江口氏の鰻<その2>
柳川の鰻職人、江口さんの取材。いろんな話を伺って、では、実際に鰻を捌くところを見せていただくことに。すると、江口さんからお題が。
江口 『じゃぁ、今から捌いて美味しい鰻を食べさせてやるけんね』
いの 『はーいっ』(^.^)
江口 『じゃぁ、この桶のなかから食べたい鰻を選んで、こっちの桶に移して』
いの 『え?』
江口 『そりゃぁ当たり前やろ。自分が食べるもんくらい扱わんと。桶に移すくらいは、してもらわんとね』
いの 『あの、、わたし食べるのは大好きですけど、ち、ちょっと、、』
江口 『でも、あんた売るんやろ、鰻。でも鰻は触れんとかいうたら食べられる鰻に失礼やろ』
いの 『で、でも、わたし蛇とか、テレビに出ただけでチャンネル変えるくらい嫌いで、、、』
江口 『そげんとは、理由にならん。はい、こうして触るんよ』
いの 『えーーーっ。む、むりですぅぅぅ。』
わたくしですね、世の中で爬虫類ほど嫌いなものがなくて、爬虫類ではないものの、似たような容姿の鰻を、それもこの場で触ることになろうとは思ってもみなかっただけに、心臓が飛び出るかというほどの大騒ぎ。しかしながら、これでわたしが鰻を桶に移すことができなかったら江口さんの性格からして「おたくにゃ、出さんよ」と言われかねない。
やりましたよ、わたし。もう、死ぬ思いで。『ぎゃー、うわぁー。ヌルヌルやん。むりやー。できん~。なにー?手を筒のように?こうですか?できんよ~、もう』相当な大声を上げながらも、なんとか捌くための桶にプリプリに太った鰻を、放り投げるように移しました。
いの『入れましたよぅ、もう~。入れましたっ!!いいですか?これで。いいですかぁ?』

すると、江口さんが『よっしゃ』とばかりに鰻をあっという間に捌いて、灼熱の備長炭の上に、ドン。鰻は800℃にもなるというウバメ樫の備長炭の上に敷かれた網のうえに乗せられ、一度、くっと頭を上げます。これは、イキのいい鰻でないと上がらないそうで、その後ゆっくりと頭を垂れ備長炭のうえに、ポトポトと自身の脂を削ぎ落としていくわけです。そして、脂が落ちた備長炭からはジュワっという音とそこから発生する燻し香が、食欲をそそる香りとして還元され美味なる協奏曲が奏でられるわけです。
江口さんが鰻を焼くときの香りの高さは、圧倒的なパワーを持ちその辺の鰻屋では感じられないほどの、香ばしくも厚みのある匂いに江口さんの鰻という食材に対するこだわりの高さを実感。一見、焦げてるようで焦げてない。なんの変哲もないようでいて、口にすると鰻の旨さを徹底的に表現している。
そして、艱難辛苦の末に辿り着いた鰻の白焼きの味は、白くつややかな身が口の中で、ふんわりと華やかに広がり不必要な脂をバッサリと削ぎ落とした結果残った、豊潤なコクが重厚感を持って広がる。こんなにウマイ鰻は、そんじょそこらでは食べられませんて。食通であればあるほど、この美味しさに感動するはず。マジメに旨いです!
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投稿者 news : 2005年02月15日 14:52 | 2004年セコムの食取材日記
