける魚は、市場の何倍もの値段で都内の飲食店がこぞって取引したがるような、実はすっごい腕前の漁師。

とはいえ、別に高級魚ばかりを狙っているわけではなく、その時期に鳴門で泳ぐ魚をそのまま釣り上げるようにしていて、今時分なら、ボラが美味しいんだよね~なんていう調子。
 
で、何が凄いかっていうと、釣った魚の扱いが凄い!丁寧、とかいう言葉なんかじゃなくて、村さんの場合、その魚の気持ちそのものになれるヒトなんです。

例えば、普通の漁師さんが鯖を釣ったとき、トロ箱にポーンって軽く投げ込んだりしますよね。よく見る風景です。だけど村さんは、ぜーーったいにそんなことはしない。

『鯖の身長はいくら大きくても40cmあるかないかやろ?それなのに、人間の手の高さから落としたら、鯖は絶対ダメージ受けるに決まっとると思わん?』

『もし人間やったら背骨折って、ヘタすりゃ脳内出血やん』
 
『それにな、ずっと海を自由に泳いでいたのに、突然小さな水槽に入れられてまな板に乗せられて刃物で当てられて、死ぬんや~と思った魚の身ってむちゃくちゃストレスを感じてると思わん?そのストレス受けた魚、 わいは、よう食わん』

こういう話をする村さんは、ほんとに痛そうに話すし、生き物への愛情というか、いたわりを生まれつき深く持っているヒトなんだというのがよくわかる。

こんな話って一瞬、きれい事に聞こえるんだけども、村さんを360度どこから突付いても、その姿勢の一切にウソ偽りがないところが、なんといってもすごい。

わたしは看護婦だったとき、よく「患者さんの立場に立って看護すること」と口をすっぱくして言われ続けたんですけど、村さんの場合、その対象が患者さんじゃなくて、鳴門の魚であり、もちろんわかめにだって溢れるほど注がれているんですね~。

・・・と、なんだか生産者自慢になってしまいましたが、そろそろ本題に戻りましょう。

空港で再会を果たしたあと、村さん所有の軽トラの助手席に乗り、村さんの家族と採れたてのわかめが待つ海岸へ車を走らせること約10分。

案内された先には、砂浜の上に目の細かい網を敷き、そこにヒラヒラと並べられた真っ黒な布が海風を受けていて、この黒い布の正体が、、、そう。わかめなんです。

鳴門のわかめは、灰干しの技法を用いて乾燥させたものが多く、村さんのわかめも、その伝統の製法に基づいているのですが、食品に灰を使用することは、法律により禁止されているため、今は灰の代わりに炭を代用して作っています。

なにげなく置いてあるように見えるでしょ? でも違うんです。その日の風の強さや太陽光によって 炭のまぶし方を変えたり、かなりビミョーな調整が必要なんです。

村さんいわく『物言わぬわかめは、動きのある魚より もっとデリケートで難しい』 とか。

しかし、多くのわかめが機械的に乾燥⇒販売されるなか、ここまで心血注いでもらっているわかめは、きっとわかめ冥利に尽きるとおもうわぁ。

と、ここで一旦、村さんのご自宅に行き昼食をご馳走になることに。『今日のお昼は、わかめの味噌汁と白ご飯!それでいいかね?』

『もっちろん!』

かくして、いつもの如く、何の遠慮もなくお昼をご馳走になったのですが、そこでいただいたわかめが、そりゃもう絶品。

生わかめなの、生わかめ。 この時期にしか口にできない生わかめ。塩蔵のベタッとしたものではなく、味噌汁の中でループを描くらいシャキンとしているんであります。 

そして次に現れましたのは、生わかめのしゃぶしゃぶ!これがまた、凄いのです!

沸騰したお湯のなかに採ったばかりのわかめを浮かべるとそれまでの褐色から、鮮やかな緑色に瞬時に変身。

それを、口にしたときの幸せは、豪華な宝石を手にしたような感動!ではなく思いがけず小さくて愛らしい花束をもらったときの、驚きと感謝に近い感覚。

歯ごたえがね、とてつもなく素晴らしく、噛んでいると1m位離れていてもしゃきしゃきという音が聞こえてくるほど。そのうえ、磯の香りも強くたっぷりと含んだミネラル分が口の中でぐっぐと鳴門のうず潮のように広がるのであります。

ホントなら食事のときに、村さんにわかめの育て方なんかを取材するつもりだったのですが、ちょっとね、この旬の美味しさを目の当たりにして箸をおけるほど、わたくし、理性的な人間ではなかったようです。も~、ばくばく食べちゃいました!

そして、たっぷりと腹ごしらえをしたあとは、いざ、鳴門の海に出陣。海の上は寒いからと、村さんの妹さんが用意してくれていたTシャツを3枚重ね、足元は分厚い靴下の上に、これまた用意していただいたジャージ。

さらに上下に防水着を羽織る前にお母さん愛用のカーデガンをお借りして、首のところまでボタンを留めて、完全防備のカッパで完成!

実際はこの上に、ライフジャケットも羽織っていたんですが・・・。
 
よし!準備は万事整った。 では早速、港に向かい、念願のわかめ漁に出航だ~。

つづく。
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投稿者 news : 2006年03月10日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

鳴門漁師のわかめ<その2>

鳴門わかめの取材で、生産者の村さんを2度目の訪問。
午前中は、収穫したわかめを浜で灰干しする作業を取材し、昼食は、この時期にしか食べられない生わかめのしゃぶしゃぶを大満喫。 ご満悦!
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そして、午後からは待ちに待ったわかめ漁に出陣。Tシャツ3枚+お母さん愛用のカーディガン+防水着を上下羽織って、村さんのご家族とともに、この船に乗り込む。

春の海風は、さすがにまだ冷たいけれど、真っ青な空と海のなかを白い波を立てながら進むのは、なんとも爽快!

途中ところどころ、スピードを落として杭から離れたヒモやブイなどを巻き込まないように器用に船を操り、目的の海に到着。
 
波は穏やかで、まわりに船はなく、遠くに見える陸の緑が鮮やかで遠くには鳴門大橋が、ぼんやりと退屈そうに伸びている。天候に恵まれるっていうのは、こんな日のことをいうんだろうな。

船が完全を停止させ、『ほんなら、始めるけんね』と、村さん。

その合図で、お母さんと妹さんが、それぞれの持ち場に着き、カラカラと機械が回りはじめるとともに、それまで鳴門の波のなかで揺らいでいたわかめたちが、一斉に船のうえに乗り上げようとする。

わたしには、全部同じように見えるわかめだけど、村さんは、瞬時に甲乙を判別して、良いものだけを切り落とし手元の籠の中の上でするりと手を離す。

『普通なら全部商品にするんかもしれんけど、わいはな、いやなんよ』『納得できんものを売るくらいなら、やめるしな』

というとおり、もりもり育ったわかめのなかでも、収穫するのはごくわずか。村さんってひとは、どうしてこうも、頑固なんだろう?美味しいわかめを作るということに対して、こんなにストイックな人も珍しいと思う。

でも村さんいわく、わたしも相当頑固らしいから、お互いさま?(^^ゞ

ん?でもさ、これって、さっき食べた生わかめだよね?この生わかめって、もしかしてこのまま生で食べられるものかしらん?美味しくなくても、毒ってことはないでしょ? 聞いてみよ。しかし、どーしてわたしってば、何でも口にしたくなるのかしらん?

「村さーん、このわかめってー、なまで食べれんのーっ?」

『食べれるよー。おいしいんよー』

と、村さん自ら厚くて美味しそうなところをナイフで切り出して、手渡してくれた。それを、、、ぱくーっ。(^~^)

おーっ、まさに海のミネラル!潮の味とわかめが含むヨード香が混じりあい、いいあんばいに磯くさくミョーに後を引く味。 海の上で食べているということが、さらに美味しく感じさせてくれているのだと思うけど、こんな体験、めったにできないよ!

村さん一家が、一斉にわかめを収穫している最中、慣れなくて危険だからと、手伝うことが出来ないわたしは、合間を見ては、ここぞとばかりに海から揚がったばかりのわかめを食べ続け、その姿をみた村さんたちは、コロコロと笑い、船の上は和やかムード。

『すごいなー、この船に家族以外で乗ったんは、いのくちさんが初めてやー』

「えー、そうなんですかぁ。光栄ですー。」

その1でもご紹介しましたが、村さんは、鳴門で一番腕の良い漁師として有名な人。いや、鳴門で一番というより日本でも有数の、、といった方がいいかも。
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だから、いろんな雑誌やテレビなどから取材の依頼がたくさんあるんです。

『だけど、出たくないんや。本当に、わいの釣る魚やわかめのことをわかってくれる人は少ないけん、その人たちだけで、ほんま十分なん』『しかし、こんなにいのくちさんと仲良くなるとは、思わんかったわ』

「わたしだって、そうですよ。でも、村さんのような生産者に会えてわたしもセコムの食も、とーっても幸せです。わかめも美味しい!」(^.^)

うれしいなぁ。こういう会話ができるの。バイヤー冥利、ライター冥利に尽きるなぁ。

わたしの原動力は、こういう生産者だし、バカが付くくらい真面目に商品に向かっている職人たちと話すたびに、仕事の忙しさでザラザラしかけた気持ちを、一気に洗い落としてくれるんです。それが、わたしがこの仕事を「病的」に好きな理由。かな?

せっかくだからと、村さんと船上で記念写真。手に持っているのは、わかめのめかぶ。これまた旨いんだ!

そして、お土産にまで生わかめをもらったわたくしは、それから数日間、朝晩、大量の生わかめを食べ、健やかな日々を送る事が出来ました。めでたしめでたし。


家族なかよし!村さん一家のシャキシャキわかめ。かなり長持ちするので、是非是非お試しあれ!
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わさびの新芽の三杯酢

列車の窓越しに感じる日差しが、目に心地よい春のある日。わたしは一人、伊豆急に揺られながら山間にある取材先へ。
「かわづ~、かわづ~」という案内とともに列車を降り改札に向かうと見知った顔がひとつ、にっこりと笑いながら待ってくれていました。

出迎えに来てくれたのは、「セコムの食」で長くお付き合いをさせていただいている『甘酢らっきょう』の甘酢を作っていらっしゃるメーカーの大地さん。今回の商品に使う酢も、大地さんが提供してくださってます。

大地さん、若い頃はバレーボールの選手だった、と言われ合点が行くほど背がたかーい!そして口調も今日の天気と同じように、とてものどか。

これから向かうのは、静岡県・河津の山奥の清流の里。目指すは、これ!

この商品、実は「セコムの食」スタッフのヨシダさんの大のお気に入り。自称『酸っぱいマン』であるヨシダさんは、レモン丸かじりなんか平気で出来ちゃうほど酸味好き。

だけど、酸っぱければ何でも言い訳ではなく(だって食のスタッフだもん)甘みとのバランスとか酸の質とか、やたらとうるさいのですが、この三倍酢は、一目惚れ?というより一口惚れ!したツワモノ商品。

鮮度の良い爽やかな辛さが舌を刺激し、緑の香りが鼻腔をくすぐりがね、ついつい、もう一つ食べちゃおっかな~と思わせてしまい、どんどん箸をすすめてしまうのです。

今日はその新芽の取材にきたのですが、大柄な大地さんと、まぁまぁ大柄なわたしを乗せたワゴン車は、かなり山奥までぐんぐんと進み、小さなわさび店の前でスピードを落とし、サイドブレーキを引きました。

そこに待っていてくれたのは、わさびの生産者・稲葉玲さん。合流したあと、店の裏側から山に伸びるかなり細い道を登るにつれ、視界のなかの緑が増し、木漏れ日があふれてきて窓を開けると、サワサワという音がまるで癒しの音楽のように流れている。
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ん~~、きもちいい~。

そして、けもの道を縫って到着した場所は沢を利用して作った棚田。そこを流れる水の、まぁーなーんと美しいこと! 
 
天然のマイナスイオンに満ち満ちていて、棚田に敷き詰められた砂は、定期的に交換されているため粒子が細かく整っていて、そこにはその美しい水が滾々と流れている。

そのなかに今回の主役であるわさびが、いたいた!気持ちよさそう~。

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稲葉さんいわく、水のなかで育つわさびにとって、何よりも大切なのはやっぱり水。

『この棚田は年間を通じて、水温が安定しているし天からの恵みと言っても過言ではないほどの清澄な伏流水があってここでわさびを育てられることは、とても誇りに思いますよ』

稲葉さんは、まだ若いのに、熱心に農業と向かい合っていて、良いわさびを育てたいと言う気持ちがいっぱいの青年。

天からの恵みをより生かすために、棚田の砂を小まめに変えたり、ひとつひとつのわさびに分け隔てなく日光が当たるように調整したり、話を聞いていると、稲葉さんがいかに実直な方かがよくわかります。

この地は、わさびの生産量が豊富で年間を通して収穫できるのですが、最もよい状態の新芽が採れるのは、春。だから「セコムの食」では、春限定の商品にして、一番美味しい新芽を食べていただきたいと思ってご紹介しました。

そしてありがたいことに、この三杯酢、かなり人気なんです。まじめに作っている方の商品は、目に見えない力があるんですね。

ご注文は4月末までですが、早い時期であればあるほどシャキシャキした感覚が、よりいっそう楽しめるはず。

食スタッフのヨシダさんも、カタログ発刊と同時に購入したほどお気に入り!ぜひ1度、シャキシャキを試してみてください。

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投稿者 news : 2006年03月10日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

ナポリのパスタセット<その3>

イタリア・ナポリまで遠征して取材を敢行したパスタ。御年90歳のパスタ職人・マリオさんと取材に同行してくれたインポーターの内山さんが楽しそうに話している間に、わたしは公園に湧き出ている水を一口ゴクリ。あまーい!かるぅーい!おいしーい!

湧き水の美味しさに感動していたら、それに気を良くしたのか、やっとマリオさんがパスタの話をし始めてくれた。

イタリアのパスタ発祥の地とされるグラニャーノの財産は、この地ならではの甘く軽やかな湧き水と、パスタの乾燥にもってこいの、からっ風。 

この素晴らしさを長年体験しているマリオさんは、グラニャーノ以外でパスタを作ることなんか考えたこともないという。(現在は法律で屋外での乾燥が認められなくなったので、室内乾燥)

そうですか、じゃ、そのパスタを作っている工房を取材させてください!

かくしてやっと辿りついた工房には、マリオさん以上に年季の入った機械が、どーんと座り込んでいる。


手前に一次乾燥中のパスタ、その奥を覗くと生地を成型する機械、さらに奥には生地を捏ねる機械が並び、その合間からはセモリナ粉の華奢な黄色が見え隠れし、近づくと小麦の甘い香りをほんわりと放っている。
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マリオさんいわく、この機械は、気温や湿度に応じてビミョーに加減を変えていく職人の手仕事をすごく理解してくれる、彼らにとっては友達のようなものなんだそう。

だけど、あまりにも古いタイプゆえ今はもう替えの部品がなく、大きな傷やネジの損傷があったら、修復不可能なんだとか。職人達はこの機械が壊れないことを祈りつつ、大切に使っているんだとも話してくれました。

そっかぁ、ネジひとつ壊れても、もしかしたらもう二度と食べることができない稀少なものなんだと思うと、これまで以上にマリオさんのパスタが宝物のように思えてしまうなぁ。

そしてもちろん、マリオさんにもまだまだ元気に、パスタ職人として活躍してもらいたい! 

職人が作る食べ物って、絵画や陶器などと同じように『芸術品』だとわたしは思っているんですね。だから全く同じモノは二度とできないし、味わうことが出来ない。それはレストランであろうと、お取り寄せの商品だって同じ。

そういう気持ちで食べ物と対峙すると、美味しいものを味わっている時間ってものすごく貴重な時間を過ごしている気分になるんですよね~。 
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でも、あ、そうだ。今はパスタの取材に集中、集中。せっかくだから、作っている最中の生地も食べさせてもらおう!そう思い立ち、お願いして、まだ少し軟らかさが残るパスタをポキッと折ってもらい、噛んでみました。

セモリナ粉の甘さって、包容力があるとっても柔らかい甘さだと思うんですけど、このパスタにはその甘さがしっかりと残っているし、鼻に抜ける優しい香りが、原料のよさを伝えてくれているよう。

マリオさんは、いろんな形のパスタを作っているのですが、そのなかでも「セコムの食」では、パッケリとベルミチェッリをチョイス。

パッケリは、しっかり噛むことができる麺なので、このパスタの美味しさがダイレクト味わうことがきるし、ベルミチェッリは、「そうはいってもパスタは長くなきゃ!」という方のためにご用意しました。日本人は長い麺大好きですもんね!

それからもうひとつ、お伝えしたいこと。このパスタはイタリア国内でもなかなか手に入らないのですが、もし入手できたとしても、その多くはビニールの袋。

「セコムの食」でご紹介しているのは紙袋入りなんですが、これは、インポーターの内山さんのパスタに対する愛情の表れ。

内山さんが初めてマリオさんと会って話をするなかで、『パスタは呼吸しているんだ。だから袋だって呼吸できる紙がいい』という話を聞いて、『私は紙袋で出したい!』と思ったのだそうです。

紙袋で商品を輸入するのは、破損や汚れなどが多く発生してロスが多く決して効率的な方法ではないけれど、そこにはできるだけ美味しい状態でこのパスタを食べてもらいたいという、内山さんの思いがあるんです。

だからわたしもこのパスタを、大切に育てていきたいんですよね。(^.^) 

マリオさんのパスタは、茹でて時間が経ってもコシがヘタレずソースにもきれいに絡まる、優秀な麺。
パスタ好きのあなた! こんなに美味しい麺、食べなくてもいいのぉ?
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ナポリのパスタセット<その2>

2004年秋。わたしは、美味しいパスタ&トマトを求めて、イタリア・ナポリへ。

かなり早口の日本語しか話せないわたしは、イタリア語が堪能なインポーターの内山さんと一緒に、まずはパスタの生産者『ファエッラ』社に向かい、パスタ職人のマリオさんを取材。

まずは簡単な質問をしたところ、マリオさんと内山さんの会話が延々と続き、何分経っても返事が戻ってこない。

一体、何を話しているんだかもわからず、わたしは一人、待つ身のオンナ。ぽつねん。ぽつねん。さみしいんやね~。

どのくらい待ったことか、マリオさんとの会話を一時中断して、やっと内山さんがわたしの方に向きなおして言ったことには、『マリオさん、まだ質問のひとつめにも答えてないの~』

え?

内山さんいわく、イタリア人は総じて話好きなのだけど、特にマリオさんは話が長く、話題もあちこちに飛び回り、それを収拾するのに毎回骨を折るそうなんです。

ご本人は会話を楽しんでいるというか、はぐらかしているというか年齢を聞いても『そんな昔のことは忘れたよ』と言い、創業を聞くと『えーっと、オヤジの代からだけど、その頃はワシも子供だったからどうだったのかねぇ?』と愉快そうに答えるらしい。

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で、こちらの質問に答えないまま、天気の話や最近気になること、跡継ぎである甥の話から、つい半年前に行ったという海外旅行の話まで取材というよりは、茶のみ話が延々と続き、やっと今会話を切ったところでわたしに状況を伝えてくれた内山さんも、笑顔ながらもさすがに困り気味。
 
そしてわたしは、その倍くらい、困りまくり!

言葉の壁&イタリアのラテン気質の壁のなか、なす術のないわたしは、こうなったら、開き直って待つしかない。待つしかないけど、元来落ち着きがないせいか、きょろきょろ辺りを見回していると、公園の真ん中の蛇口?から流れ出ている水が気になってきた。

すると、内山さんが『あの水、飲んでみます?』

「はいっ!」

カップを持って外に出て、地元の人に続いて地下水を少し注ぎそーっと口に含むと、、、「うわぁ、あまい~っ」さらに「かるーい」すごい、すごい!この水、持って帰りた~い!

大喜びのわたしが中に戻り水の感想を言うと、マリオさんは当たり前だと言わんばかりの自慢顔で『そうだろ!この水じゃないとだめなんだ。美味しいパスタは出来ないんだ。だからわたしはここの土地以外でパスタを作ろうなんざ、思ったこともない』と言う。

そこですかさず、内山さんを通じて使用している小麦の話を振ってもらい、これがまた、エラく長い壮大な話だったのですが、なんとか本題であるパスタの取材に突入!やった~!

はぁ。。。これでやっとスタート地点に着いたんだわ。これから先は、なんとかこちらのペースで取材を進めないとだわ。が、がんばらなきゃ!

「じゃぁ、マリオさん。パスタ工房を覗いてもいいですか?」


つづく。
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ナポリのパスタセット<その1>

2004年秋にわたしの周りでよく繰り返された会話。
「え?イタリア出張?いいなぁ。いのくちさん、イタリア語喋れるんだ!」

『ぜーんぜん』

「そっか~。でも英語ができればね、世界共通語だもん、大丈夫だよ」

『それも、ぜーんぜんです。冗談みたいにできまっしぇん』

「で、でも、通訳の人、いるんでしょ?」

『ううん。いない。基本的に独り』

「え?ひとり? だ、大丈夫なの?」

『ん~、ビミョー。一応、会社からは保険には入っているから、って言われた』

なぁんていう調子で出発したイタリア出張。

異国でのわたしは、まるで『はじめてのお遣い』にでてくる子供のようにおそろしく無防備で、案の定というかなんというか、海外旅行先でのトラブルをすべて背負い込んだような波乱万丈な旅だったのであります。

まずコンタクトを忘れたでしょ、それからスーツケースが壊れ、不可抗力により飛行機に乗り遅れ、レンタカー借りたら高速道路でトラックに追い立てられ、空港ではロストバゲッジで大騒ぎしたし、そりゃもう凄いことになってました。

しかし、頑張っているヒトには神様はいつも応援してくれるもので、その出張の後半から登場する、救いの天使のような存在だったのがインポーターの内山さん。

イタリアに住んだ経験もあり、独立心が旺盛で聡明で愛らしい彼女の堪能な語学力と笑顔が、トラブル続きのわたしにどれだけパワーを与えてくれたことか。

その内山さんが「セコムの食」に提案してくれたのが、これ!

茹で時間は17分と長いんですが、噛むと小麦の甘さがしっかりと感じ取れて、トマトの方は皮が厚めで甘みと酸味が濃厚。そしてこのパスタがなぜ美味しいのかを取材するために向かったのがイタリア・ナポリ。  

プーリアで内山さんと合流し、車での長距離移動のあと、ディズニーランドを模して大失敗したような、派手なホテルに一泊。翌朝、さらに車で移動し、パスタ発祥の地といわれるグラニャーノに到着。

グラニャーノの中心部にある公園は、都内の児童公園ほどのホントに小さなものだけど、古い石畳やレンガ造りの建物からはイタリアの田舎町の温かさが伝わってくる。

その公園の一角にある「ファエッラ社」は、昔ながらの製法でパスタを作っている、知る人ぞ知る店。入り口を入ると、右手に事務処理をするスペース、左には出来上がったパスタが入った箱が積み上げられ、その奥に進むとパスタを袋つめするスペースが広がっている。

わたしが面白そうに周りをキョロキョロ見回している間に、内山さんはわたしのことを現地の方に紹介してくれていたようで、振り返るとオーナーでありパスタ職人であるマリオさんが、朗らかな笑顔で握手を求めてくれました。

それから、すすめられた椅子に腰掛けながらマリオさんに取材すべく内山さんを介して、2、3の質問をしました。

その内容は、創業時期やマリオさんの年齢、使っている粉など本来なら即答できるような内容ばかりだったのに、内山さんとマリオさんの会話は終わる様子がなく、延々10分以上続いてる。
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何を話しているんやろか?そんなに難しい質問してないのになぁ。でも内山さん、とっても楽しそうにしゃべってるよ。わからん、わからん。何喋っているのかぜんぜんわからん。

うぇーん、わたしも仲間に入りたいよぅ。言葉の壁って、でかいなぁ。内山さーん、どんな話か、わたしにも教えて~!

つづく。
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幻の塩数の子<その2>

北海道ではお馴染みの魚、ニシン。そのニシンの卵からつくる数の子は、お正月にはかかせない食材ですが、北海道の鮨屋では、2月後半から3月にかけて春の食材としてよく食されるネタ。北海道では、春告魚なんですね。


ただ、現在店頭などでみかける数の子は、遠洋のものが殆どで、カチンカチンに凍ったまま陸揚げされるニシンの魚卵は、解凍、漂白、洗浄、着色や発色などを施されて、たっぷりと調味料を含ませているため、数の子の形はあれど、味はなし。

そんな現状を決して好しと思ってない吉崎さんは、北海道の中央市場で長い経験を持つ目利きのプロ。通称・おっちゃん。

おっちゃんがこだわるのは、鮮度。特に魚卵は、水揚げ後いかに短時間で処理したかで、仕上がりに雲泥の差がでてしまうもの。

北海道の厚田漁港で水揚げされるニシンが道内でも特に鮮度がよい理由は沖合い数百メートルもいかない漁場で網を張り短時間で水揚げするからで、漁法も刺し網なので、まき網などと違い、魚体の傷みが少ないんです。

ちなみに、厚田で水揚げされるニシンは、多くが3~4年魚。数の子にするには丁度いい熟し加減の卵を擁しているものが多いそうです。
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このニシンを、札幌の工場に運び、すぐに採卵。その後、魚卵を包んでいる薄い膜を手作業で丁寧に取り去り、血合いを洗い流し、選別。

魚に十月十日(とつきとうか)という言葉は変ですが、同じ時期に捕れたニシンでも、卵の成長度合いはそれぞれちがう。

「セコムの食」の商品になる数の子に未熟卵が混じらないように、工場の職人さんたちは、一腹ずつ手にして選別し、いい卵だけを、そーーーっと淡い塩水のトレーのなかに浮かべます。
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この時点では、魚卵はまだ柔らかく、まるで首のすわってない赤ちゃんのように、手荒く扱うとくにゃっと折れそうなほどデリケート。

その様子を取材していると、おっちゃんから『卵を触ってみぃ』と言われ、塩水のなかに手を入れ卵を触ってみてびっくり。
 
卵がにトレーにピタッと吸い付いているんです。くっついている、というより吸盤でピタッと固定してる感じ。

これは、海の中で放卵された卵が、自らを安定させるために海藻などにピタッと身を寄せる習性が、形を変えてトレーの中で行われているもの。

たとえば、おっきな生簀のようなもののなかに昆布を入れ(育て)、卵を抱えたニシンを大量に集めて放卵させれば、卵が昆布に吸い付いて子持ち昆布の出来上がり。海外では、よく行われている技術のようです。

さきほど、淡い塩水に浮かべた数の子は、徐々に濃度の高い海水に浮かべなおし、そのたびに形が安定してくるのですが、おっちゃん曰く、この塩加減に最も神経を使うんだそうです。

いきなり濃い塩水につけると魚卵が締まり過ぎて硬くなりかといって、ゆっくりしすぎると折角の鮮度が意味をなさない。

数の子を扱うおっちゃんの手は、その豪快な性格からは想像できないほどものすごく慎重で、その動きからは商品に対しての姿勢がひしひしと伝わってくる。 

おっちゃんが少し優しい口調になったところで、勇気を持ってきいてみた。「あの、2年前にここで取材したときに、食べさせてもらった数の子が忘れられないんですけど、あれって何だったんですか?」

『あぁ、生数の子だろ』

生数の子、とおっちゃんが呼んでいるのは、淡い海水で軽く身を締めた程度の数の子のこと。

「セコムの食」でご紹介している商品は、塩水で身を締めたあと急速冷凍をかけるのですが、この生数の子は冷凍する前のものでその美味しさを口にすることが出来るのは、製造に携わっている人くらい。

市場にも、春先に「生数の子」という名目で販売しているものがあるそうなのですが、そちらのほうはおっちゃんほど鮮度に対しての意識が高くないようで、一度漂白したりするものが多いのだとか。当然、旨みも違ってきますよね。

ここで、再度勇気を持って、おっちゃんに言ってみた。「これ、また食べてもいいですか?」 

『いいよ』

やったーーーっ。バンザーイ!!

果たして、現場のものしか口にすることが出来ない生数の子は卵一粒一粒がパンッと張っていて、噛むとキュッ、キュッと鼓膜に響く音がして4回くらい噛んだころから、ニシンの卵ならではの、はかなさの伴う深い旨みがじんわ~りと広がり、食べた後2時間くらいは、どんなにイヤなことがあっても平気で許せちゃうほど、幸せの余韻が続きました。
 
ガツン、ではなく、はかない旨み。そこがいいの。

残念ながら、こちらの方はあまりにも賞味期限が短い上にデリケートな商品で刻々と品質が劣化するため皆様のもとにお届けすることが出来ないのです。申し訳ありません。

だけど、こんなに旨いものを知ったからには、わたしだけの楽しみにしておくのはもったいなさすぎる。ここでもう一度、最後の勇気を振り絞って、おっちゃんにお願いしてみた。

「あの、、、、、今度すごい食通が集まる会があるんですけどね、その人たちにも、こーんなに美味しいの、、、教えたいなぁ」(徐々に小声)

『いいよ。会社に送ってやるよ』

やったーーっ! おっちゃん、いい人や、いい人や。わたしがコワイと思っているだけで、実はめちゃくちゃいい人や。
 
みんな喜んでくれるといいんだけどなぁ。。。。

今年のニシン漁はは例年よりも、やや豊漁とのこと。おっちゃん、今年も美味しい数の子、仕込んでね!
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幻の塩数の子



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幻の塩数の子<その1>

今日の千歳に向かう便は、朝っぱらなのに、びっちり満席。少しウトウトしたくても、シート倒すのも後ろに気を使うし、パソコン使うにも、スペースが狭すぎてどうも調子が出ない。


なんやろなぁ、この混み方は、と思っていたら実は札幌雪祭り。とにかく凄い数の観光客で空港はごった返しておりました。 

いいなぁ、みんな。楽しそうだなぁ。わたしなんか、一人ぼっちで仕事だぞぉ、、。それも、日帰りだぞぉ。そのうえ、外はビュンビュン吹雪いているし、傘は無し。

でも、実はぜーんぜん寂しくもなければ、どちらかというとかなりウキウキの取材でございましてですね。
 
なぜなら、今回の取材は2年越しで楽しみにしてきたんですから、一人だろうが、寒かろうが、転ぼうが何しようが、ぜーんぜん平気。

今日向かうのは、「セコムの食」でご紹介している「幻の塩数の子」を加工している工場。そして、そこで待ち受けているのは、わたしが北海道でとても頼りにしている生産者。通称・おっちゃん。本名・吉崎寿彦さん。

このおっちゃん、もうめっちゃくちゃ旨いものにウルサイ。だから、取材に行くとも~っ、その時期に美味しいものとか旨い店の話が途切れることなく、温泉の源泉のように湧き出てきて、2人して盛りあがるのなんの。

そしてその会話のなかから、「釣りたらこ&明太子」や「いくら醤油漬」などの商品が自然発生し、その流れの中で登場したのがこの塩数の子なんです。

数の子はニシンの卵ですが、市場の殆どのものが輸入物。海外で水揚げされたものは、腹から出さずにそのままにされたりすぐに取り出したとしても、日本に運ぶまで冷凍することを余儀なくされる。

そうすると、色が悪くなるため漂白剤を使用することになり薬液を落とすためさらにしつこく洗ってしまったあとは、着色料の出番。この時点ですでに数の子そのものの旨みなどはごっそりと抜け落ち残るのは、あの食感のみとなってしまうのです。

そして抜け落ちた味を補うために、これまたどっさりの味付け調味料を使用したあとは、何事もなかったかのようにお正月の重箱に楚々と収まっているのです。

わたしも、このおっちゃんに会うまでは、そんなもんなんだろうと思っておりました。なにしろ生まれ育った九州にはニシンなんて泳いでないですもん。

だけど、そんなわたしにおっちゃんは『ばーか、なんにも知らないんだから。まだまだだな。』と不敵な笑みを浮かべる。


『塩だけで、無添加の数の子欲しいなら、作ってやるよ』「おう。じゃぁ作ってくださいよ。」といって、作ってもらったのがこの塩数の子なんです。

毎年1月末から3月初旬にかけて行われるニシン漁。半世紀ほど前には大量だったニシンも、今ではホントに獲れなくなったとおっちゃんはいいます。

数年前、どか雪のなかおっちゃんと一緒に早朝訪ねた厚田漁港は、どこか物寂しげな雰囲気があり、他の港に比べて勢いに欠ける感じがしたけどそれでもこの厚田で獲れるニシンの卵は、おっちゃん曰く数の子にするには抜群の熟し方をしているんだそう。

さらに、ここの船は沖合い数百メートルのところで漁をしてあっという間に港に戻ってくるから、鮮度のよさは抜群。刺し網で取るから、魚体も痛まない。

取材のときちょうど港に戻ってきた船を除いたら、網に刺さったニシンが、かわいい目をウルウルさせていたっけな。水産加工に長年携わってきたこのおっちゃんがこだわるのは、鮮度!

この目をウルウルさせているニシンは、水揚げ後最短でおっちゃんの工場に運ばれ、採卵されニシンになるのでありますが、さて、わたしはどうしてこの出張を、心待ちにしていたのか?普通の工場取材なら、ここまで心躍ることもないはずなのに。
 
じつはその工場には、おっちゃんが不敵な笑みを浮かべるにふさわしい「ご褒美」が待っていたのです。

さて、それやいかに?

つづく。

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幻の塩数の子



投稿者 news : 2006年03月10日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

小籠包三昧セット<その2>

「セコムの食」の生産者のなかでも、3本の指に入るほど話し好きな小林さんは、美味しい点心を作る職人。

単なるおしゃべりなオジサンなら、こちらもちょっとねぇ、、ということになるんですが、小林さんの場合、言葉数とこだわりのレベルが一緒なのでこちらとしては、話し甲斐のある方の一人。


上質な食材を仕入れたり、調味料にこだわったりするのは、小林さんにとっては当たり前のこと。超高級店でも平気で化学調味料を多用している中華のなかにあってその姿勢は、素晴らしいものがあります。


でもね、わたしが取材に行ってもっとも驚いたのは、水へのこだわり。


小林さんは、厨房で使用する食材のほとんどをわざわざ取り寄せた水で洗っているんですが、その水というのが1リットルで¥2000(!)もしてしまう、すっごい水なんです!


それを「飲む」ならまだしも、食材を「洗う」ために使うんですよ。1リットル¥300くらいのコントレックスを、毎日大切に飲んでるようなわたしからしてみたら、なんという贅沢! 


小林さんが使っている水は、鹿児島のある地域で採れる温泉水。弱アルカリのその水は、粒子も細かくミネラル成分がたっぷりなのだそうで、この水で食材を洗うと、なんというか、食材に息吹きが吹き込まれたようになるんだというんです。


「え~っ、ホントに~??」と、少々マユツバなわたしに対し『じゃぁ、試しにこれ、食べてごらんなさい』と渡されたのは、皮を剥いた生の海老。


その海老を、小林さん自慢の水で洗ったところ、たしかに瑞々しくなり食感がよくなっているのがわかる。すごいもんだな。ん~、百聞は一見にしかず、というけれど、まさにその通り。


しかし、それにしてもですよ、この水、高すぎやしませんか?1日や2日ならまだしも、毎日使うなんて、わたしなんかにゃ考えられないんですけどね。


『まぁねぇ、値段だけみると高いんだけど、これを使うと商品がよくなるとわかっているのに使わないってのは、私には出来ないんだよ』と小林さんらしい理由。


この考え方なんだろうな、小林さんの強みは。 職人らしいというか。「今日よりももっと美味しいものを作りたい」という姿勢、それからもう一つ。販売店舗を構えずに、中華食材の製造販売のみに特化しているという点。


店舗費用やパッケージに費やす労力や費用など、味以外の事に関してのことに煩わされることなく、ホントに美味しいものを追求できる環境がさらに美味しいものを生み出して、結果的に多くの有名中華料理店などから委託されるほど、良い商品を作り出すことになる。


「セコムの食」でご紹介している小籠包だって、美味しいんです。特徴は、皮に練りこんだ里芋。それにより、他よりももーっちりした皮となっていて、そのなかには手を抜くことなく抽出した旨みたっぷりのスープがたっぷりと入っている。

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皮を破かないように、慎重に蒸し上げたら、レンゲに乗せてゆっくりと口元に運んでください。そのあとは、火傷しないように皮と餡とスープの三重奏を心ゆくまでご堪能あれ。

化学調味料に頼らない点心って、こんなに柔らかい味なんだなぁ、、と実感していただけるはずですよ。

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小籠包三味セット



投稿者 news : 2006年03月09日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

小籠包三昧セット<その1>

「セコムの食」のフロアは、セコム本社ビルの17階にあります。17階は、会長室、社長室、監査役室ほかセコムのなかでも経営に携わるような、まさに頭脳集団のフロア。

そんな硬質なフロアのなか、わたしたち「セコムの食」スタッフは、業務的にかなり浮いた存在。


隣のシマで、来期の構想を練っているときに、どこかでお饅頭をどっさりと買い込んだわたしが「お饅頭の試食でーす、集まって~」と言う日があればサラリーマンが空腹感を覚える昼前にいきなり箸を持って集まり、鍋物をつついてフロアいっぱいに匂いを充満させたり。 


それにかかってくる電話の内容が、これまた異質。


まわりは『、、、でございます。』『承知いたしました』と至ってビジネスライクな内容なのに対して、わたしたちだけが 『えーっ、海荒れてんの?じゃぁ、船に乗るのは来週だねぇ』とか『鰻のたれね、あれ甘すぎて、』なんていうのを、いつもでーっかい声でしゃべってる。

 
当然、電話の相手というのは職人であることが多いのですが、世間のイメージで”職人”というと、寡黙で淡々と仕事をして、、という感じでしょ?


でも、実はそんなことなくって、「セコムの食」でお付き合いしている職人たちは、みーんなよく喋る。それも、ヘタすりゃ機関銃のように!

なかでも、この商品を作っている職人から電話がかかってきたら、もー大変。


香港厨師会の小林さんは、中華の点心などを都内を中心とした高級店向けに提供している社長さんであり職人。
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何しろ話好き!そして飾らない性格の人だから、わたしもついつい調子に乗ってしまい、小林さんと話しているときのわたしは、さながら親戚のオジサンと話しているかのようであります。


それに、言わせていただければ、電話ならまだいい。小林さんとこに取材に行ったとき、作業そのものを取材するのは1時間くらいだったんですが、いやもう、ホントに話が延々と止まらなくてですね、たーいへんなことになってました。


わたしも頑張って何度も腰を上げて、その場を辞そうとしたにも拘らず、次々と試食が出てきたり、いろんな話があっちこっち飛んで尽きることなく、昼からの取材だったのに、結局、開放されたのは夜9時。

だけどわたし、小林さんの姿勢は、すごく尊敬しているんです。それだけ話す内容があるというのは、それだけこだわってることが多いから。


小林さんの場合、喋る量と商品つくりに対する姿勢が正比例しているからこちらとしても、望むところだ!ってかたちで、ついつい話が盛り上がってしまうんですねぇ。


まず、食材がいいのは当たり前。


そして化学調味料や着色料を使わない商品が、最も少ないと思われる中華において、それらを一切使わないどころか、ダシやスープはすべて自前で作っちゃう。


化学調味料の是否は別として、これらが入ってない食材を見つけるのは、ほんとーに至難のワザ。特に、ハムや練り製品、中華素材はね、瓦礫のなかから、ダイヤモンドを見つけるに等しいほどの労力を使うのです。それに、もし見つけても美味しくなかったら「セコムの食」では却下だし。


でも、小林さんに言わせると、そんなものを使わないというくらいではまだまだこだわってるとはいえない。


小林さんには、すごい隠し玉があるのであります。さて、それは一体なに?

つづく。
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小籠包三味セット


投稿者 news : 2006年03月09日 | 2005年セコムの食取材日記 | コメント (0)

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