漆山さんの柚子まき柿<その2>

柚子まき柿の生産者である漆山さんご夫妻と初めて知り合ったのは、 2006年初夏のこと。

彼らは、農業を心から楽しんでいる専業農家で、わたしは漆山さんがつくる柚子まき柿に、一目惚れならぬ、一口惚れでした。

しかし、干し柿作りは冬場の作業なので、生産がはじまるこの時期を待ち、満を持して取材に向かったのです。柚子まき柿の作業場に入ってまず驚いたのは、干し柿のなかに巻く柚子の香りの高さでした。

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「うぁぁ!なぁんていい香り!」感動しているわたしに、 奥さんの恵子さんが流暢な山形弁で面白いことを教えてくれました。

『ごの柚子はね、福島の80歳近いおばあちゃんが育でているんだけんど、そのおばあちゃんは、ごの柚子の代金さ取らんのよ』

「え?なんで?」

『そのがわり、わだしが作っている味噌をさ、送ってくれればいいっでいうの』

「じゃぁ、物々交換?」

『そうなのよぉ。面白いおばあちゃんだぁ』

この福島のおばあちゃんは、柚子生産の北限と言われている土地で、無農薬で柚子を育てているのだそうで、収穫の時期には、おばあちゃんの柚子を買いに来る方が結構いるのだそうです。

(ただし、わたしは現地取材をしていませんので、カタログには無農薬とは謳っていません)

そして肝心の柚子まき柿作りですが、これが全部手作業なんです。

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まず、干しあがった柿のなかでも、特にたっぷりと甘みが詰まってそうな柿を選び、ヘタを取った後、みかんの皮をむく要領で手で開いていき、すのこの上に広げていきます。

その上に、先ほどの柚子の皮のみを千切りにして海苔巻の具を入れるように横一列に並べ、さらに胡桃を同じように重ねて並べて、巻き上げていくのです。

形を整えながら、きゅっきゅっと巻いていき1本仕上げたら、次の柚子まき柿をきゅっきゅっと巻いていく。手間のかかる作業は、啓子さんが全て行っていくのです。

この手作業こそ、わたしの干し柿に対する既成概念を見事にくつがえしてくれた、美味しさの源なんですねぇ。それから、漆山さんが作る干し柿には、発色などの役割を果たす硫黄燻蒸を行っていません。

天日干しをするときも、その年の気候に合わせて柿を干す時期や期間を決め、大量生産のときのようにギュウギュウに詰めて干しません。

ひとつずつしっかりと風を受けられるようにゆったりと干していき、それが終わると自宅の横の作業場で薪を焚いて乾燥させていくんです。

『強制的に温風で乾かしてしまうど、表面となかの具合がな、よくなかっべや』レトロな薪ストーブが発する熱は、確かに懐かしく焚き火の匂いがするんですよね。

それが、ここまで小さくなって、凝縮した甘みになるんです。

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あー、よかった。漆山さんの柚子まき柿に出会えてよかった。この柚子まき柿は、一度食べる価値ありますよ。干し柿が大好きなわたしの母親にも贈ってあげました。残りわずかですのですので、急いでくださいね!

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投稿者 news : 2007年03月01日 | 2006年セコムの食取材日記 | コメント (0)

漆山さんの柚子まき柿<その1>

わたしは、仕事のスケジュールが入る度に、会社の机の上の小さなカレンダーに予定を書き加えていくのが習慣なんです。

自分にしか読めない雑な文字で、各地の地名や生産者の名前を書き加えていくのですが、先日は2006年12月のカレンダーに真っ先に書き込まれた生産者を取材してきました。

正直言うと、わたし子供の頃は干し柿が大嫌いだったんです。ベタッと甘くてくにゃっとした食感が、どうにも馴染めなかったし、大人になってもその思いは同じでした。

しかし、この柚子巻き柿を初めて口にしたとたん、あれだけ避けてきた干し柿に対しての偏見が、ウソのように消えてしまったんです。

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「え?なにこれ。おいしすぎる!」

砂糖を使ってんじゃないの?と思うほど甘いけど、その甘さがまさに大地の恵みを思わせるし、食感もしゃんと引き締まっている。

それに干し柿のなかに巻いてある柚子とくるみが、抜群の立ち位置で干し柿の甘さを支えているんです。

こっ、これはナンなんだぁ!あんなに嫌いだった干し柿に感動してしまうなんて、そんなこと考えたこともなかった。

わたしは早速、生産者であり農家の漆山さんに連絡をいれて、一路山形に向かい、数は少ないものの、数量を確保。

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しかしながら、その頃はまだ夏だったので、干し柿と柚子巻き柿の生産の両方を観ることができる時期に再度取材に伺うことにしていたんで、今週待ちに待った取材に向かうことになったんです。

新幹線に揺られること、約3時間。

山形のちいさな温泉街からさらに10分ほど車を走らせたところにある、漆山さんの自宅に向かうと、軒先には数え切れないほどの吊るし柿が干してあり、まさに田舎の農家然とした風景が目に飛び込んでくる。

「こんにちは!」と作業場のドアを開け中に入ると、そこでは漆山さんが縄に吊るした干し柿の出来を確認しているところでした。

殺菌と発色の効果があるという硫黄で燻蒸をしていないから、他の干し柿と比べて色が茶色いものの、その姿はとても愛嬌がありなんだか干し柿の一つ一つがニコニコしている感じ。

子供の頃のイメージにある“しょぼくれた”ような印象が、全くないのが不思議。

漆山家では、干し柿にするまでの作業はご主人の輝彦さんが、そして柚子まき柿にする作業は奥さんの啓子さんが担当しているとのこと。

それでは、完成した干し柿を使って、柚子巻き柿を作ってみせていただけますか?とお願いして、選別場の奥にある柚子巻き柿の作業場に入って驚いた!

「うぁぁ!なぁんていい香り!」

・・・・つづく

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投稿者 news : 2007年03月01日 | 2006年セコムの食取材日記 | コメント (0)

子持ち鮎のなれ寿司

この仕事をしていると良く「どこで商品をみつけているんですか?」と聞かれます。

「セコムの食」のバイヤーはわたしだけで、各カタログでは新商品を20アイテム前後、多いときには30アイテムくらい掲載しているので、不思議だと思われる方も多いようです。

わたしに限らず、専門職の人は特にそうだと思うのですが、自分の仕事に関連するものを目にするとついつい見入ってしまったりしてしまいますよね。

で、わたしの場合、食品すべてということになりますので、ありとあらゆる場面において知り得た食べ物が対象ということになります。

3度の食事はもちろんのこと、街を歩いているときも、テレビを見ているときも、友達と何気ない会話をしているときも常にアンテナを張っている状態です。

そして、この子持ち鮎のなれ寿司は、食通の友人諸氏と旅行に出たときに出会ったものでした。

そのとき宿泊した比良山荘という宿は、山の幸をおいしく食べさせてくれるところ。大雪のなか、賑やかに日本酒を飲み口福を満喫していたところに、出てきた小さな皿。

女将さんから「鮎のなれ寿司です」と説明を受けた瞬間、鮒寿司と同じくらいの個性が頭をよぎり、 急いで、おちょこに日本酒を注ぎ足して、準備万端。

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初めて食べる鮎のなれ寿司に味覚は興味津々で、ゆっくりと口に運んだところ、、、、。
『え? これ、想像とちがう。何てやわらかい味なの!』

品の良い鮎が、乳酸発酵によって生まれた酸味に包まれ身はクッと締まり、卵には独特のほのかな甘みが残っている。

ぜーんぜん違う。 鮒寿司とは明らかに違う。鮒寿司ほど食べる人を選ばないし、身もおいしければ一緒に漬け込んだ白飯もおいしい。

これはイケる!

商品もイケるけど、酒もイケる。まずい!飲みすぎてしまうー、しまうーっ。

しまった。 (>_<)

だけど、いくら二日酔いだって、仕事のことは決して忘れることはない。

東京に戻ってからほどなく、比良山荘のご主人の伊藤さんに連絡を入れて、カタログへの掲載を打診。

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これまで外に向けて販売した経験がないということで、あれこれ考えるところもあったそうなのですが、
「今、漬け込んでいる量で、まかなえるのであれば」 ということで、交渉成立。

取材で再度お邪魔したときには、このなれ寿司をさらに おいしく食べる”裏ワザ”も伝授してもらいました。

せっかくなので、ここで披露させていただきます。

その1.
なれ寿司の頭を湯飲み茶碗に入れて、お湯を注いで少しおくと頭の部分がとろりとしてきて、なれ寿司のお吸い物になります。

ちなみに比良山荘で出すときには、お湯ではなく昆布のだしを使っているのだそうで、そうすればさらにおいしくなることは間違いない。

わたしも現地でいただきましたが、ゼラチン質が浮いてきてびっくりするくらい、おいしかったですよ。

その2.
鮎の下に敷いてある白ご飯は、そのまま食べてもおいしいのですが、鮎のなれ寿司の尻尾の部分を細かく包丁で刻み、それと合わせると飯にさらに旨みが加わります。

比良山荘では、そこに柑橘を搾って醤油を少したらしていてこちらは左党垂涎の一品でございました。

日本酒好きの方、これを食べずしてどうします?!酒好きの方への、贈り物にもバッチリですよ。

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子持ち鮎のなれ寿司 2本

投稿者 news : 2007年03月01日 | 2006年セコムの食取材日記 | コメント (0)

やわらかジンギスカン

数年前から、都内を中心にジンギスカンブームが起こったこともあり、ラム肉のファンになった方も多いのではないでしょうか?

生粋の「ジビエっ子」であるわたしはエゾ鹿やヤマウズラなどと同じくらい、羊の肉が昔から大好き。
ラム肉だってマトンだって、平気で美味しく食べちゃいます。
だけど食材を探すときに、こんなわたしを基準にしていちゃダメ、ダメ。

あくまでも、食材の個性を活かしつつも、より多くの方に好まれるような商品を探すようにしているのですが、そういう意味において、この商品はめちゃくちゃスグレモノ。

ラムらしさはしっかりとあるものの、親しみがもてる味で、しかしながら、よくありがちな画一的な味ではないから食べ飽きずに、ガツガツいける。

そして何しろもう、肉がね、柔らかいのですよ。まさに、四方八方北海道をいろいろ探し求めてやっとみつけたジンギスカンなんです!

わたしは早速、北海道旭川市に向かい、このジンギスカンの作り手である小滝さんを取材させてもらいました。

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「ところで小滝さん、このジンギスカンはどうしてあんなに柔らかいんですか?」

『そう言っていただけるとホントに嬉しいですね。私はいかに美味しく柔らかく食べてもらうかに、3年もかけたんです』

「え?3年!」

『そうなんです。無添加のものが作りたかったので、なおさら大変だったんですけど、殆ど趣味にちかいレベルで作ったからかなり凝った商品になっちゃったんですよね』

小滝さんの会社は、旭川で長く肉の卸問屋を営んでいて地元以外の人にも広くジンギスカンを食べてもらいたいとブームに火がつくずっと前から、この商品作りに取りかかったのだそうです。

そしてやっとたどり着いたのが、たれにフレッシュな野菜や果物の果汁を使うことだったんです。

安易に化学的なものを使うのではなく、あくまでも自然なおいしさを求めた結果、すりおろした玉葱やりんごジュースなどが「肉を柔らかくしてくれているんじゃないですかね」とは小滝さんの弁。

それに、長く精肉業に携わってくるなかで蓄積されたノウハウ、たとえば肉の切り方や保存の仕方なども、おいしさに 大きなプラスになっていることは、間違いなさそう。

実は、このジンギスカンを選ぶときに、同じオーストラリア産の肉を使った商品を手当たり次第に買って食べ比べをしたのですが、ホントに図抜けたおいしさと柔らかさだったんですよね。

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これなら、『においがダメなの』という方にも、きっと美味しく食べていただけるという、確信に近い自信をもったのを覚えています。

ラム好きはもちろんのこと、あまり馴染みがないという方も、是非1度、食べてみてくださいね。

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