カンコロ餅<その1>

p_kankoromochi_01_03.jpgホックリと甘くてやわらかくて、田舎っぽい素朴な味わい。強烈なインパクトはないんだけど、ひと口食べたら、思わずふた口めも食べちゃって、気づいたら、なにげに何個も食べちゃってた。そんな癒し系の味で大好評なのが、このかんころ餅。オーブントースターやコンロ、ストーブなんかで少し焼き目をつけて食べると、もち米とさつま芋の甘さが口の中で交じり合って、程よい甘み。面白いことに、甘い物にあまり興味がない男性なんかにもやたらと評判がよいのです。 飾りたてた味ではないところがいいのかな。

かんころ餅は、長崎県五島列島に伝わる伝統的なお餅(和菓子)ですが、「セコムの食」でご紹介しているかんころ餅は、無農薬無化学肥料で栽培した五島列島産のさつま芋と、とても評価の高いもち米である佐賀県産の「ひよくもち」を使って、五島列島の伝統的な製法を忠実に表現したもの。しかしながら、とても素朴な味わいに反して(?)、かんころ餅の取材はとーっても波乱万丈でございました。

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晩秋の良く晴れた、長崎県佐世保港。早朝。「セコムの食」こだわり倶楽部の取材のために、港に集まったのはかんころ餅を作っている和菓子屋の2代目・高木さんと、特集記事のディレクターとカメラマン、そしてわたしの4名。そして人数分のチケットを購入して、乗り込んだのは上五島ゆきの高速船。今日は、かんころ餅の原材料であるさつま芋の生産者に取材するのが目的で、ホントに晴れていて良かったとひと安心。現地に到着するには1時間半以上かかるので、菓子職人の高木さんに船の中で、かんころ餅に対する思いなどをお聞かせ願おうと。お聞かせ願おうとぉぉぉ。お、お、お~っ。ふねが~。ありゃ~ゆれるぅぅ~ぐっ。たしかにねぇ、こんな波の中で泳いでいる魚は美味しいわけよねぇ、だから五島列島の逸品の一夜干しも旨いのか…などと余計なことは思い浮かぶものの、取材で話を聞くなんてことはおろかまっすぐ座ってられないほど、身体が上下左右にバッサンバッサン揺れてあっちにガッチャン、ゴットン、ドッシャンと、笑顔も作れないほど尋常じゃない横揺れと、子供の頃に遊んだエアートランポリンに近い縦揺れ。

死ぬ気で1時間ほど頑張ったものの、これ以上は心身ともに危険と判断し、とうとう、その場を逃げ出すように席を離れ空いた席に移動して、バタン。ディレクターもカメラマンも顔色不良で、こてんぱんな様子。それでもなんとか島に辿り着き、肩で息をしながらも、佐世保の港に置き忘れてきた笑顔を慌てて取り戻し、出迎えに来てくれた五島列島の役場の職員さんたちにやや引きつりながらも、ご挨拶。どうなることやら、心配だわ、今回の取材。とにかく早く復活せねば~。
つづき。
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<高木さん>のこだわりを余すことなくご紹介
こだわり倶楽部

投稿者 news : 2005年02月15日 | 2004年セコムの食取材日記 | コメント (0)

カンコロ餅<その2>

長崎県、五島列島に向かう高速船のなかは、まさにエアートランポリン状態!わたしたち取材スタッフは、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる「いったんもめん」のようにペランペランな状況に陥りながらも、なんとか上五島に到着。出迎えてくれた町役場と農協の方にご挨拶し、早速、かんころ餅の原料であるさつま芋を栽培している古川さんご夫妻の待つ畑に向かいました。

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上五島は、隠れキリシタンが数多く移り住んだという島で、小さな島ながら29ケ所ものカトリック教会があり、どこか異国情緒というか哀愁というか、独特の風が流れています。古川さんご夫妻の畑は山の中腹の、海に向かってかなり急な斜面にありました。お二人とも70歳を超えているのにまだまだ足腰はしっかりと力強く毎日農作業をしていらっしゃる。畑の中には、収穫を待つさつま芋が、ウネに沿って埋まっていて、古川さんはクワで器用にそれらを掘り起こし、紫色の皮は傷もなくきれい。さすがやなぁ、と感心していると『あんたも掘ってみんしゃい』とお誘いの声が。『ひゃぁ、いいんですか?』といいながら調子に乗って、クワを持たせてもらい土を掘り返そうと振り上げた途端に、足元フラフラで思わず尻もち。やっと掘り出した芋は、クワで傷だらけで、中には折れちゃったものも。そのうえ、タチの悪いヤブ蚊に刺され、目と目の間がブチッと腫れみんなに大笑いされる始末。うぅぅ情けなかよ~。芋畑で格闘し、古川さんの自宅で農家としての苦労などを取材したあとは、古川さんと同じように無農薬・無化学肥料でさつま芋を栽培している農家さん数軒を訪ね、この日は一旦、宿泊先へ。

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翌日。AM4:30。
国民宿舎の、かなり硬めのカンパンのようなベッドから飛び起き、再び古川さんの元へ向かおうと外に出ると、とてつもなく冷たい海風から両頬をバッシンバッシンと殴られ、そうか、ここは四方を海で囲まれた、小さな島なんだとあらためて実感。しかし、まだ秋だというのに、この冷たさのなかで作業をするのは大変だろうなぁ。車を飛ばして、現地に着くとすでに古川さん夫妻が準備万端で待っていてくれました。かんころ餅には、さつま芋は欠かせない材料なのですが、作る際には生のさつま芋ではなくて、茹でてカラカラに干した芋を使うんです。そして茹で干しした芋は、天日で干すことで旨みが凝縮するため少しでも長く天日にあてられるよう、夜も明けぬ早朝から茹で干しの作業が行なわれるというわけです。(「かんころ」とは、この地方の方言で、茹で干しという意味です)まずは、生のさつま芋の皮をきれいに剥き、約1cm程の輪切りにして、それを、茹で干しするために用意された、庭先の大釜で茹で上げ、すぐに軒先の干し棚にざっくりと並べ、重ならないように丁寧に広げていくんです。しかし実際にやってみると、いやぁ大変っす。主婦の方ならご存知でしょうが生のさつま芋は、輪切りにするだけでもすごい力が要るし、海から吹き上げる氷のような冷たい風のなか、一枚一枚芋を広げていく作業は、並々ならぬ体力と気力が必要。もうすぐ80歳になろうかという、このご夫婦の地道な苦労を取材させていただいて、あたしゃまだまだ努力が足りんと、反省いたしました。

美味しいものに出会ったときは、その美味が生まれるまでの苦労まで、一緒に味わうつもりでいただきたいですね。
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<高木さん>のこだわりを余すことなくご紹介
こだわり倶楽部

投稿者 news : 2005年02月15日 | 2004年セコムの食取材日記 | コメント (0)

高木さんのコシヒカリ<その1>

わたしの携帯に定期的に届く、実家からの請求メール。『米がなくなります。至急送ってください』わたしは「セコムの食」のカタログを実家にも送っていて家族が食べたいというものを、折をみては贈っているんです。特に、毎日食べるお米に関しては、娘としても美味しいものを食べて欲しいですから、米びつが空になる前に連絡をくれるようにと伝えてあるんです。それで、先日もお米を申し込んだのですが、すると珍しいことに福岡の母から電話が入りました。『あ、ゆみ?今度の米は、美味しいねぇ~。美味しいばい』とえらい勢いで、褒め言葉を連発している。 私 『そうね。よかったよかった。今度の米は、富山のコシヒカリよ。気に入ったんならよかった』
母 『甘いとよね、ご飯が』
私 『でも前のお米も美味しかったろも?』
母 『うん、いつも美味しいばい。でも今度のはいつもよりか美味しい!』
私 『そんなに美味しいって、ちなみにどんな風に美味しいと思うん?』
母 『どうって言われても、わからんばってん、とにかく甘いと。ご飯が。好きばい』
私 『わかったわかった。また送るけん、なくなったら連絡して』
母 『そうね、ありがとね。でも、この前お願いした長崎ちゃんぽんはまだ届かんばい』
私 『へ?だってこの前、届いたって言いよったやん』
母 『あ、1回目は届いたばい。美味しかったよ。でも、2回目がまだ来んとよね。待っとるけん』
私 『・・・はぁ。』
母 『それから、お母さんが柿が好物なの、知っとるやろ?あんぽ柿は美味しいと?』
私 『当たり前やん。めちゃくちゃ評判いいけど、それって送れってこと?』
母 『お母さん、柿は好きなんよねぇ。あんた知っとるやろ。お母さんの好物』
私 『あー、もうわかったよ。そのうち送るから。じゃぁね、もう切るよ。』
まぁ、母の語彙の少なさと厚かましさはいつものこととしても、今度のお米が相当気に入ったことは十分伝わってきて、贈り主としては嬉しい限り。わたしたちスタッフは「セコムの食」でご紹介するお米を探すために相当数のお米を試食してきましたが、この高木さんのコシヒカリは確かに、カタログに掲載しているお米のなかでも甘みが秀でている。それも口に入れてかみ始めた瞬間から甘い。お米によっては、噛んでいくうちに甘みが広がるものや逆に、あまり甘みやコクを主張しすぎないような味わいのものもあってどれがいいかは、食べる人の好みになるのですが、うちの母にとっては、甘みを全面に感じる「高木さんのコシヒカリ」が、とても好みだったようです。

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その高木さんの田圃の取材に行ったのは、ちょうど夏の時期。いつもは晴れオンナのわたしだけど、この日の富山は、今にも雨が降りそうな曇天。こりゃ、急いで向かわないと、仕事にならんがね。空港でレンタカーをピックアップし、高速をひた走ること、約1時間少々。車はのんびりした田舎町に到着し、まずは高木さんに挨拶。立ち話もなんだから、と案内された倉庫の中には、収穫したばかりの玉葱が山積され、その隙間には学習机用とおぼしきヨレヨレの椅子が2つ、放置してある。その椅子の埃を高木さんがタオルでぬぐい、より綺麗な方をわたしに薦めてくれた。座るとキコキコ音がして少々不安定ながらも、約30分ほど取材を行ったあと自慢の田圃に向かうことに。

しかしながら外にでると、空はますます鉛色。ま、まずい~。高木さん、急ぎましょう!
つづき。
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高木さんのコシヒカリ(16年度産)

投稿者 news : 2005年02月15日 | 2004年セコムの食取材日記 | コメント (0)

高木さんのコシヒカリ<その2>

高木さんのコシヒカリが育つ田圃は、世界遺産を擁する富山県五箇山系の伏流水が流れ込む、恵まれた土地。その地で育つコシヒカリは、ひと口めから甘くしっかりとした粘りが感じられる美味しいお米。

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そして、その田圃に案内してもらおうと高木さんの家を出たのはいいけれど、空は重い鉛色で、今にも雨が降りそう。急がなきゃ。高木さんとわたしを載せた軽トラは、いつも通っている人でなければ出せないようなスピードで、土手道をくいくいと蛇行し、あっという間に目的地に到着。「こっちが俺ので、そっちは他の人の田圃だ。こうやってみてみると違いがわかるやろう?」と言われ見比べてみると、確かに違う。他の田圃には草が生えてないのに、高木さんのところは草だらけ。それから、他のところの稲がかなり密集しているのに対し、高木さんのところは、稲と稲との間隔が広く、稲茎がかなり太い。例えていうなら、鶏の足と軍鶏の足。それくらい稲の太さが違う。高木さんは、無農薬減化学肥料で米を栽培していて、魚を発酵させて作る堆肥などを土の状態にあわせて鋤き込んでいくんだそうです。「無農薬栽培で何が一番大変かっていうと、次から次へと生えてくる草との戦いだよ~。だけどほら、あれだけうちの田圃に草が生えているけど雑草に負けない稲を作れば大して困りもしないんだ」人も稲もたくましく育てないと、いけないのでありますね。

ん!大変。稲に感心して、空のことを忘れていた。雨が降る前に高木さんの写真をフィルムに納めさせてもらわなければ。かくして、数枚の笑顔を撮り終え、取材は無事に終了。そしてそのあと30分ほどで、鉛色の空からはバケツを勢いよく蹴飛ばしてひっくり返したような極端な豪雨が、わたしのレンタカーを襲うことに。高木さんの笑顔の後ろに控えた曇天が、少しは伝わることと思います。このお米は、甘くて旨いっ!1粒たりとも、残すでないぞ。
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さとうきびの蜜<その1>

那覇での取材は「セコムの食」24号で新登場いたします『さとうきびの蜜』の取材。さとうきびの蜜って言われても、なんじゃろか?と思う方も多いと思います。黒糖は、さとうきびを破砕して汁を絞り、それを煮詰めていって、少しの石灰などを入れて固めたものですが、このさとうきびの蜜は、煮詰めて石灰を入れる前の蜜を、そのまま瓶に詰めたものなんです。だからホントに無添加の蜜。

生産者の仲宗根さんのところには、一度伺っているのですが、この商品の製造自体が1月~3月のみなので今回、あらためて取材に伺った次第。仲宗根さんは、自ら無農薬、無化学肥料でさとうきびを育て、それを自宅にある2つの釜を使って薪で炊いて煮詰めて、糖蜜を作っていらっしゃる方。

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黒糖の特産地、沖縄のなかでも、無農薬無化学肥料でさとうきびを育てているのは、皆無に等しいそうなんです。なぜなら、さとうきびの生産農家自体が高齢化を迎え、作業に手間暇をかけることができなくなっているからなんだそう。だけど、仲宗根さんは、自分の子供にも安心して食べさせられる黒糖を作りたいと、5年ほどまえからこのさとうきびの栽培に携わっていらっしゃいます。

最初に仲宗根さんに会って以来、わたしはこの蜜が大好きになり、この取材をとても楽しみにしていたんです。東京から2時間半ほどのフライトの先に現れた、エメラルドの海、そして都会と田舎が同居する街、那覇。空港でレンタカーをピックアップし、車を走らせること約30分。到着したのは、仲宗根さんのさとうきび畑。2m、高いものだと3m、4mにもなるというさとうきびの畑のなかから、仲宗根さんが、ひょっこりと純朴な笑顔で出迎えてくれました。

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収穫時期を迎えたさとうきびは、茎の下の方からナタで切り落とし、それから茎を包んでいる、長くすーっと伸びたススキのような葉を全て専用の鎌できれいに落としていくんです。この作業、一見簡単なように見えるのですが、実際はさとうきびの茎はかなり重く、また、幾重にも重なっている葉に抵抗されて、するりと外していくのはとっても大変。わたしも手伝いたいのはヤマヤマなんだけど、邪魔であること間違いないのでとりあえず、カメラ片手にその作業を写真に収めていく。さとうきび100キロに対して、採れる蜜は10キロくらいだと聞くと、なおさらその作業が、大変に思えてくるんですよね。

さとうきびの収穫は、朝から日が暮れるまで続けられ、トラックに大量に積み込まれたさとうきびは、明日の朝から搾りはじめてあの、美味しい蜜にするとのことで、この日はここでおしまい。そして、次の日の朝、わたしは生まれて初めての絶品の一杯に出会うことに!いや~、感動的にうまかったです!
つづき。
<仲宗根さん>のこだわりを余すことなくご紹介
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さとうきびの蜜<その2>

沖縄、那覇での取材2日目。朝食もそこそこにレンタカーに乗り込み、カーナビを頼りにさとうきびの蜜の生産者である、仲宗根さんの元に向かいます。住宅街のなかの一角にある仲宗根さんの自宅は、沖縄らしい白壁の造りで、奥の工房にはさとうきびの搾汁器と手作りの石釜が二つ並んでいます。

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仲宗根さんは、すでにさとうきびの搾汁に着手していて、さとうきびの茎を搾汁器の中に通している最中。搾汁器のローラーの下に据えた容器には、ペチャンコになったさとうきびから搾り出された汁がどんどんと溜まっているのですが、その色は、少し乳白色を帯びた淡い緑色。さとうきびの茎と似た色です。

へぇ~、さとうきびの汁ってこんな色なんだ~、と感心していると取材で同行した、いかにも沖縄顔の、もしこの人と東京で会ったとしても間違いなく沖縄出身と判断できるような、濃くて人懐っこい笑顔のカメラマンから、質問を受けました。『さとうきびを噛んだことある?』ないですぅ、、、。と答えると、目の前でさとうきびの茎を膝をつかってパキッと折ってくれて、差し出され、『こうやるんだよ』といって<沖縄的さとうきびの味わい方>を指南してくれました。

まずは、奥歯を使って(前歯は折れる可能性があるので避けるべし)細い竹のようにやたらと堅い皮をバリバリと剥いでいく。バリバリとですね、、、といって、わたしもやってみたけれど、かっ、硬いっ。冗談でしょ?というくらい硬いっす。ホントにこれがスタンダードな味わい方なんスか?沖縄の子供たちはお腹がすいたら、畑からさとうきびを少し拝借して、これをかじっておやつがわりにしていると言われたけど、ホントに子供の頃からこんなことしていたら、歯も強くなりますがね。

そして、やっとの思いで中から現われいでたのは、さとうきびの汁をたっぷり含んだ芯の白い部分。お~、やっと辿り着いたよ~、と白い部分を噛んだのですが、、、!それはもう、わたしのこれまでの人生のなかでこんなに美しい甘味があったのだろうか?と思うほど、清らかな甘み!まいった、まいった。沖縄の子供たちがうらやましいよ。こんなのおやつにしているなんて、幸せすぎる。

生のさとうきびの美味しさに対し、近来稀に見る感動を覚えたわたしに仲宗根さんが、にっこりと笑いながら『搾りたてだよ』とコップに入れて渡してくれたのは、さっき見た搾汁器に搾り出されたいわば、一番搾り。飲んでみると、ほんのりと若竹のような溌剌とした香りのなかに、南国の果物に共通するゆったりと濃厚で、酸味を伴わない圧倒的な甘みが限りなく上品かつ大量に口の中に広がっていく。

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こんなに自然でやさしい甘さがあったなんて、知らなんだなぁ。とても甘いといわれているスイカの糖度が13度程度なのに対し仲宗根さんのさとうきびの汁の糖度は20度。この汁から黒糖ができるわけだから、甘いのは当たり前なんだけどそれにしても、まったくカドのない甘さは感動的。そして、このさとうきびの汁に牛乳を入れて飲んだときの美味しさったら、腰を45度に折ってお礼を申し述べたいほど。

すると、さきほどの沖縄在住のカメラマンが「だけど、ここのさとうきびは、他のとこのよりもずっと甘いね」という。ほう~、そうなのか、とその場では思ってみたもののそう言われれば実際に食べ比べしてみないと気がすまないのはもはや職業病。そこで、仲宗根さんとこの取材を終えて、他の取材先でも同じようにさとうきびをかじらせてもらいました。いや、ホントにそうだった。さとうきびなら全て美味しいのではなく、仲宗根さんが育てているさとうきびだから、それも一年で一番糖度が高まるこの時期だからこそこんなに美味しいのでありました。

このさとうきびの搾り汁は、手作りの石釜で薪を焚いてじっくりじっくりと約半日をかけて炊き上げます。そして出来上がったのが、このさときびの蜜。しっかりと土作りをした畑で育てた、無農薬無化学肥料栽培のさとうきびから生まれた、清らかで豊潤でコクのある蜜は、他の甘味とは、一線を画す傑作です。

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鳴門漁師のわかめ<その1>

ここは「セコムの食」夏号カタログの撮影スタジオ。今回は、これまでにご紹介している商品も何品か撮影しています。どれもいつ食べても美味しーい!

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そうこうしてると、あれ~っ?スタジオがなんだか磯っぽいぞ~? キッチンの方に近づいてみると、そこにはこの若布が!袋の中では、細っこい針金のようにしているんだけど、たーっぷりの水で戻して、海にいたときの脹らみを取り戻した若布はその辺の“へなちょこ昆布”なんか圧倒しそうなほどの、威風堂々たる風貌。そして、間近に海があるような磯の香りを発している。

たかが若布、なんてナメちゃいけないよ。だって、この若布はね、あの、とてつもない渦潮で有名な鳴門の海でがっちりと骨太に育ったツワモノ。お味噌汁のなかでフヨフヨとしているだけの、存在感のないお坊ちゃま育ちの若布と比べたりしちゃ、この若布にちょっと失礼かも。

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この若布が獲れるのは、四国に温かい風が吹き始める2003年の春。SARSが中国、四国地方を席巻する最中、わたしはこの若布の取材のため、鳴門海峡が臨める若布の干場に立っておりました。

この若布の生産者である村さんは、鳴門の漁師さん。180cmくらいはあろうかという巨漢で頭は丸坊主。最初にお会いしたときには、思わず”海坊主!”と思ってしまいました。しかしながらその容姿に反して、村さんは限りなく温厚で鳴門の海をこよなく愛する、生粋の漁師。

村 『わたしはね、本業は漁師なんですよ。ゆうてみたら若布つくりは趣味なんですわぁ。だけどね、趣味やゆうても、手を抜くということじゃじゃないんですぅ。趣味やからこそ、できることもあるんじゃないかと思うんです。』
『生計のこととか余計なことを一切考えんと、昔ながらの製法にこだわったり、じっくりと納得がいくまで熟成させたりね。いろんな考え方があると思うけど、わたしは鳴門の若布が大好きでね、その美味しさを、きちんとわかってもらいたいんよね。この若布をやっている理由は、それだけなんよね』

と、穏やかな口調で話してくれた。なるほど!では、もう少し詳しく、村さんの若布つくりについて、教えてくださいませんか?
つづき。
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鳴門漁師のわかめ<その2>

鳴門の海を心から愛する漁師、村公一さんが育てる若布は、強くたくましく、歯ごたえ抜群の一級品。先日行われたカタログの撮影でも、その存在感はオカシラ付きの鯛とも堂々と肩を並べるほど。撮影が終わった後、わたしたちスタッフは残った商品をできるだけ持って帰るようにしているのですが、(愛すべき商品を捨てるなんて、間違ってもできない!)今回の一番人気だったのが、なにを隠そう、この若布だったんです。だってね、乾燥若布だから保存は利くし、軽いし、なにしろ旨い!この若布をお味噌汁なんかにいれたら、もうその他の具がなりを潜めてしまうくらいの存在感。酢の物にしようものなら、その実力を如何なく発揮して、旦那さんに『おい、この若布、どうしたんだ?旨いじゃないか』と誉められること間違いなしの、他の追随を許さない実力派。

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では、その若布はどのように作られているのか?
まず、一番大事なこととして、間違いなく鳴門で育った若布だということ。海外産のものを、同地でパックしなおして『鳴門産』と銘打ったもの(結構多いのです)ではなく正真正銘、鳴門の荒波にもまれた、雄々しき若布は、色も味も違うんです。

次に、村さんのこだわりとして、鳴門に昔から伝わる『灰干し』の製法を取り入れているということ。灰干しとは、収穫した若布に灰をまぶすことによって熟成を促し旨みを凝縮させ、より一層力強い歯ごたえにするためのもの。ただし、現在では灰の使用が法律で禁止されているので、その代わりに炭の粉を使って、製法はそのままに美味しい若布を作っているんです。

2003年の春に村さんを訪ねたときには、炭をたっぷりとまとった若布が太陽の光をたっぷり受けながら、浜辺で気持ちよさそうに寝そべっていました。ある程度乾燥させた若布は、順番に熟成用のハウスに移され、村さんが『よし、いいぞ』というまでカリッカリに身を締めていくのですが、若布を扱うときの村さんの手は、魚を扱うときと同様、ホントに優しい。この人は、ホントに鳴門の魚や若布を愛しているんだなぁと思います。『若布は趣味でやってるんですぅ』という村さんの言葉を証明するように、熟成を終えて出荷するときの検品も、人任せにせず村さん自身が行います。検品に立ち会ったときのこと。

いの 「えーっ、こんな立派なのも、はじくんですか?」
村 「あぁ、そうなんですぅ。ほら、これここに色ムラあるでしょう?」
いの 「いや、言われればなんとなく。でもこれ、ホントーにはじくの?」
村 「そうですわ。いやね、普通は出すんと思いますけど、これを出すのは、なんかね、私が納得せんのですわ。」
へぇ~。まいりました。頭が下がります。この若布、わたしたちが誠心誠意、ご紹介させていただきますね。ホントに旨いですよ、この若布。溢れんばかりの磯の香りと、他の若布では味わえないほどの食感。絶対おすすめです!
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越前十割おろしそば

2003年12月。この日は大好きな北陸への出張なので、いつも以上に準備万端。朝のニュースによると多少天気が悪そうだけど、なぁなんとかなるでしょ。約1時間の空の旅を終えて、到着したのは小松空港。レンタカーをピックアップして、すぐに高速へGO。向かうのは、福井県今立町。

快適に車を走らせながら、ふとCDからラジオに切り替えるとラジオのお姉さんが、午後から天気が崩れそうだという。おやおや、ちょっと急ぐかな、、、と思った矢先、、、。ガジャガジャバリバリ、バリバリバリーンという音に車が包囲された!な、なんや~。崖くずれか?いや違う~。ぎゃー、ヒョウやん!バケツをひっくり返したようなヒョウが、天から車を襲ってる~。こんなんじゃスピードを上げるどころか、自分の命が危ういわ。恐る恐る減速し、ハンドルを取られないよう必死の形相で超前かがみの肩こり運転。なにしろ前が見えんのです。シャレになっとらんがね。それでも、やっとこさで辿り着いたころには、ヒョウが雪に変わり、これ以上降り積もらないことを祈って、取材先の暖簾をくぐる。

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命がけで、辿り着いたのは気鋭の職人がいる蕎麦屋さん。そば粉十割で打つ手打ちそばでございます。店主の永見さんは、蕎麦好きが高じて8年前に蕎麦屋を開いた方で、温厚な笑顔とちょっとふっくらめの腕からくりだされる蕎麦は越前蕎麦らしく太めで、喉越しというよりは口の中で味わって食べたくなるタイプ。十割蕎麦にしたのは、そば粉本来の味わいを活かしたいと思ったからで使用する粉は100%地元福井県産のもの。石臼でゆっくりと挽いたものを使います。

朱色がまぶしい漆塗りの大きな器のなかに投入されたそば粉は少しずつ水を加えながら、しっかりと捏ねていきます。最初パラパラとしていたものが、だんだん形をなしてきて、丸い球形にしたあとは、のべ棒でしっかりと伸していき最後に包丁で太めに切り揃えていく。

わたしの「食べたいなぁ」波動が伝わったのか、「打ちたて、食べますか?」「はいっ。よろこんで」場所を打ち場からお店のほうに移し、待つこと数分。運ばれてきたのは、蕎麦の上にたっぷりと大根おろしがのったぶっかけそば。口に含むと、蕎麦粉がもつ大地の風味がいっぱいに広がり十割蕎麦ならではの重厚感と大根の辛味、さらにはかつお節の風味がきりっと締まったダシと相まって、もうわたくし大満足。ここで「日本酒、燗で」といえないのが、なんとも辛いけど、人間なにごとも我慢が大切。

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この十割蕎麦のすごいところはね、自宅でもちゃんと茹でられるところ。普通、十割そばは茹でるのがとても難しいので、慣れない人が茹でると、バラバラにちぎれてしまうことが良くあるんです。でもこの十割蕎麦は、添付のレシピに沿って茹でれば、このわたくしでもちゃんと茹でられてしまうのです。すごい!そのうえ辛味の効いた大根と醤油がきっちりと効いたダシもついて、至れり尽くせりとはこの蕎麦のこと。

充実した取材に意気揚々と店の外に出た私が見たのはレンタカーのうえに降り積もる、30cm以上もの積雪。え。 (・_・) わたし、どうやって帰ればいいのさ~?!。心の底から途方に暮れた取材でした。
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越前そば 3食セット
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江口氏の鰻<その1>

「セコムの食」には、たくさんの職人肌系頑固オヤジがおりまして、キャラクターはそれぞれ違うんですが、みーんながみんな、個性が強い。そのなかでも、濃すぎるくらい濃いキャラクターと他人様には真似できない匠の技で、周囲を圧倒してしまうのが鰻職人の江口さん。

カタログやWebで紹介されている写真をみると頑固一徹、男は無駄口たたかず、、という印象だと思うんですが、まったく、もう。よく喋るんだ、これが。

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とーっても人が良くて、腰が低くてわたしも大好きなんですけどね、鰻の話となると、もーーーっ、ちょっと立ち寄って5分で切り上げるつもりが、2時間くらい延々と喋る続けるんですわ。取材する前から噂には聞いていたけど、実際に会ってみるといや~、止まらない止まらない。帰りの飛行機に、危うく乗り遅れそうになりましたもん。

川魚問屋を営んでいる江口さんは、20年以上鰻と携わっていて、そのこだわりは、ただ焼くときだけではなくその仕入れ、さらには鰻の品種にまで徹底しているんです。そして、取材するわたしにまで、とんでもないこだわりが発生することに、、。ん~、あれは忘れもしない、初めて江口さんのお店を訪ねたときのこと。

早朝、東京-福岡便に飛び乗り、目的地の柳川に向け地下鉄とJRを駆使し、江口さんのお店に辿り着いたのは、お昼前後。お店の前には、鰻を焼く煙と香ばしい匂いが立ち込め、その奥から白髪混じりの江口さんが登場。魚屋さんでよくみかける胸まで覆うビニール製の白くてでかいエプロンをして、まさに仕事の真っ最中といった風貌で、出迎えてくれました。

とりあえずは名刺を渡して挨拶を交わし、立ったままもナンですからと、奥の事務所に通していただきました。そして、これまでの職人人生や鰻の仕入れや捌き方、焼き方についてみっちりとみっちりと、みっちーりと取材。ひとしきりお話を伺ったあと、、、といっても話が止まらないのでこちらから促して、 (^^; 加工の方を見せていただくことにしました。

場所を江口さんが厳選した鰻を「たてこんで」いる桶の前に移し、さて、ではお願いします。とカメラを構えるわたしに江口さんから、ある命題が。それを聞いたわたしは、身体が後方に3歩あとずさり、ご、ご勘弁を~!なんと「セコムの食」を担当して以来、最大のピンチに!!
つづき。
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江口氏のうなぎセイロ蒸し2食セット
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江口氏のうなぎ蒲焼き
江口氏のうなぎ白焼き

投稿者 news : 2005年02月15日 | 2004年セコムの食取材日記 | コメント (0)

江口氏の鰻<その2>

柳川の鰻職人、江口さんの取材。いろんな話を伺って、では、実際に鰻を捌くところを見せていただくことに。すると、江口さんからお題が。

江口 『じゃぁ、今から捌いて美味しい鰻を食べさせてやるけんね』
いの 『はーいっ』(^.^)
江口 『じゃぁ、この桶のなかから食べたい鰻を選んで、こっちの桶に移して』
いの 『え?』
江口 『そりゃぁ当たり前やろ。自分が食べるもんくらい扱わんと。桶に移すくらいは、してもらわんとね』
いの 『あの、、わたし食べるのは大好きですけど、ち、ちょっと、、』
江口 『でも、あんた売るんやろ、鰻。でも鰻は触れんとかいうたら食べられる鰻に失礼やろ』
いの 『で、でも、わたし蛇とか、テレビに出ただけでチャンネル変えるくらい嫌いで、、、』
江口 『そげんとは、理由にならん。はい、こうして触るんよ』
いの 『えーーーっ。む、むりですぅぅぅ。』

p_eguchi_unagi_02_03.jpgわたくしですね、世の中で爬虫類ほど嫌いなものがなくて、爬虫類ではないものの、似たような容姿の鰻を、それもこの場で触ることになろうとは思ってもみなかっただけに、心臓が飛び出るかというほどの大騒ぎ。しかしながら、これでわたしが鰻を桶に移すことができなかったら江口さんの性格からして「おたくにゃ、出さんよ」と言われかねない。
やりましたよ、わたし。もう、死ぬ思いで。『ぎゃー、うわぁー。ヌルヌルやん。むりやー。できん~。なにー?手を筒のように?こうですか?できんよ~、もう』相当な大声を上げながらも、なんとか捌くための桶にプリプリに太った鰻を、放り投げるように移しました。

いの『入れましたよぅ、もう~。入れましたっ!!いいですか?これで。いいですかぁ?』

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すると、江口さんが『よっしゃ』とばかりに鰻をあっという間に捌いて、灼熱の備長炭の上に、ドン。鰻は800℃にもなるというウバメ樫の備長炭の上に敷かれた網のうえに乗せられ、一度、くっと頭を上げます。これは、イキのいい鰻でないと上がらないそうで、その後ゆっくりと頭を垂れ備長炭のうえに、ポトポトと自身の脂を削ぎ落としていくわけです。そして、脂が落ちた備長炭からはジュワっという音とそこから発生する燻し香が、食欲をそそる香りとして還元され美味なる協奏曲が奏でられるわけです。

江口さんが鰻を焼くときの香りの高さは、圧倒的なパワーを持ちその辺の鰻屋では感じられないほどの、香ばしくも厚みのある匂いに江口さんの鰻という食材に対するこだわりの高さを実感。一見、焦げてるようで焦げてない。なんの変哲もないようでいて、口にすると鰻の旨さを徹底的に表現している。

そして、艱難辛苦の末に辿り着いた鰻の白焼きの味は、白くつややかな身が口の中で、ふんわりと華やかに広がり不必要な脂をバッサリと削ぎ落とした結果残った、豊潤なコクが重厚感を持って広がる。こんなにウマイ鰻は、そんじょそこらでは食べられませんて。食通であればあるほど、この美味しさに感動するはず。マジメに旨いです!
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江口氏のうなぎセイロ蒸し2食セット
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江口氏のうなぎの笹めし
江口氏のうなぎ蒲焼き
江口氏のうなぎ白焼き

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ちりめん山椒<その1>

子供の頃は、香りや味にクセのある野菜がキライだったという方、結構多いのではないでしょうか?わたしは子供の頃、ミョウガが苦手だったんです。親戚のオジサンのおうちに行くと、決まってミョウガ入りのお味噌汁がでてきて、そのたびお子様向けに作ってくれていたうちの母親の味噌汁ってやっぱり美味しいなぁと思っていました。

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だけど、このちりめん山椒の生産者の方は子供の頃から山椒の実が大好きだったそうなんです。『噛んだ瞬間にパァッと広がる、抜けるようなあの山椒の辛さがね、大好きだったんですぅ』(京都弁)と話す中西迪子さんは、元々は京都の呉服問屋の女将さんでした。ご挨拶廻りなどにお得意さんや身内の方に自分が大好きな実山椒がたーっぷりと使ったちりめん山椒をお配りしていたところ、それがやたらと評判が良くて、とうとうお店まで構えてしまったというもの。たしかに、京都に数あるちりめん山椒のお店のなかにあっても格段に美味しいと思うし、大好きな味。

ただ、趣味が高じて始めたお店って、商売にしたときに往々にしてある程度のところで原料や調味料の質を落としたりしがちなんですよね。でもね、中西さんはわたしが取材に伺っていろいろ話をするなかで、そんなにこだわったカタログならばと、原価を下げるどころか原材料の質を上げてさらに美味しいものを提供してくれたありがたい生産者なんです。

京都市内の少し奥まった一角にある「こと路」は、とても小ぢんまりとした清楚なお店。中西さんは、やわらかいトーンの声で、笑うと目じりが優しくてうーんと年下のわたしがいうのも変だけど、すっごく愛らしい方。当たり前だけど、着物がとっても似合うんです。うらやましい。 

お店の奥にすすむと、少々狭めの厨房にガスコンロが4、5口。その上には、大きなアルミの鍋がかけてあり、沸騰したダシが細かい泡を噴きながら、おじゃこが飛び込んでくるのを今か今かと待っている。「じゃ、見ててくださいね」と予め準備していたおじゃこをさらりと投入し、おおきなしゃもじでサクサクと、まるで寿司飯をきるように掻き混ぜていく。すると狭い厨房のなかは、醤油の香ばしさとミリンのつやっぽい香りでいっぱいになり、鍋の水分が飛ぶにつれて鍋の中のおじゃこが色づいていく。そして、水分がある程度とんだところで、輝きを放つ色鮮やかな実山椒を、えっ、そんなに?というくらい混ぜ込むのです。「これくらい入れないと、山椒の華やかさがでらんのやないかと思ってねぇ」とのこと。確かに、できたものを味わってみると、山椒の存在感がひときわ輝いている。

でもね、ただ大量に山椒をいれればいいってもんじゃない。量だけではなく、もっと細かーいところにまで手をかけているからこそこんなに美味しいものが出来たんです。その、好きじゃなきゃできない「手のかけ方」って?
つづき。
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ちりめん山椒 小セット
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ちりめん山椒<その2>

お惣菜の工場にあるような大釜ではなく、自宅にもあるくらいのお鍋でクツクツと炊き上げる、女将さんのちりめん山椒。山椒がピリッと効いて、噛むたびにおじゃこの旨みが口にふわっと広がってとても美味しいんです。しかし、その美味しさの影には、食べる側にはなかなか伝わらない、細かな努力があるんでございます。

京都『こと路』を取材しているときのこと。女将の中西さんに炊き上がったちりめん山椒を試食させていただいたあと、商品に使用している原材料をみせていただくことに。九州産と書かれた箱のなかから、テーブルに広げられたおじゃこは小振りで、よく見るとキュッと身が締まっている。「ここのおじゃこはね、しっかりと乾燥してあるんですぅ。それにね、うちに送ってくるときにちゃんと検品してくれて悪いのは随分とはじいてくれているんですけどね」「でも、それでもほらな、こうして切れてるものも中にはあるから、それは、うちらで全部取り除いてるんですぅ」といいながら、中西さんは眼鏡をかけて小さなおじゃこの中から身が切れているものなどを、丁寧にはじきだしている。

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また、たっぷりと使う山椒は、旬の時期に大量に仕入れたものを冷凍しておいて、順繰りに使っていきます。その際、口に入ったときに実についた茎の部分が食味を邪魔しないよう茎を残さないよう丁寧にひとつひとつ、プチン、プチンと手作業で摘みとっている。なぁんという手間!炊く作業よりも、下処理の方が数十倍も手間ひまかかっているし、それも毎日こうやって見えない努力をしているなんて、恐れ入ります。

還暦を過ぎた身体で鍋を振るのは大変だと思うし、小さなおじゃこを選別する作業も山椒をプチプチと摘む作業も、決して楽ではない。なのに、中西さんは「みんなが美味しいとゆうてくれはるんでね」(^.^)と、嬉しそうにおっしゃる。わたしができることといったら、腰が痛いという中西さんの身体を遠くから案ずることと、多くの方にこの見えない努力をお伝えすることくらいですわ。中西さん、これからも美味しいちりめん山椒を作りつづけてくださいね。
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昆布じめ刺身

つい先日の富山出張のときのこと。現地での取材が終わったとたんに雨が降り出し、傘はなし。こういうときは、はやめに空港に戻って、持参したモバイルで山と積もった仕事を片付けるに限る!予約した飛行機の出発までには、約1時間半。搭乗のアナウンスが流れるまではと、わたしは空港の2階にある狭い喫茶店でパチパチとパソコンの画面に専念しておりました。

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が、しかし。
出発時間がどんどん近づいてきても、なんのアナウンスもない。もしや仕事に熱中して聞き逃した?わたしはあわてて搭乗待合室に向かうことに。待合室のなかは、大勢の人でごった返し、なにやらミョーな雰囲気。すると、そこでやっと若い女性の声でアナウンスが流れ始めました。『お客様に申し上げます。ご搭乗予定の飛行機は機体整備で不具合が発見され、ただいま羽田から部品を調達して。』『また、次の羽田便は満席を予定しておりまして。』ぎゃっ。慌ててキャンセル待ちの番号札を取りにいき、満席に近い乗客で溢れかえったロビー内を、腰を低くして通り抜けなんとか手に入れたのは、先ほどの喫茶店ではなく居酒屋の狭い相席。隣では、次の飛行機に乗れるかどうかもわからない乗客グループがもう、帰っても仕事にならん、と言ってビールで乾杯をはじめ、すっかりご機嫌さんになっている。それを横目にわたしは、お茶をすすりながら、時折、蛸の刺身を口に運びつつ、モバイルに向かって、取材の原稿、原稿、原稿。

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すると、相席のおやじさんの一人が北陸名物の昆布じめ刺身を注文。運ばれてきた昆布じめは、上下を昆布に挟まれて登場。そして、おやじさんはその昆布じめをそのまま、パクッと食べて、口をモゴモゴしている。あ、おやじさん、違うんよ! そんな食べ方したらダメダメッ!と思った瞬間、あたくしの口が勝手に喋ってもうた。『あのね。そんなにして食べたら、もったいないですよ。おじさん』すると目の前に座っているおやじさん連中は、一瞬、目が点。そりゃそうでしょう。居酒屋で酒も飲まずにパソコンと睨めっこしている見知らぬ客が、突然、話しかけてきたかと思えば、食べ方を注意し始めるんだもん。「え?だって、これはこういうもんなんでしょ。」とおじさん。『あ、いえ、それでもきっと美味しいと思うんですけど、せっかく食べるなら、両側の昆布をはがして、中の身だけ食べてみてください。そしてできれれば昆布は細かく刻んで食べた方が歯ざわりがいいんですけどね。ここじゃ無理ですけど』「そ、そう?そうなの? じゃ、そうして食べてみようか?」

見知らぬ相席客に、食べ方指南されたおやじさんは、しかし素直に昆布をはがし、なかの白身を口に運ぶ。「お~。たしかにこの方が美味しいねぇ」「そうか、自宅なら昆布は刻めばいいんだ。なるほどねぇ」と感心しきり。おじさんの連れも、興味津々でおじさんとわたしをみつめている。そしておじさん、とっても満足顔で「いいこと聞いたなぁ。ありがとう。で、あなたはどちら様ですか?」『わたし?あっ、えっと、一般人でございます』(^^)そしてそのあとまた、パソコンに目をむけ、パチパチ打ち始めキャンセル待ちの呼び出しとともにそそくさと席を立つわたしにおやじさんたちは「どうもな。ありがとな」と見送ってくれました。

しかし今思うと、ホントはあのおじさんたちに、「セコムの食」の昆布じめを教えてあげればよかったなぁ。だってね、「セコムの食」の昆布じめは、昆布問屋の最高峰といっても過言ではない奥井海生堂の昆布を使用し、さらに魚ごとに昆布の種類を変えて、化学調味料なしで作っているとっても美味しい昆布じめなんですもん。特にお中元やお歳暮の時期には、いつもたくさんのご注文をいただいてきた実績のある商品。身だけじゃなく、昆布も食べてね!
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昆布じめ刺身 Aセット
昆布じめ刺身 Bセット

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ひおうぎ貝<その1>

ある日、愛媛県のある漁港からわたしあてに1本の電話が。『すごく美味しい貝があるので、食べてください!』はいはい。食べて、と言われて拒む必要など何もないわたし。喜んで試食させていただきますよ。

しかしその数日後、わたしの元に届いた貝を見てみてビックリ。形はホタテ貝のミニチュア版、だけど色があれまぁ、何ですかこれ?オレンジにムラサキに黄色。試食するまえに、あまりにもトロピカルな貝殻に目がテン。え”~っ、これって食べれるの?しかしながら、人も貝も外見で判断してはならぬのであります。とりあえず、届いた貝をスタッフに等分して持ち帰ってもらい各自自宅で調理して、試食することに。

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その日は早めに仕事を切り上げて、持ち帰った貝をボイルとグリルでそれぞれ調理し、試食したのですが、食べてみてビーックリ!なにしろ旨いっ! 貝殻の色以上の驚きと感動がこの無類の貝好きの気持ちを、グッとわし掴み。ホタテよりも小振りな身であるものの、その凝縮された旨みは焼いて良し、ボイルでも逃げることなく貝の中に留まり、貝柱はジューシーでコク豊か、貝ひもはプニプニと歯ごたえが抜群。キモの部分は、磯の香りをたっぷりと含み貝ならではの色気たっぷり。思わず、それぞれのスタッフの携帯に『採用しようね、ね、ねっ!』『わたしすぐに取材に行くから!』

かくして、ひおうぎ貝の故郷である愛媛県の漁港までひとっ飛び、のはずが、これがまた遠かった。松山空港に降り立ち、レンタカーを借り市街を抜け、高速に乗り、山道を越え、県道をひた走り、海沿いを辿り、まだか?まだか?まだ現れてくださいませんか?ひおうぎ貝のいる漁港は!肩はガチガチに凝ってくるし、同じ姿勢で腰も疲れ気味。慣れない道を走るのは毎度のことだけど、それでも今回はちーっとばかし、遠すぎるぞ。そしてやっとカーナビ上に目的地の内海漁港の文字が現れたときには運転好きなわたしもさすがに、安堵のため息をついたくらい。

しかし、やっと辿りついたその海にはそれまでの疲れがぶっ飛ぶくらい、凄い海があったのです。えーっ、あれが、夢にまで見たマンタ?
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ひおうぎ貝 20個入り
ひおうぎ貝 30個入り

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ひおうぎ貝<その2>

片道4時間弱のレンタカー独り旅。肩は凝る凝る、腰はパンパン。それくらい遠いところだからこそ、美味しいものに出会えることが多いのは、これまでの経験でよくわかっている。けど、ちと、ツライ。もう年なのかしら。そしてついに、たどり着いた漁港でひおうぎ貝の担当者を訪ね、とりあえずお茶を1杯ごちそうになり、まだ日が高いうちにひおうぎ貝の待つ海に、舟ででかけることに。

案内してくれるのは、ひおうぎ貝生産者の組合長、織田若一さん。話をしていて伝わってくるのは、ひおうぎ貝が大好きで仕方ないってこと。大切に丁寧に育てているのが、よくわかります。『それでは海にでましょうか』といって、織田さんのあとに続いて、作業場から舟までの渡し板のうえを歩いていて、ふと、気づいて思わず、うっそぉ!!沖縄どころか、海外のリゾートに勝負を挑んでも負けないほどの限りなく透明で碧い、あまりにも、あ・ま・り・に・も美しい海があたくしの足元に、すっこーん、と広がっているのであります。はるか下にいる魚がはっきりと見てとれる様は、まるで潜ってないのに、ダイビングしているような気分。

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さらに、舟に乗ろうとした瞬間、海の中にでーっかい影がゆぅらゆぅらと現れ、な、なんだろうと覗き込むとな、なんと、かなり大きなマンタが、悠然と泳いでるっ。沖にもでてないっちゅーのに、沖縄で潜ってもなかなか出会えないシロモノのに。ここは、なんちゅう海や。そんなわたしの大騒ぎをヨソに、織田さんは『あぁ、マンタだねぇ』『この海に初めて来た人は、みんな綺麗だってびっくりするけど、ここに住んでる我々には、当たり前の海なんだけどね』(^^)『このあたりは、真珠の養殖場がたくさんあるんだよ。真珠を抱えるあこや貝は、ものすごく繊細だから少しでも海が汚れると、すぐに死ぬんよね。だからこの辺では海が綺麗なのが当たり前だし、そうじゃなきゃ大変なことになる』そして、その綺麗な海の恩恵を受けながら、すくすくと育っているのが、ひおうぎ貝なのであります。

ひおうぎ貝の種はすべて天然モノ。毎年6月の中旬に杉の木の枝を束にして、沖あいの海に沈めると、そこに1cm前後のひおうぎ貝が付着し、そのままプランクトンなどを餌にして成長していくのです。それを数ヵ月後に回収し、4、50cm四方の網のなかに移しゆったりと育つのを待って、直系が6~8cm以上に育ったところで出荷するという流れ。養殖といえど、餌を与えるわけではなくましてや、あこや貝を育てている、綺麗きわまりない海に抗生物質など投与できるハズはなし。

そして、なんてったって、ひおうぎ貝は旨いのだ!貝柱の旨みの強さといい、貝のヒモのコリッとした歯ごたえといい焼いても香ばしく磯の香りが漂うし、薄味で煮てもこれまた宜し。海から揚がってきたばかりのひおうぎ貝は、藤壺や海藻がくっついているのですが、出荷前には1枚1枚きれいに磨き上げていますから、お届けするのは、きれいなものばかり。色鮮やかなので、食べ終わった後は家庭菜園の飾りなんかにも使える、便利な貝殻。これからの季節、バーベキューやキャンプに持っていくと子供たちも大喜び間違いなしですよ!
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手作り無添加ソーセージ<その1>

「セコムの食」で日本酒、といえば、もちろん斗瓶囲いですよね。あの繊細で芳醇な大吟醸の味わいに出会ったとき、わたくしすっかり一目ぼれ。(*^_^*)すぐに取材を申し込み、今では安定した人気を誇るほどに成長してくれました。ただ、このお酒を作っている蔵が、あのグルメ漫画『美味しんぼ』に登場したことがあるということは、取材で伺って初めて知ったこと。それも、食べ物で取り上げられていたんですって。すみません、情報不足で。何しろわたくし、自分の勘でばかり動いておりますゆえ。(^^;


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そうなの、そしてその栄えある逸品が、これ!手作り無添加ソーセージ。じつはこのソーセージ、美味しんぼで紹介されてからもさらなる美味しさを追求し、10年以上を経て今回の完成品へとたどり着いたのであります。パリッとした皮と中からあふれ出るジューシーな肉汁、そして噛むほどに広がる豚肉の旨み!そして程よくスパイシー!化学調味料はおろか増粘剤や発色剤などを一切使ってないので、使用している肉の美味しさが、舌の上でバチーンと広がるのよぅ。


ということで取材は6月のとある平日の早朝。新幹線のホームに立ち、とりあえず栄養ドリンクを一本!よっしゃ。行くか!ちょっと眠いけど。


勝山で出迎えてくれたのは、社長の伊澤泰平さん。丁寧なご挨拶のあと早速ですがと渡されたのは、分単位で刻まれた今日の予定表!細かいなぁ。こんな予定表で作らにゃならんとは、職人さんもさぞや緊張してるやろなぁ。聞けば、伊澤さんは大手都銀の経営戦略室なるところにいたそうで、まぁそういわれればその細かさにも納得。


「じゃぁ、現場に行きましょうか?」との声について、早速取材開始となり真っ白な白衣と帽子に髪を詰め込み、ちょっとブカブカの長靴に足を通す。ん~、自分で言うのもなんですが、なかなか似合ってるじゃないですか?ではでは、どのようにしてあのプリプリジューシーなソーセージが生まれるのか、この目で確かめるべく、工場のドアを開けて「失礼しまーす!」
つづき。
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手作り無添加ソーセージ<その2>

パキッ、ギュッ、ジューシーな手作りのソーセージ。美味しんぼにも登場したその美味は、どのようにして作られているのか?まず、その秘密は使用する豚肉にあるんでございます。このソーセージには黒豚とSPF豚の2種類を使用。豚肉って、ホーント、品種や育て方で味が全く違っちゃうんですよね。

黒豚は、一言で言うと濃いわ~って味。一方、SPF豚は、おぼっちゃま育ちの比較的淡白な味わい。わたしの目の前にある、薄紅色のこの肉が、あのソーセージになると想像しただけでも、喉がゴクンとなってしまいますねん。

それに、ひとことで無添加、というけれど、一度挽いた肉を結着剤なしでもう一度きれいに形づくるのは、めちゃくちゃ大変な技術と根気が要るんですよ~。肉そのものが持つ粘りを引き出しながらの作業は根気が全て。わたしじーっと作業をみていましたが、その技術の高さたるや、さすが、こだわりが違うって感じ。

そして、このときわたしは、通常「企業秘密中の秘密」であるスパイスのレシピを見せていただいたんですが、まぁその細かいこと、細かいこと!それにそのレシピシートの厚さから、どれくらいの試作を繰り返してきたのかが、ひしひしと伝わってくる。

そして、次は腸詰。天然の羊腸を金属の細い棒に通し、上から先ほどの豚肉を押し込んで形成していくのですが、これがまた大変なんですわ。詰め方が緩すぎると空気が入ってだめだし強すぎるとバリッと破れる。「やってみる?」といわれたけど、いやぁあたくしなんざ、不器用で、ゼッタイに無理ですぅとご辞退させていただき、あとは煙で燻されボイルされたソーセージの完成を待つ。

果たして、わたしの目の前に現われでた出来たての粗挽き黒豚ソーセージ。いやぁ~ん、うまそ~。いっただきまーす!パキッ、とテレビコマーシャル顔負けの歯切れのい音を立てた羊腸の中には、黒豚がみーっちりと詰まっていて、もー、肉、肉、お肉がギューッと詰まってる。噛んでいるさなかから豊潤な旨みとスパイスが、まるで源泉でも掘り当てたかのように口中に広がるのであります。そうなの、わたしはこの至福の時間があるがゆえに、どんなに仕事が忙しかろうとへっちゃらなのですよ。

味は抜群!添加物が全く入ってないので、お子様にも安心して食べさせられる、このソーセージ。お肉好きは、一度食べておくべしですよ!

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